タイミングベルトを交換後、チェックエンジンランプが点灯するようになったという平成17年式ライフ(JB5、P07A)
同業者からの依頼で、ダイアグコードはP0606(ECU内部処理装置異常)を表示。
チェックランプが点灯するだけではなく、始動性がかなり悪い時と良い時があるという。
クランキングしてみるとかかりが悪い。
というよりかからない。
ダイアグを点検するとP0606を表示。
消去して再度点検すると正常コード。
クランキングして点検すると、コードP0606を表示。
その後、何度試しても同じ。
ただ、エンジンがかかりにくい時と、比較的スムーズにかかる時があった。
修理書を見ると、「ECUリセットを行い、IGキーをOFF、その後ONして40秒待ってDTCを確認」となっている。
それでもP0606であればプログラムを最新にアップデートする。またはECUを交換となっていた。
正常コードであれば一時的なエラーとなっていた。
修理書の手順を行うと正常コードになった。
修理書で言えば一時的なエラーだが、クランキングすると始動出来てもできなくてもコードP0606を表示する。
このP0606が何をもって異常と判断するのかの基準がわからないので点検しようがない。
とはいえ、タイミングベルト交換後に起こったトラブルなので、やはり作業したところが怪しい。
しかし、確認すると作業はベルトとテンショナーを交換しただけであり、クランク角センサーやローター、オイルシール類などの脱着や交換もないという。
バルブタイミングは再点検したのかと聞いたがそれはしてないという。
バルタイのずれでこんなコードを表示するとは思えない。
ネットで情報を集めると、同じライフで同じ症状の車があった。
しかし、相談の記事ばっかりで解決した事例は1件もなかった。
まず、なんでかからない時があるのかを点検することにした。
インジェクタの作動音と火花点検をしたが共に作動していた。
かからない時にパーツクリーナーを吸わせても初爆もない。
原因は火花でも燃料でもないということになる。
ただ、クランキング時、タイミングがずれた時のような回転だったので点火時期を確認。
始動出来ない時はマークが確認できなかった。
始動出来る時は、マークは見えた。
火花も燃料も出ているが、あとはタイミングの問題である。
こうなるとクランク角センサーとカム角センサーの波形を調べる必要がある。
しかし、オシロスコープで波形を調べたが、始動出来る時も出来ない時もそれぞれの波形やタイミングに違いが見当たらなかった。
こうなるとECU不良としか思えない。
ただ、気がかりなのが、なぜ、クランキングしないと異常コードを検出しないのかということである。
ECU内部処理装置異常であれば、キーONで検出してもよさそうである。
ECUが怪しいが、その前に、まずはクランク角センサーの取り付け状態や異物の付着、また、ローター側の点検も必要である。
もちろんバルブタイミングの再確認も必要である。
依頼者と話した結果、この後の作業は依頼者の工場で行うことにした。
数日後、結果の連絡があり、結果的にはバルブタイミングのずれだったのこと。
作業後からのトラブルであり、当たり前といえば当たり前だが、普通に考えて全く関係ないP0606が出てしまい、随分と回り道をしてしまった。
それにしてもバルタイのずれでこのコードを出すのはどうかと思う。
今回のように整備後であれば、整備したところを疑うが、他の事例にあるように、突然、アイドル不調でP0606が出れば悩むのではないかと思われる。
また、始動出来る時と出来ない時があるのは、不思議でならないが、エンジン停止位置によるものなのか、クランク角センサーとカム角センサーのズレの具合(ベルトの伸び・たわみ)によって起こるのであろうか?