停止直前にABSが作動するというWILL。
オシロスコープの波形を測定すると、リヤ左に比べリヤ右の出力電圧が明らかに低い。
しかし、車速センサーの取付状態、ローターの状態、センサーの抵抗(配線含む)を点検したが問題なかった。
抵抗が良くてもセンンサーが良いとは限らないので、左右で入れ替えてみようかと考えていたが、センサーの取り付け部が若干汚れているようなので綺麗に磨くとことにした。
ワイヤーブラシでこすると若干の錆があったので、もしかしたらこれでだいぶ違うかもしれないと思い、ペーパーを使い綺麗に磨き上げた。
センサーを取り付け波形を観測すると、速度は前回の19 km/hより低い12 km/hなのに、右の出力電圧が0.4Vから2.5Vになり、左の電圧より高くなったのである。
清掃前の波形(19km/h)
清掃後の波形(12km/h)
1枚目の写真(清掃前)に比べ、2枚目の写真は、リヤ左の出力電圧が低く、また周波数が少ないことからも、2枚目の波形の方が速度が低いことがわかる。
それなのにリヤ右の出力電圧はかなり大きくなっている。
まさかこんなに改善されるとは思わなかったのでびっくりである。
逆に右に比べ左の方がかなり電圧が低くなったので、左側も清掃することにした。
まさかよくなるとは思っていなかったので、右側は写真も寸法も測定していなかった。
試しに左側は写真を撮って寸法も測定してみた。
清掃前
錆の状態(ひどくはない)
磨いた状態
清掃後、センサー取付面からローターまでの深さをノギスで測定すると、磨く前と磨いた後では0.4mmほどの違いがでた。
(ただし、測定場所の関係で正確に測定できたかは不明)
このセンサーのエアギャップはいくらかわからないが、ディスビの中のクランク角センサーは0.2~0.3mmだったと記憶している。
よって、ピックアップコイル式のエアギャップで0.4mmという違いは大きいのではないかと思われる。
左側を磨いた後に波形を調べると、左右ともほぼ同じくらいになった。
2枚目とほぼ同じ12 km/hだと、左は画面からはみ出てしまうくらい大きくなった。
1枚目と同じ19 km/hで測定し、1マスを倍の1Vレンジにして測定してみた。
速度はほぼ同じでレンジは倍なのに、波形の大きさは左右とも大きくなっている。
つまり左でさえ2倍以上の出力電圧になったということである。
(左は1.2Vから4V、右は0.8Vから3.2V)
このことからも磨いただけでこれだけの出力電圧が大きくなったのは間違いない。
特別汚れているわけでもなく、錆自体もそんなに大したことはなかったのだが、これほど出力電圧が変わるとは思いもしなかった。
清掃後は、1.28km/hでも4輪が同じ速度を表示するようになった。
エアギャップや単体点検で問題ないのに出力電圧が低い場合は、センサーの取り付け部を磨くことをお勧めする。