交差点などでエンストすることがあるという平成19年式キャラバン(DQGE25、KA24)。
この車種では珍しいガソリン車である。
特に左折時にエンストすることが多いという。
ただし、症状はあまり発生せず、他工場で3回ほど預けたが、原因がわからないままだという。
ダイアグノーシスを点検するとP0171(O2センサーリーン異常)を記憶していた。
データーモニターで空燃比補正値を点検すると、常時、プラス側に補正しており、回転を上げると125%で固定していた。
この125%というのは補正値の上限と思われる。
また、その時のO2センサーの出力電圧は低く、リーン状態が予想された。
その状態を数十秒続けていると、突然、補正値が100%になりエンジン回転が落ち込んだ。
しかし、すぐに補正が始まり数秒後には125%に戻った。
これは他のメーカーでも時々見られる現象で、制御によるものと思われる。
補正値の上限が続くとA/Fフィードバックがクランプ(停止)状態になり100%になり、その後、フィードバックが始まるせいだと思われる。
もしかしたら、交差点でこの状況が起こるとエンストするのかもしれないと思ったが、交差点ではアクセルOFFなのでその可能性は低いだろう。
アイドル状態で、ハンドルを切ってみるとエンストはしないがアイドル回転はかなり落ち込んだ。
これはリーン状態なのでエンジンのトルク不足によるものと思われる。
アイドル時のAACバルブ(ISCV)開度は11%であり、負荷をかけるとこの数値は大きくなり、アイドル回転補正は正しく働いているようだった。
こうやって考えるとやはり、リーン状態というのが原因の可能性が高いが、なぜ、交差点で起こるのか?
ハンドルを切るという負荷がかかるせいなのか?
とりあえずリーンの原因を探すことにした。
もっとも怪しいのはエアフロである。
見ると、日産では数多く不具合を経験したタイプのエアフロである。
ただし、その多くはリッチ側に特性がずれて、排ガスに合格しないというのがほとんどであった。
しかし、リーン側にずれたのも経験したことがある。
多発トラブルの1つなので新品をストックしてあるので交換してみた。
しかし、エアフロを交換しても数値(アイドル時で1.22V、3000回転時で1.8V)は大差なく、補正値も125%だった。
エアフロが原因ではなかった。
こうなると、考えられるのは燃圧、エア吸い、インジェクタの詰りである。
エンジンの振れはあまり感じないのでインジェクタは後回しにしエア吸いの点検を行うことにした。
パーツクリーナを各部に吹き付けたが、大きく変化するところはなかった。
次にホース類をホースプライヤーでつぶしていく作業を行っていると、邪魔になるエアフロ~スロットルボデー間のダクトを触るとエンジン回転が落ち込んだ。
ダクトをゆすってみると、明らかの回転に変化がある。
パット見た目には正常だが、よく見ると、じゃばら部分に亀裂があった。
外してみると裏側にも亀裂が・・・
アクセルペダルのON/OFFでエンジンはロールし、亀裂部分は広がったり狭まったりする。
当然、コーナーリングにおける横Gでもエンジンのロールが起こることは考えられる。
アクセルOFFでハンドルを切るという負荷がかかりエンジン回転が低下。
それにプラスしてダクトの亀裂が大きくなるとエンスト。
これが今回のトラブルの原因だったようである。