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ショート回路点検用ヒューズ(テストランプ)の使い方

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ショート回路点検用ヒューズ(テストランプ)を使用する場合、「「BACK/TURN」ヒューズが切れる・ジムニー」http://blogs.yahoo.co.jp/itakame3/64737814.htmlのトラブルのように、その回路の負荷の抵抗の大きさによってテストランプの点灯する明るさが変わってくるので注意が必要である。
 
Rレンジにするとヒューズが切れるトラブルの場合、不具合発生時はテストランプを入れると明るく点灯した。
 
テストランプの電源側はバッテリ電圧で負荷側はショートしていたのでほぼ0Vであった。
 
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ショート箇所を修理したらテストランプは点灯しなくなったが、バックアップランプを接続するとテストランプは明るく点灯した。
 
テストランプの電源側はバッテリ電圧で負荷側は0.3Vだった。
 
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これは仮にテストランプが12V3.6W(実際は3.4Wだが計算しやすいように変更)、バックアップランプが12V24W(同じく変更)
で計算すると、テストランプは40Ω、バックアップランプ1個の抵抗は6Ωとなる。
 
この回路に流れる電流は12V340Ω≒0.28Aになる。
 
しかし、実際は電流が定格より小さいのでそれぞれの抵抗値は小さくなると思われるが細かいところは省略。(発熱することでランプの抵抗値は大きくなるから)
 
仮に0.28A流れたとすると、テストランプの負荷側は0.84Vとなる。
 
バッテリ電圧が12Vだとするとテストランプには11.16Vの電圧がかかることになり通常と同じ明るさで点灯する。
 
逆にバックアップランプには0.84Vの電圧しかかからないので点灯しないということになる。(実際には0.3Vしかかかっていない)
 
このように負荷の抵抗が小さい場合は、回路が正常でもショートしていても明るく点灯するので明るさでの判断は難しい。
 
よって、負荷を外した状態で点検しなければならない。
 
それから、時々ショートする不具合の場合、負荷の抵抗が小さいとヒューズの代わりにテストランプを入れると負荷が作用しないので注意が必要。
 
このように負荷の抵抗が小さい場合は、負荷が作動しなくなる可能性があるのと、ショート時と正常のテストランプの明るさに違いが出にくくなるので注意が必要である。
 
これが負荷の抵抗が大きいほど負荷に影響が出なくなり、ショート時と正常時のテストランプの明るさに違いが出てくるので、あまり気を付けなくても構わない
 
以前紹介した事例(http://blogs.yahoo.co.jp/itakame3/33414942.html)では、エンジンECUの電源のヒューズが時々切れるといったものだったが、ECUの抵抗が大きいせいかテストランプは全く点灯せずにECUも正常に作動していた。
 
しかし、エンジンルーム内のハーネスをゆするとテストランプが明るく点灯してエンストした。
 
このように負荷の抵抗が大きい場合は、負荷をつないだままのテストランプの明るさでショートか否かを判断できる。
 
ただし、負荷の抵抗の大きさによっては負荷が作動しない場合もあるのではないかと思われる。
 
【まとめ】
 
負荷を接続している場合、負荷の抵抗が小さいほど、正常な時とショートの時のテストランプの明るさの変化が小さくなる。
この場合はテストランプの負荷側の電圧の変化でショートか否か調べる。
 
また、負荷の抵抗が小さいほど負荷が作動しなくなりやすいので、場合によってはこのテストランプは使えない。
 
よって、負荷の抵抗が小さい場合は、負荷の接続を外せるなら外した方がよい。
 
 
逆に負荷の抵抗が大きくなるにつれて、正常な時のテストランプの明るさは暗くなる。(もちろんショートのときは明るく点灯)
また、負荷が作動しやすくなる。(ランプが暗い=負荷にかかる電圧が高い)
 
負荷が作動するのであれば、負荷は外す必要はない。
 
 

白煙/キャラバン

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マフラーから火が出たという平成20年式キャラバン(VWME25ZD30)が同業者から持ち込まれた。
 
また、火が出た?
 
レガシーの悪夢が蘇る。(^_^;)
 
本当に火が出たのかと聞くと、ユーザーはそう言っていたのだという。
また、高温になったせいかマフラーの先端が真っ白になっていたとのことである。
 
整備工場からの依頼で詳しいことがわからなかったので問診をやり直してもらった。
 
その結果、火が出たのではなく白い煙が大量に出たとのことだった。
また、かなり臭かったということらしい。
 
それからDPF付の車なので手動再生スイッチを押したのかと聞いてもらったが、押した記憶はないとのことだった。
  
持ってきた車のマフラーを見ると、確かに真っ白だが焼けて白くなったのではなく、ただ単に白煙による汚れと思われた。
 
その証拠にマフラー近くのボデーも同じように白くなっていたが、拭けばきれいになった。
 
 
問題はこの白煙が何なのかである。
 
手動再生による可能性があるが、スイッチは押していないという。
 
とりあえずダイアグを点検すると、CAN通信、空燃比センサー、排気温度センサ2(高温異常)、排気温度センサ2(低温異常)を表示。
 
消去後、確認すると空燃比センサーを表示。
 
データーで空燃比センサーを見ると1.5Vから変化しない。
ジーゼルの空燃比センサーを調べたことはないが、全く変化しないとは思えない。
 
たぶん交換が必要だろうと思いながら他の信号も見てみると、排気温度がおかしなことに気が付いた。
 
排気温度センサー1は434℃なのに排気温度センサー2は-20℃なのである。
 
これまた交換が必要である。 
 
この2つの部品が壊れたのと、今回の不具合に関連があるのかどうかは不明だが、部品が悪いのは間違いないので交換することにした。
 
交換するために外した部品を見てビックリ!
 
2つとも溶けていたのである!
 
 
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こうなると火が出たかどうかはわからないが、本当に高温になったとこは間違いないようである。
 
部品が届いたので空燃比センサーと排気温度センサーを交換した。
  
交換後はダイアグも正常コードを出力するようになり、排気温度も正常となった。
 
 
これで見た目上は正常だが、そもそもの白煙が出た原因と2つのセンサーが溶解した原因がわからない。
 
空燃比センサーと排気温度センサーという、そもそも高温に耐久性のあるセンサーが溶解していたのである。
 
当然、触媒(酸化、DPF)も壊れている可能性もある。
 
一応、ジーゼルスモークも測定しておくことにした。
 
 
 
この測定が思わず原因究明につながっていくのである。
 
つづく

白煙/キャラバン②

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念のため、ディーゼルスモークを測定してみた。
結果は最大でも12%と問題なかった。
 
ただ、アクセルペダルを全開にしたときに、エンジンの回転が2000回転過ぎで頭打ちになりそうになり、それからもう一度吹き上がっていたのが気になった。
 
それから最後の測定で全開にした時に、「ガラッ」というディーゼルノックのような音がちょっとだけしたのも気になった。
 
本調子ではないような気もするが、何が悪いのかがはっきりしない。
 
何かがおかしいようなので少し走ってみようと思い工場の周りを一周していた時に、またしても「ガラガラ」というディーゼルノックの音が一瞬だけした。
 
「あれ?なんで?」
 
「測定のためアクセル全開にしたから壊れた?」
 
 
「そんなことで壊れるわけないよな。」なんて思いながら駐車場に入れようとしたが、先ほどのディーゼルノックが気になった。
 
駐車場に入りかけていたのだがもう一周することにした。
 
すると、今後は激しく「ガラガラガラ」というディーゼルノック音が始まると共にエンジン回転が徐々に上がり始め2000回転近くまでなった。
 
ルームミラーで後方を確認すると、真っ白で何も見えない状態。
 
瞬間、ユーザーの訴え、2つのセンサーの溶解が頭に浮かぶと同時に、全ての原因はエンジンオイル過多だという思いが頭の中を駆け巡った。
 
どうしよう?
エンジンオイルが原因だとエンジンが止まらないかもしれない?
それにあまりにもひどい白煙なので前方の人たちが何事かとこちらを見ている。
 
しかし、幸いにも不具合は5~6秒で収まってくれた。
 
急いで工場に戻り、エンジンオイルの量を調べると、交換の目安となるレベルはなく、給油時のMAXMINしかなかったが、そのMAX位置から5cmほど上まで入っていた。(_;)
 
取説を見ると、日産は希釈により増えた場合の交換ラインはなく、MAXより1cmまで増えれば交換が必要となっていた。
 
オイルを抜くと出るは出るはで10L以上入っていた。
 
正規の量にすると、アクセル全開時の引っ掛かりもなくなり、レッドゾーンまで一気に吹き上がるようになった。
 
 
あくまでも推定であるが今回の白煙の原因は、エンジンオイルが増えすぎたことにより、ブローバイ中にエンジンオイルが混じり燃焼したものと思われる。
 
また、触媒内でもオイル分が燃えたせいで2つのセンサーが溶解のではなかと思う。
 
それと、オイルが負荷となり吹き上がりにも影響を与えていたようである。
 
 
エンジンオイルは6000km前にガソリンスタンドで交換しており、請求書を見る限りでは規定の量を交換しているようだった。
 
仮に、規定量に交換していたのであれば、軽油により希釈されたことになるが、交換時期を過ぎているとはいえ、ここまで増えるにはインジェクタなどに原因があるかもしれない。
 
今回、正規の量に交換しているので、これから1000km2000km後にどれだけ増えるかを検証し、増える量が多いようであればその原因を探す必要が説明しあることを引き取ってもらった。

始動不能/フィット

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走行中エンストし始動不能になった平成14年式フィット(GD1
 
基本点検を行うと燃料ポンプの作動音がしなかったので、コネクタ部で電圧測定をしようとしたらコネクタ部が焼けていた
 
知人にこのことを話すと、実はそこの工場でも同じトラブルがあったというのである。
 
 
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場所が場所だけに危ないのでは?
 
過去にも何度か不具合が出たのだが、なんとか再始動出来るせいか原因がわからなかったようである。
 
時々エンストし、ダイアグコードが正常の場合は、燃料ポンプのコネクタを点検する必要がありそうだ。

「エンジン」ヒューズ切れ/ボンゴ

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キースイッチをONにすると「エンジン」ヒューズが切れるという平成5年式ボンゴ(SE58TD5
 
ファイネスではこんな古い車の資料なんてないが、もしかしたら整備事例になにか参考になる資料があるかもしれないと思い調べると、「エンジン・ヒューズが溶断する」という事例があり、アイドル・アップ・ソレノイド・バルブが原因となっていた。
 
現車を調べるとショートしていたので交換。
 
このファイネスの整備事例って意外とヒットすることがあって助かる。
 
こんなトラブルなら何台来てもOK!(^_^;)

コードP2002/トヨエース

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チェックエンジンランプが点灯し、DPRランプが点滅するというトヨエース(車両型式KDY231、エンジン型式1KD
 
 
ダイアグコードはP2002DPF異常)を表示。
スキャンツールを使ってDPF強制再生を実施したが、実施できなかったということで相談を受けた。
 
最近、このDPF異常やEGR量不良(過多、過少)のコードを出すトラブルが多い。
この手のトラブルは異常コードの検出条件を調べないと、思いもよらないところが原因だったり、どこを点検すればよいのかわからなかったりする。
 
さっそく、このコードP2002の検出条件を調べると次のようになっていた。
 
1.走行中、PM強制再生が必要な表示(ランプ点滅) が出てからも走行を継続してPM堆積量が限界を超えた場合。
2.エンジンオイル交換が必要な表示(ランプ点灯または点滅)が出てからも走行を継続してPM堆積量が限界を超えた場合。
3.走行中に絶対圧センサが閾値以上の差圧を検知。
4.PM強制再生中、触媒昇温が十分得られない場合。
5.    PM強制再生が1時間以上かかる場合。
 
 
この車は実際にDPF警告灯が点滅してしばらく走行したので1番に該当してこのコードを出力したと思われるが、強制再生ができないのはおかしい。
 
また、PMの堆積量が増えた理由が運転状態のせいか、車のシステムに不具合があって強制再生ができないかは不明。
とりあえず点検できるところがわからないので後回し。
 
2番はオイルレベルアッパーウォーニングランプが消灯しているので除外。
 
次は3番。
これは点検できるので絶対圧センサ関係を点検。
 
まず、絶対圧センサの機械的部分に異常がないかを調べるために、絶対圧センサ~DPR触媒間のホースやパイプの外れ、破れ、詰り等を調べたが問題なかった。
 
次に、絶対圧センサの値をデータモニタで点検すると、キースイッチONで103kPaだった。
 
基準値は「実際の大気圧と同じ」なので正常。
 
強制再生時の絶対圧センサの値を点検したが103kPaのままだった。
 
基準値は「大気圧+120 to 180 kPa/1150 to 1250 r/min」となっている。
これは強制再生が行われると圧力が上がることを意味している。
 
ということはここがおかしい。
 
というか強制再生が始まらないことがおかしい。
 
強制再生が行われないので圧力が上がらないのか、圧力が上がらないので強制再生が行なわれないのか・・・・・
 
 
当然、前者と思われる。
 
1番のこともあるし、強制再生が行なわれない原因を探すことにした。
 
 
解説書で強制再生の項目見ると、強制再生時は排気絞り弁を閉めていることがわかった。
閉めることにより圧力が上がるようである。
 
この絶対圧センサの圧力が上がらないということは、排気絞り弁が閉じていないのではないかと推定。
 
強制再生時、排気絞り弁を点検すると、アクチュエータが閉じていなかった。
 
調べると排気絞り弁に負圧が来ていなかったので、各部を点検すると、排気絞り弁~VSV間のパイプが折損していた。
 
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排気絞り弁が閉じなかったことにより、4番の「PM強制再生中、触媒昇温が十分得られない場合。」もしくは1番の「PM堆積量が限界を超えた場合。」に該当したために、この異常コードの検出となったようである。
 
 
パイプを交換すると強制再生が始まった。
 
終了後、ダイアグノーシスコードを消去し、点灯しないことを確認。
 
折損の原因がないかを調べたが、特に問題はなかった。
 
単なる強度不足なのか。。

ラフアイドル/ワゴンR

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エンジンが振れるという平成16年式ワゴンR(MH21S、K6A)
 
特に冷機時がひどいというのだが、暖気後でも振れていた。
 
スキャンツールでデーターを見ると、空燃比学習値と補正値がそれぞれ‐10数%になっていた。
インマニ圧力は絶対圧で360mmHg(ゲージ圧で-400mmHg)だった。
 
この2つから推定されるのは、何かの要因によりインマニ負圧が足りずに基本燃料噴射量が多くなり、それをフィードバック補正で減量しているのではないかと思われる。
 
こういった場合の原因のほとんどはバルブクリアランスの過少である。(バキュームセンサを使っているエンジンに限る)
 
パワーバランステストを行うと、1番シリンダを失火させると150回転くらい低下、2番は300回転くらい低下、3番を失火させるとエンストした。(ISCVのコネクタは抜いている)
 
1番シリンダが最もひどいようだ。
 
バルブクリアランスを調べると、インテーク側は問題ないがエキゾースト側はすべてバルブにおいて小さかった。
 
中でも、1番のエキゾーストのフロント側は0.05mmのシックネスゲージが入らない状態だった。
 
また、2番のエキゾーストのリヤ側は0.16mmだった。
 
他のバルブは基準値0.3~0.35mmに対して0.2~0.25mmと全体的に小さかった。
 
スズキのK6Aエンジンは以前からこういった傾向にあったがMH系では初めてである。
 
いつになったら改良されているの?
まさか、R06Aでも改良されてないということはないよね?
 
ちなみに、このエンジン内部は非常に綺麗で、オイルメンテは問題ないと思われる。

サーボモータ異音/トヨタ車

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数か月前から、時々、ヒーターコア付近から「カタ、カッ、カタ」とゴキブリが這っているような音がする自分の車(トヨタ車)。
 
たぶん、エアコンに関するサーボモーターの不良だろうと思いながらも、エアコンは問題なく効くのでそのままにしていた。
 
この数か月に他人の車は何十台と修理しているのに、自分の車は壊れているのに修理する気にならない。(^_^;)
 
お盆で暇になったのでやっと調べることにした。
 
音がしている時に調べると、吹き出し口のサーボモータが頻繁に動いていた。
 
交換すればよくなるのだが、できれば自分の車だとお金をかけずに修理したい。
 
たぶん、内部の接触不良だろうと思いサーボモータを分解してみた。
 
カバーを外して位置検出の接点部分を見ると、少し汚れているようなのでペーパーで磨いてみた。
 
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すると、見事に完治。(^ ^)v
 
いつまでもつかわからないが、次に不具合がでれば交換であろう。
 
お客さんの車はこのような修理をすべきではないが、自分の車であれば問題ないだろう。

間欠でLo作動する/エスティマ

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前回の接触不良の記事で思い出した事例。
良くはなったがなんとなく消化不良のトラブルだったのでアップしそびれていたのだが、ついでなのでアップ。
 
ワイパーを間欠位置にするとLo作動する平成14年式エスティマ(ACR30E、2AZ)
 
ワイパースイッチを交換したが良くならないということで知人の工場からの依頼である。
 
ワイパー作動時にスイッチをOFFにすると、正規の位置まで戻って停止することもあれば、その場で停止することもあるらしい。
 
スイッチは交換されているのであとはモーターか配線の問題である。
 
たぶん、オートストップ回路の異常と思われるのでモーターの端子電圧を調べたが、オートストップ用の電源は問題なかった。
 
あとはモーター内の接点の問題なのでカバーを開けると、3つある接点のうち1個が磨耗していた。
 
 
 
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モーター交換で完治。
 
ただ、回路を調べたらこの接点が不良になると、なぜ間欠でLo作動するのかわからないままだった。
 

エンスト/シボレークルーズ

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走行中、エンジンが不調になったり吹き上がりが悪くなってエンストするという平成14年式シボレークルーズ(HR15SM13S)が、同業者から依頼された。
 
エンスト後はしばらく再始動が困難ということである。
 
依頼者の工場でダイアグを調べる、コードP0340(カム角センサ異常)を表示したのでカム角センサを交換したのだがよくなっていないというのである。
 
 
 
スキャンツールで調べていたら症状が発生。
 
その時はスキャンツールの回転がゼロになったり、車のタコメータが激しく振れていた。
 
症状からは間違いなくエンジン回転系センサの異常である。
 
カム角センサとクランク角センサの波形を調べると、クランク角センサの信号が歯抜け状態になっていた。
 
 
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○菱電機製回転センサの定番のトラブルだがなんでこんなコードを出すの? 
 
クランク角センサの信号が全くでなくなればダイアグで「クランク角センサ系異常」というトラブルコードを出すのであろうが、この波形のように歯抜け状態だと異常検出しないのであろう。
 
逆に、クランク角センサの信号に対してカム角センサの信号が多すぎるということでカム角センサ異常を表示したようである。
 
これは異常検出のプログラムのせいと思われるが、カム角センサとクランク角センサの相関関係の異常検出をどちらのセンサを基準にしているかによって、今回のように悪くもないセンサの異常コードを出すのであろうか? 
 

P1910/ワゴンR

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走行中にエンジンが吹き上がらなくなりエンストすることがあるという平成14年式MRワゴン(MF21SK6A
 
調べるとダイアグコードP1910VVTシステム異常)を表示。
 
スキャンツールでデータモニタしながら走行すると、VVTの進角度が80°CAになりエンジン不調になった。
 
実はこの時、VVTOCVのコネクタを外して走行していたので、VVTは作動しないはず。
 
ただし、VVT本体の不良も考えられるが、通常、VVTの進角度はせいぜい60°CAまでであり80度なんて聞いたことがない。
(注)進角度80°CAの車がないとは断言できない。
 
 
VVT本体の不良であれば常時悪いだろうと思えるので、VVT本体よりも進角度を計算するカム角センサとクランク角センサの信号を調べることにした。
 
オシロスコープをセットし、しばらくするとクランク角センサの信号が歯抜け状態になり不調となった。
 
歯抜け状態で進角度を計算してしまうので、実際には進角していないのに進角しているという間違ったデータを表示したようである。
 
また、前回同様、歯抜け状態なので異常検出もされなかったようである。
 
前回の記事では、クランク角センサ不良によりカム角センサ不良のダイアグコードを出したのに、この車では同じクランク角センサーの歯抜け状態なのにVVT系統の異常コードを出したのである。
 
どうにかならないものか。。

電流測定による故障

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宿題コーナー第37弾(レベル4)
 
以前、知人から「燃料ポンプに流れる電流はどれくらいか?」という電話がありました。
 
電流を調べるとは珍しいと思いながら「〇~〇Aくらいですよ。」と言っておいたのですが、しばらくたってから「電流を測定したら○○が△△になった」と電話があったのです。
 
「○○が△△になった」というのは、車のあるところが壊れたということです。
 
そこで問題です。
どこがどう壊れたのでしょうか?
 
なお、車は一般的な電子制御式燃料噴射方式のガソリン車です。
回路は次の通りで、通常のアナログ式サーキットテスタです。(クランプオン式ではありません。)
 
また、車やサーキットテスタは正常です。
 
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電流測定による故障②

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燃料ポンプに流れる電流を測定したら、車のあるところが壊れたというのです。
 
通常、電流を測定して車が壊れるなんてありません。
 
ただし、それは正しい測定方法をした場合の話です。
 
ご存知のように、電流を測定する場合、回路を切ってサーキットテスタを負荷に直列にセットします。
 
ということは、サーキットテスタが配線の一部になるわけです。
当然、サーキットテスタ内は小さな抵抗じゃなきゃ困ります。
(大きな抵抗だと、本来の電流より小さな電流になってしまう。)
 
アナログ式サーキットテスタの内部を簡単に書くと次のようになっており、負荷に直列につながる抵抗Rはかなり小さな抵抗です。
 
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よって、電流測定は測定方法を間違うととんでもないことが起こってしまいます。
 
コメントをくれた方の例を紹介します。
 
燃料ポンプのコネクタを外して、ハーネス側コネクタにテスタをセットするというものです。
 
燃料ポンプの代わりにテスタが入るのです。
当然、電流が流れすぎてヒューズが飛びます。
 
 
 
また、ポンプリレーを外してコイル側の端子にテスタをセットしキーをONにした場合す。
 
キーON時、ECU内はポンプリレーをONさせるためにECU内のトランジスタをONさせます。
 
すると、テスタ経由でECUに電源が供給されます。
 
ヒューズが飛ぶかECUが壊れるかは神のみしか知りません。(試さないでください)
 
これらは測定方法が違うだけであって共に負荷の代わりにサーキットテスタをつないだものです。
 
ほぼショートに近い状態になりますので、ヒューズが飛ぶか配線が焼けます。
 
このことがわかっていれば今回の問題はほぼ正解です。
 
よって、半熟整備士さん、うらさん、doy*e*000さん、ADAさん、KAZUYAさんmir**ru25さんが正解です。
 
 
で、実際はどうだったのかというと、電流を測定するとエンジンがかからなくなったそうです。
調べると燃料ポンプのヒューズが飛んでいたようです。
 
このことを聞いてすぐにピンときました。
 
電話をしてきた人に「電流計は回路に直列に入れましたか?」と聞くと、「電圧を測定するときのように並列にした」というのです。(_)
 
コメントをくれた方のような間違いも起こりえますが、電流測定で最も間違いやすいのが今回のように、電流を電圧と同じように測定することです。
 
燃料ポンプと並列にテスタをつなぐと、テスタとポンプが並列ですの合成抵抗は小さくなり更に大きな電流が流れてしまいます。
ヒューズがなければ恐ろしいことになっていたでしょう。(^_^;)
 
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今回の正解は「サーキットテスタを燃料ポンプと並列に接続して、ヒューズが飛んだ」というのが満点の答えです。
 
 
※いろいろな測定間違いが考えられますので、今回の問題はあまり適切ではありませんでした。m(_ _)m
 

減速時に発生するショック/クラウン

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同業者からの電話相談。
 
減速時、D2からD1にシフトダウンするときに「ガツン」とショックが出るという平成17年式クラウン(GRS182、6速AT
 
どこかで聞いたような症状ではないだろうか?
 
以前、マークXで同様のトラブルを経験し、共にECU不良だったものである。
http://blogs.yahoo.co.jp/itakame3/64147396.html
http://blogs.yahoo.co.jp/itakame3/64482954.html
 
 
実は、このトラブルはマークXだけではなくクラウンでも起こることが分かっていた。
 
(クラウンはのまけしさんがアップしている。)
 
 
たぶんECU不良ですと説明しておいた。
 
その後連絡があり、ECUをリビルト品に交換してよくなったとのこと。
 
私が知っているだけで3件。
全国ではかなりあると思われるが、このことを知らないとまずはミッション本体を交換してしまいそうである。

スマートキーシステム作動せず/セルシオ

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キーレスエントリーシステム(電子キーのスイッチでドアロックのONOFFをするシステム)ではロック・アンロックはできるが、スマートキーシステム(電子キーを携帯しているだけで、車側のスイッチを押すことでロック・アンロック及びエンジン始動が出来るシステム)が全く作動しないという平成14年式セルシオ(UCF31)で、同業者からの相談である。
 
ユーザー曰く「バッテリ交換後からのトラブルであり、何らかのリセット作業が必要ではないのか?」と言われたそうで、どちらが整備工場の人かわからない。(^_^;)
 
詳しく話を聞くと、電子キーの操作では、ドアロック、アンロックは正常にするが、各ドアのアウタハンドル部にあるドアロックスイッチを押してもロック・アンロックしないようである。
 
また、電子キーを携帯していてもエンジンスイッチは回らないらしい。ただし、電子キーをエンジンスイッチに差し込めばエンジンは始動できるというのである。
 
これらの話からは、スマートキーシステムの電波が出ていないか、出ていてもそれをキャッチできていないか、またはスマートキーシステムのどこかに異常があるか、このシステムが作動しないようにカスタマイズされているかである。
 
カスタマイズ?
 
バッテリ交換で変更にはならないはず。。
 
そういえばスマートキーシステムにはキャンセルスイッチがあったような・・・・・
 
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調べてもらうと、キャンセルスイッチがONになっていたそうである。(^_^;)
 
このスイッチは目に付かないところにあることが多く、何かの拍子にスイッチを押しても気が付かないことがあるようである。
 
終わってみれば笑い話だが、本当にトラブルだとどうやって調べればいいのか悩んでしまう。
 
やはり電波チェッカーが欲しいところである。
 

始動不能/ワゴンR

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最近、気になるトラブルを紹介。
 
症状は様々だが原因は同じ。
 
 
 
吹き上がりが悪かったのだがそのうち始動不能となった平成16年式ワゴンR(MH21S)
http://narita-auto-tensyu.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/post-c34f.html
 
始動不能のワゴンR
http://ameblo.jp/g-cross-sakaguchi/entry-11401918244.html
 
オイル漏れの平成18年式ワゴンR(MH21S)
 
 
経験した事例は吹き上がり不良といったもので、アイドリングは回転が低くスロットルバルブを全開にしてもほとんど回転が上がらないという不思議な症状。
 
 
燃料不足、マフラーの詰り、バルタイのズレといった感じがするが、裏付けはないがなんかそれらとも違う感じがした。
 
燃料不足であればスロットルを開けると回転が落ち込んだりエンストするはず。
試しにパーツクリーナを吸わせても変化ないので燃料不足ではない。
 
マフラーの詰りで回転が上がらない経験は何度もあるが、ほとんど回転が上がらないほどの詰りは経験なし。
 
もしそうだとすると排圧も低いのではないかと思い、マフラーからの排圧を調べたがとても詰りとは思えなかった。
 
バルタイのずれでこんな不具合が起こるとも思えないし、タイミングチャーンだが念のため点検。
 
ピストン位置を確認しながらクランクプーリのTOPマークを合わせようとしたが合わない。
 
おかしいと思いクランクプーリーを外そうとボルトを緩めると「スカッ」!
 
キウランクプーリーを外すとクランクシャフトとプーリーの間のキーが完全に摩耗していた。
 
このエンジンのクランクプーリーには、クランク角センサー用のローターが一体で付いているために、プーリーがずれたことにより点火時期が狂って吹き上がりが悪くなるものと思われる。
 
 
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更にひどくなれば始動不能にもなったのではないかと思われる。
 
このユーザーは過去にクランクプーリーを外すような整備はしていない。
また、他工場にも入庫はしないと思われる人。
 
なぜ、こんなことが起こったのだろうか?
 
仮に製造時のミスだとして、8年近くたって不具合がでるのであろうか?
 
ちなみに、同じK6Aでもターボ車はサービスキャンペーンが出ていたが、NAでのサービスキャンペーンは無し。
 
もしかして今後増えるのか?

EGR系トラブル/キャラバン

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最近、もう一つ気になる事例をもう一つ紹介。
 
車は平成1718年式のキャラバン(エンジンはすべてQD30DDTi)。
 
この2か月に入庫や電話による問い合わせが4件。
 
 
1台目
 
エンジン始動後、暫くするとチェックランプが点灯
平成18年式VWE25
走行約12万キロ
ダイアグコードP0302
(電制EGRコントロールバルブ系統:電制EGRコントロールバルブの固着又は機能不良が発生したとき)
 
2台目
走行中にチェックランプが点灯
H18年式VWME25
走行約15万キロ
ダイアグコード32P0302と同じ)、アイドル時エアフロ1.71.8V EGRステップ数40
 
 
3台目
不具合は感じないがチェックランプが点灯
H17年式VWE25
走行約34万キロ
ダイアグコード32
 
4台目
アイドル時白煙が出て、加速時は黒煙が出る
VWE25(年式、走行キロ不明)
 
 
原因はすべてEGR用ポートの詰り。
 
このポートはインマニの中を貫通しており、直径25mm程度。
1台はほぼ完全に詰まっており、1台は5mm程度までふさがっていた。
残り2台は見ていないが、やはりかなり詰まっていたようである。
ちなみに、インマニを外さないと点検は無理である。
 
参考までに、マツダのRFエンジンも同様に詰まるようである。
 
(トヨタ車でも経験あり)
 
 
 

Nレンジで前進/ラクティス

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Nレンジで前進し、Rレンジでは動かない、Pレンジでも動かないが動きそうな気配があるという平成19年式ラクティス(NCP100
 
また、Pレンジでアクセルペダルを踏み込むと2000回転くらいしか吹き上がらないという。
  
CVT車で勉強会仲間からの電話相談。
 
症状からはある箇所が予想される。
 
CVT車では初めてだが、昔のFR車のATA42D)で何度か経験済み。
 
特にCVT車は構造から容易に推定できる。
 
CVT車の変速はプーリー部で行っているが、前進、後退の切り替えは前後切り替え機構で行っている。
 
この部分は、どのメーカーもほぼ同じで、シフトレバーを操作することによりCVT内のバルブにより油路が機械的に切り替わる。
 
前進レンジではフォワードクラッチに油圧がかかり、Rレンジでリバースブレーキに油圧がかかり作動するという単純な構造である。
 
 
イメージ 1
 
前後切替機構は遊星歯車になっており、フォワードクラッチやリバースブレーキに油圧がかかっていないNレンジでは、各ギヤがフリーで回っている。
 
フォワードクラッチが作動すると、サンギヤ(図中のプラネタリーギヤ)とキャリアが同時に入力になるので、全体が一体で同回転する。
 
このような構造なので、Nレンジで前進するということは、油圧の切り替えを行っているバルブ系の不良か、フォワードクラッチの張り付きしか考えられない。
 
ただし、ATFが真っ黒ということで、焼き付きの可能性の方が高い。
 
部品が出れば交換しようと思ったようだが、CVTに関しては一切の部品供給がないということで中古のCVTに交換。
 
 
交換後、正常になったのだが、勉強のため分解してみると予想通りフォワードクラッチが焼けて張り付いていたそうである。
 
 
全体的に焼けている
イメージ 2
 
 
イメージ 3
 
 
焼き付いて取れないフォワードクラッチ
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ほとんど残っていないフェーシング
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イメージ 6
 
 
 
ただ、なぜ焼付いたのか疑問は残るところである。

ATのクラッチとブレーキ

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宿題コーナー第38弾(レベル1)
 
前回の記事で、「フォワードクラッチ」、「リバースブレーキ」と、CVT内の部品名が出てきました。
 
そこで、言葉遊びの問題です。
整備するうえで知らなくても構わないことです。
 
プラネタリギヤを使ったATには、フォワードクラッチ、リバースクラッチ、オーバーランクラッチ、ハイクラッチなどのクラッチ類と、ロー・リバース・ブレーキ、ODブレーキ、コーストブレーキなどのブレーキ類があります。
 
しかし、「クラッチ」も「ブレーキ」も使われている部品の構造や材質はほとんど同じように思えます
 
なのに、呼び名が分かれています。
 
そこで問題です。
 
「クラッチ」と「ブレーキ」では違いはあるのでしょうか?
あるとするとどう違うのでしょうか?
 
私は確認のためネットで調べますが、解答される方は調べないでくださいね。(^_^)
 

ATのクラッチとブレーキ②

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整備士になりたての頃は、ATMT車の比率が今と全く反対でMT車が主流でした。
 
もちろん自分の車もMT車で、「AT車なんてジジィの乗る車だ。一生、MT車に乗るぞ。」なんて言っていましたが、結婚したらすぐにAT車を購入した私です。(^_^.)
 
しかし、当時は本当にMT車ばかりで、ATなんて勉強する必要はなかったのですが、トヨタ検定を受けるために仕方なく勉強した記憶があります。
 
その時はブレーキやクラッチの意味など考えず、ひたすらに名称と作動要素、それから機械的な動きを丸暗記するだけでした。
 
その後は勉強することはなかったですが、ある時にふと「なんでクラッチとブレーキとあるのだろう?」と疑問に思いました。
 
数十年ぶりに勉強した資料を引っ張り出してみると、ある法則があることに気が付きました。
 
下の写真が当時勉強した資料です。
 
C」はクラッチ。「B」はブレーキ。「F」はワンウェイクラッチです。
 
イメージ 1
 
 
イメージ 2
 
気が付いたでしょうか?
 
ある辞典では、クラッチとは「動力伝達軸の間で回転を伝達したり遮断したりする装置」、ブレーキとは「減速、あるいは停止を行う装置」となっていました。
 
英語本来の意味はどうかわかりませんが、整備士が使う言葉としては大体適切ではないかと思います。
  
ATでも同様で、「クラッチ」とは動力の断続を行うものです。
また、「ブレーキ」は回転部分を停止させるものです。
 
CVTでも同様ですね。
 
 
イメージ 3
 
たとえば、CVTの前後切り換え機構部のフォワードクラッチは、インプットシャフトの動力をプラネタリキャリアに伝えたり切ったりしています。
 
リバースブレーキはインターナリギヤを回転しないように固定しています。
  
1枚目の写真を見ますと、C0、C1、C2の各クラッチは動力を断続していることがわかります。
 
B0,B1,B2,B3の各ブレーキは回転部分をハウジングに固定していることがわかります。
 
つまり「クラッチ」とは動力の断続を行い、「ブレーキ」は回転部分を停止させるものということになります。
 
さすがに今回は多くの方が正解でした。
 
なお、これらの解説は私の独断と偏見によるものですので、必ずしも正しいとはいえません。
また、間違いがあればご指摘ください。
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