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始動不能/レクサスLS460③

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1秒ほどクランキングを行うが、いきなり「ガツン」という感じでクランキングが停止し、その後は全くクランキングがしなくなるレクサスLS460。
 
調べるとVc端子が0Vであり、ハーネス側に問題がありそうだった。
 
通常、Vc端子は5Vの安定化電源であり、バキュームセンサーやスロットルセンサーに使われているのだが、この車にバキュームセンサーはなかった。
 
また、この車は電制スロットルであり、安全性を考えてかスロットルセンサーには、VCTA端子から単独の電源を供給していた。
 
配線図でこのVc端子が何につながっているかを調べると、4つのカム角センサー、2つのクランク角センサー、フューエルプレッシャーセンサーにつながっていることがわかった。
 
Vc端子が0Vということで、この中のどれかがショートとしているか、もしくは途中の配線がアースとショートしていることになる。
 
ショートの可能性があるセンサーが7つ。
 
これを見たときにすぐに怪しい物が頭にうかんだ。
 
それはフューエルプレッシャーセンサーである。
 
おまけに時間の経過とともに抵抗値が変化するとなると、やはりフューエルプレッシャーセンサーが怪しい。
 
それぞれのセンサーのコネクタを抜けばいいのだが、そうは簡単にはいかない。
 
一番怪しいフューエルプレッシャーセンサーだが、部品配置図からするとインマニを外さないとアクセスできそうにない。
 
そこで配線図を確認すると、まず目についたのがEH1のコネクタ。
 
イメージ 1
 
フューエルプレッシャーセンサーまでの途中にコネクタがあるようになっていた。
偽装図で確認するとエンジンの後方だ。
 
エンジンルームのカバーを外し、インジェクタドライバーと思われるものなども外したが、それらしきコネクタが見当たらない。
 
このEH1のコネクタもインマニを外さないといけないようだ。
そもそもハーネスを外すだけで一苦労しそうなほどハーネスだらけ。
 
 
イメージ 2
 
インマニを外すとなると大仕事。
 
どうしてもやる気がでない。
 
整備士の勘として、「やめろ。これ以上外すととんでもないことになってしまうぞ!」という心の声が聞こえるのである。(^^)
 
しかし、インマニを外してフューエルプレッシャーセンサーのコネクタを外さないことには断定ができない。
 
エンジンはかからないにしても、このコネクタを外してクランキングし、エンジンECUと通信できること、クランキングが何度もできることが確認できなければ、フューエルプレッシャーセンサーのショートとは断定できない。
 
しかし、インマニを外すとなると半日ではすまない感じがする。
 
標準作業時間を調べると、なんと4.7時間。\(◎o◎)/!
 
さて、どうするか?
 
つづく

始動不能/レクサスLS460④

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Vc端子回路がどこかでショートしていると思われるが特定が難しい。
 
一番、怪しいフューエルプレッシャーセンサーのコネクタは、とてもじゃなが外せない。
 
イメージ 4
 
その手前にあるEH1コネクタにもアクセスできそうにない。
 
インマニを外して作業すると4時間以上はかかりそうである。
 
どうするか。。。
 
 
もう一度配線図を見直すと、このVc端子は他にも分岐点があることに気がついた。(もっと早く気が付けよという話です)
 
それはJ/C No4である。
 
イメージ 1
 
このJ/C No4を調べると、なんとエンジンECUのすぐ近くにあったのである。(^^)
 
エンジンECUはエンジンルーム前部左側にケースに収納されており、そのケース内にJ/C No4のE52、E53コネクタがあった。
 
 結局、ケースの蓋を外すだけでフューエルプレッシャーセンサーのVc端子にアクセスできたのである。イメージ 2
 
 
コネクタを全部抜くとまずいので、フューエルプレッシャーセンサーの電源となっている、E52コネクタのA20端子だけをコネクタから抜いてみた。
 
イメージ 3
 
これで始動できればフューエルプレッシャーセンサー自体の不良か、A20端子~フューエルプレッシャーセンサーがアースと短絡していることになる。
 
クランキングすると見事にエンジンが始動した。\(^o^)/
 
始動後はエンジンのダイアグやデーターモニタも確認できるようになった。
 
配線のショーとの可能性も若干あるが、症状からはフューエルプレッシャーセンサー自体の不良と思われた。
 
たぶん、燃圧が上がると内部ショートを起こしECUがダウンしクランキングが中止。チェックランプも不灯。通信も不可。クランキングも不可となる。
 
時間の経過とともに内部ショートもよくなり、クランキングは可能。
 
これの繰り返しだったのではないかと思われる。
 
フューエルプレッシャーセンサーのトラブルはノア(AZR60)やクラウン(JZS175)でも経験があるが、どちらもオープン故障でありショートは始めての経験であった。
 
結局、フューエルプレッシャーセンサーの交換は依頼者の工場に任せることにした。
 
後日確認すると、交換後は正常になったようである。
 
レクサスは見る車であって、けっして整備する車ではないと痛感した。(^^)
 
おわり

時々ミス/マーチ

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不規則にミスするという平成16年式マーチ(AK12、CR12)が、同業者から待ちこまれた。
 
ダイアグノーシスで4番シリンダ失火のコードを持っていたので4番のIGコイルは交換したようである。
また、プラグは数日前の車検時に交換しているということである。
 
インジェクタかもしれないということで清掃&入れ替えをしたのだが、やはり4番がミスしているらしい。
 
話を聞いた限りでは、4番シリンダからのエア吸いのようであるが、調べた結果は問題ないという。
 
このエンジンは、プラグ交換などをした場合、サージタンクとインマニ間のOリングを交換しないといけないのだが、聞いたところ交換していないという。
 
そこからのエア吸いが一番に疑われたので調べることにした。
 
診断機でO2センサーの信号をモニターしながらパーツクリーナーをエアクリーナーから吸い込まないように注意しながらインマニに吹き付けたが、O2センサーの信号に変化はなかった。
 
エア吸いではなさそうだった。
 
点検中、ちょっと気なることがあった。
点火系は交換しているので、燃料系のトラブルとばかり思っていたのだが、理由も確証もないが、感じとしてミスの仕方がどうも点火系のようなのである。
 
4番シリンダの失火というコードを表示するが、4番以外のIGコイルの不良の可能性も完全には捨てきれない。
それにプラグは新品とはいえ、絶対に悪くないとも言えない。
 
ということで、プラグとIGコイルを調べることにした。
 
外したプラグを見ると、完全にクラックが入っていた。(^^)
 
 
イメージ 1
 
とても製造時に出来たものとは思えない。
作業者が落としたのではないかと思われる。
現に、頭の部分に1ヶ所傷が入っていた。
 
プラグを落とした場合は、プラグギャップが狭くなったり、今回のように碍子部分にクラックが入ったり、稀に碍子部分が根元から折れてくの字状になることがあるので注意が必要である。

暖機後、動かない/ストリーム

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暖機後、全く動かなくなるという平成13年式ストリーム(RA3)
元勉強会仲間からの情報提供。
 
1ヶ月ほど前に相談を受けていたのだが、「動かなくなるとミッションから『ギュー』という音がするので詰まりと思うのだが、フィルタが見当たらない」ということであった。
 
ホンダはオイルパンが無いものが多く、他のメーカーのようにオイルパンを外して、ストレーナを点検することが出来ない。
 
ラジエータ~ミッション間にフィルタらしきものが付いていた車もあったので、調べてもらったが無いという。
当然、ミッション本体にも付いてないらしい。
 
以前、似たようなトラブルで、各プレッシャーソレノイドバルブの通路にそれぞれフィルタがあり、それが詰まっていた事例を紹介して調べてもらった。
 
こちらも特に問題なかったようで、あとはA/T本体を分解するしかないのだが、ユーザーと相談の結果、20万kmほど走行していることもありASSY交換することになったようだ。
 
結果、A/T本体を交換してよくなったようである。
 
しかし、知人のメカニック、どうも気になってしょうがなかったみたいで、交換したミッションを分解したそうである。
 
すると中にストレーナがあり、かなり詰まっていたそうである。
 
部品供給があるかどうかは不明だが、部品さえあれば交換は可能だそうである。
 
 
イメージ 1
 
イメージ 2
 
誰に言われて分解したわけでもない。
分解したからといって、直接の利益にはならない。
しかし、どうも気になって分解したという知人は、やはり根っからの整備士と言えよう。
 
以前、不具合部品を分解してみることが大事だという記事を書いたことがある。
 
真の原因を見つけることが、次回から他の車種も含めて、原因究明に役立ったり、不具合部品をASSY交換するのではなく、悪い箇所を修理してまだまだ使うことが出来るからだというのがその理由である。
また、そうすることにより、ユーザー、工場共にメリットが出る場合があるからだ。
 
しかし、なんでもかんでも分解して悪い箇所を修理するのがベターというわけでない。
 
この車も、最初からミッションを分解して、ストレーナだけを交換したほうが良かったというわけではなく、また、清掃してATFを交換すれば、まだまだ使えたというわけでもない。
 
今回のミッションでいえば、20万kmも走行しているので、各クラッチやブレーキは磨耗しており、磨耗したからこそ詰まったのである。
長く乗るのであればASSY交換がベストの修理方法であったと思われる。
 
しかし、場合によっては、「あと半年しか乗らない」「ASSY交換するお金が無い」「とりあえず動かなくなるまで乗る」などの理由で、安い修理方法を望む場合もあるのではないかと思われる。
 
そういった場合、分解して真の原因を見つけることで、ユーザーへの修理方法の選択肢を広げることも整備士として必要ではないだろうか。
 
もちろん、そうすることによるデメリット、リスクの説明は充分行う必要があるのは言うまでも無い。

エンジン不調/アルテッツァ

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アイドル回転が高かったり、アイドル不調やエンストが発生するという平成10年式アルテッツァ(GXE10、IG-FE)
 
ダイアグは正常。アイドル不調時、パワーバランステストを行ったが、特定のシリンダのミスではなかった。
 
不具合現象とエンジン型式からVVTのOCVが疑われた。
アイドル不調時、エンジンを止めてOCVを外すと、中のプランジャーが少し進角側に出たままになっていた。
(写真の綺麗な部分が最遅角状態よりも出ている部分=進角)
 
イメージ 1
 
プランジャーを押すと、2mmほど移動した。 
 
イメージ 2
 
以前、「アイドル時エンスト/クラウン」という記事で紹介したのとほぼ同じである。
 
クラウンの記事の写真は、わざと不良状態を作ったものなので、今回はリアルに不良状態の写真である。
 
写真でもわかるように、かなりオイルメンテが悪い。
 
OCVを外したときに、あまりオイルが出なかったのでストレーナも外してみたが、かなり詰まり気味になっていた。
 
イメージ 3
 
イメージ 4
 
 
ストレーナとOCVを清掃したが、不具合は発生したのでOCVを新品に交換すると完治した。
 

燃料計作動せず/ワゴンR

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宿題コーナー第31弾(レベル4)
 
燃料計が上がらないという平成12年式ワゴンR(MC21S)
 
フューエルレベルゲージを外して単体点検をすると、FULLで7Ω、ENPTYで94Ωとほぼ基準値通りで問題ない。
  
イメージ 1
 
では、メーターの不良だろうと思い、レベルゲージの信号線をアースすると、予想を裏切り燃料計は振り切った。
 
メーターも悪くない?
 
レベルゲージも悪くない?
 
どういうこと?配線?
 
フューエルレベルゲージはタンクから外したままコネクタを接続し、フロートを一番上まで持ち上げるとメーターはFULLまで動く。
 
フロートをストロークの半分くらいにすれば、メーターは半分近くになった。
 
しかし、そのまま燃料タンクに取り付けると、Eまでも上がらない。
燃料は半分以上入っている。
 
 そこで問題です。
このトラブルの原因は何でしょうか?
 
部品名と不具合状態をお答えください。
 
なお、フューエルレベルゲージはスムーズに動き、燃料タンクやフューエルレベルゲージに割れや変形はありません。
 
点検の順序や方法は違いますが、原因は実際にあったトラブルです。
 
出来れば内緒でコメントしてください。
内緒でのコメントが出来ない方は明日以降のコメントをお願いします。

燃料計作動せず/ワゴンR②

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多くの方からコメントをいただきありがとうございます。
 
今回の問題は簡単だったようで、ほとんどの方が正解でした。
 
フューエルレベルゲージをタンクから外した状態で、フロートを上下させるとメーターは動くのに、燃料タンクにフューエルレベルゲージを取り付けると動かないとなると、フロートが機械的に動かないことが考えられます。
 
電気的に考えられるのは1つだと思います。
 
それは、フューエルレベルゲージの傾きによって可変抵抗部分の接触不良が起こるということです。
ただし、フューエルレベルゲージをタンクから外した状態でフロートを上下させるときに、傾きを変えながら点検すればわかる事ですし、可能性としてはかなり低いと思います。
 
やはり、機械的な動き不良の方が高いでしょうね。
 
機械的な動き不良とはなんでしょうか?
 
それは燃料タンク内ではフロートが動かないということです。
これは様々なことが考えられます。
 
たとえば、フューエルレベルゲージが誤品、、フロートのアームが変形、逆にセパレートが変形しておりタンク内でフロートとセパレートが引っかかるなどです。
 
また、実際にこれに似たような現象で、フューエルレベルゲージの取り付け位置が違っていたこともあります。
 
もちろん燃料タンクの変形でもこういった現象が起こる可能性があります。
 
しかし、今回は燃料タンクやフューエルレベルゲージに変形がないというのが前提です。
そうすると、フューエルレベルゲージが誤品、取り付け位置が違う以外は原因にはなりません。
 
また、フューエルレベルゲージが誤品、取り付け位置が違うというのは、作業後に起こることです。
今回の問題には書きませんでしたが、作業後に起こった不具合ではありません。
 
では、変形等がなくてフロートが動かない可能性とは何でしょうか?
 
それはフロートの浮力がないということです。
つまりフロートがガソリンを吸っているということになります。
 
よって電気回路的には問題ないのに、フロートが沈んだままなので燃料計が上がらなかったのです。
 
LEOさん、向日葵さん、まさみさん、GARAGETSUBAKIIさん、hom********さん、半熟整備士さん、のまけしさん、車のお医者さん、hanninmaemechaさん、かなかなさん、Z250FTtoKH250Bさん、よりもさん、bm*****さん、まめまめさん、akiradashuさん、ほんとに多くの方が正解でした。
 
実際に経験した人もいるようですし、キャブのフロートで経験した人も多いみたいです。
特にバイクのキャブでは多いトラブルなのでしょうか?
 
数十年前ですが、四輪のキャブでもリコール?サービスキャンペーン?になった車があったような気がします。(S車?)
 
ただし、コメントでは「フロートに穴が開いた」、「ひびがはいった」ことにより、フロートの中にガソリンが入ったという方が半分くらいいますが、穴やひびはまったくありません。見た目は全く問題ないのです。
 
そもそもこのフロートは樹脂製?っぽいのですが、中は空洞ではありません。
 
 写真はフロートわ半分に切り目を入れ、その半分を90度ねじったものです。
 
イメージ 1
 
ネットで調べると、耐油性NBRフロートは、表面がエボナイト化しており衝撃に強いのが特徴だそうで、フロート内部は、NBRゴム/フェノール樹脂組成の独立泡膜で構成され、衝撃に強く、個々の気泡が独立しているため、液体の浸入はほとんどなく、傷や穴が開いても浮力に影響することがないということなのです。
 
つまり、中は空洞ではなく個々の気泡が独立していますので、穴が開いたりひびが入ったくらいでは浮力はなくならないようです。
 
今回の不具合品は、フロートを強く押すとガソリンが染み出してきました。また、新品に比べるとやはり重く、交換後、数日経過しても写真のように爪を立てるとガソリンがでてきました。
 
イメージ 2
 
つまり、独立した気泡それぞれにガソリンが染み込んでいたのでしょう。
 
これって材質の問題ではないのでしょうか?
ガソリンの問題でしょうか?
水抜き剤の影響でしょうか?
 
材質の問題であればもっと不具合が出ているような気がしますが、どうなのでしょうか?
 
ところで、キャブのフロートに真鍮を使っていた車をご存知の方も多いのではないかと思いますが、あれって中は空洞でしたよね?
この樹脂製のフロートはキャブでも使われていますが、バイクや古い車を除けばフロートの中は空洞ではありません。
なぜ、樹脂製のフロートは空洞ではないのでしょうか?
 
 
熱膨張により容積が変化し、浮力が変化するからでしょうか?
それとも、少しの穴や亀裂で今回のようなトラブルになるからでしょうか?

エンスト/ワゴンR

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走行中にエンジンが吹き上がらなくなったり、エンストしたりすることがあるという平成12年式ワゴンR(GF-MC21S、K6A)
 
エンジンの調子が悪いときにはチェックランプが点灯したらしい。
 
依頼者の工場でダイアグノーシスを調べたのだが、正常コードだったらしく、いろいろと調べたがわからいとということで依頼された。
 
念のため、当社でもダイアグノーシスを調べたが依頼者がいうように正常コードだった。
 
チェックランプが点灯したのに正常コード?
 
となると、可能性は3つ。
 
1つは、ECU不良。
もう一つはアイドル回転が低すぎる場合である。
後は古い車だけであるが、そもそもメモリー機能がない車。
 
まさかこの年式でメモリー機能がないなんてことはないだろうとは思い、強制的に不具合を作ってメモリー機能があるかを確認したが、不具合コードを記憶していた。
 
メモリー機能はあったので、チェックランプが点灯したのはECU不良かアイドル回転が低すぎたことが考えられる。
 
不具合は発生しチェックランプが点灯した時、アイドル回転が低かったのではないかを聞いたが、ユーザーには確認していないという。
 
また、症状からはECU不良のトラブルとは思えなかったので、チェックランプ点灯の件は後回しにすることにした。
 
吹き上がらなくなるということとダイアグで正常コードだったということで、まずは燃圧とO2センサーをモニターすることにした。
 
しかし、試乗して回ったが不具合が発生しない。
 
症状が出なければ調べようがない。
 
こういったときは基本に戻り詳しい問診をするに限る。
 
しかし、依頼者に聞くがあまりはっきりした返事がない。
 
特に知りたかった、山道や登り坂で不具合がでるのではないかと聞いていたのだが、お客さんは市街地でも出たと言ってたみたいだという返事。
クランク角センサーの可能性もあると思っていたのだが、これでその可能性は低くなってしまった。 
 
しかし、翌日、依頼者から電話があり、ユーザーと会ったので詳しく聞いたところ、エアコンを入れて登坂走行をすると不具合が出やすいということがわかったようである。(-.-)
 
となると、やはりクランク角センサーが怪しい。
車にインバータとオシロスコープをセットし、クランク角センサーとカム角センサーをモニターできるようにした。
 
1kmほど続く坂道をLレンジでガンガン走ると、登りついてから下りになったころ、なんかエンジンの反応が悪い。
メーターを見るとタコメーターが激しく上下し、チェックランプがチラチラと点灯。
 
ユーザーが言うような状態になったかと思うとエンスト。
 
下りだったのでそのまま惰力で走行し、邪魔にならないよう空き地に入っていった。
 
すぐに再始動できたが、レーシングすると不具合はすぐに再現。
 
オシロの波形を見ると、クランク角センサーの幅が狭くなり、一部欠落していた。
 
イメージ 1
 
イメージ 2
 
クランク角センサーの不良である。
スズキでは定番のトラブルであり珍しくもないが、今回のトラブルは、問診によって故障原因の推定ができ、問診により不具合現象を再現させることができた事例であり、結果、不具合原因を発見することができたのである。
 
故障診断の基本である、問診や現象確認がいかに大切であるかということを示した事例である。

冷機時、吹き上がり不良

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冷間始動直後、3分くらいするとエンジンの吹き上がりが悪くなるという平成12年式ムーブ(L900S、EF-VE)
 
ダイアグは正常。
 
燃圧と診断機をセット。
診断機のデーターモニターでまず気になったのがO2センサー。
エンジンを始動していないにも関わらず0.38Vを出力。
 
イメージ 1
 
エンジンを始動し試乗すると、2分ほどでO2センサーの出力は1.275Vとあり得ない数値まで上昇。
 
 
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この時点では空燃比の制御はオープンループ制御(フィードバック停止)なので、不具合は出ていなかったが、すぐにクローズドループ制御(フィードバック作動)になり、吹き上がりが悪くなった。
 
O2センサーが1V以上あれば、減量するので当然の症状である。
念のため、アース回路も調べたが問題なかった。
 
しかし、不思議なことに5分も経過すると、O2センサーはまともな数字を出力するようになり、不具合は出なくなるのである。
 
O2センサーは保障延長の対象車であるが、保障期間が過ぎているので有料での交換となった。
 
交換したO2センサーを見るとN○P製だった。
 
ここのO2センサーは不良品が多いように感じる。
 
交換後、数ヶ月で壊れた事例も何度か経験している。

始動不能/MRワゴン

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アイドリング中にエンストし、その後、始動不能になったMRワゴン(MF21S、K6A)
 
調べると、「メイン」の15Aと「IG」の15Aヒューズが切れていた。
 
2つのヒューズが同時に切れることがあるのかと不思議に思いながらも、確認のため2つのヒューズを交換してみた。
 
そして、IGスイッチをONにすると2つのヒューズが切れてしまった。
 
2つのヒューズが同時にきれるということは、この2つのヒューズを通った共通の負荷がショートしている可能性が高い。
 
この2つの負荷を調べると、共通しているのはエンジンECUであることがわかった。
25番のIGヒューズはECUの217番端子(IGS)、10番のメインヒューズはメインリレーを経由してECUの201番端子(+B)につながっている)
 
イメージ 2
 
イメージ 1
 
ECUを外してECU側の201番の+B端子とECUのアース端子であるE1端子間の抵抗を測定すると1.2Ωしかなかった。
 
これではヒューズが切れるはずである。ECU内でショートしているようである。
 
ECUが壊れた原因は何かと考えたとき、頭に浮かんだのはISCVである。
 
ISCV(ステップモータータイプ)の単体点検を行うと、予想通り4つのコイルのうち1つが0.2Ωしかなく、完全にショートしていることがわかった。
 
ISCVのショートがエンジンECUを壊したものと思われる。
 
このECUは非分解式なのだが、ECUの単体点検結果から、ECUが悪いのは明らかなので分解してみることにした。
 
分解してみると中は恐ろしいことになっていた。
 
イメージ 4
 
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樹脂で密閉しているタイプなので火災に至らなかったのは幸いである。
 
実はこの車、ユーザーが車の中で仮眠している時にエンストしたのだが、場合によっては大惨事になっていた可能性がある。

圧力計

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宿題コーナー第32弾(レベル5)
 
先日、トヨタの1G-FEエンジンを調べている時、あることを思いだしました。
 
キーON時、スキャンツールで吸気管絶対圧力を調べると、744mmHgという数値でした。
絶対圧は、真空を0mmHgとする圧力ですが、通常、我々が住んでいる地表では760mmHgが普通です。
しかし、760mmHgが普通とはいっても、気温、海抜、気圧によって変化します。
 
744mmHgをパスカルに直すと、約992ヘクトパスカルだと思います。
760mmHgは1013ヘクトパスカルです。
 
1013ヘクトパスカルより高い気圧を高気圧、低い気圧を低気圧と呼ぶのだと思っていましたが、そうではないようです。
 
周りより部分的に低いと低気圧、周りより部分的に高いと高気圧と呼ぶそうです。(間違っていたらご指摘を)
 
980ヘクトパスカルくらいでも台風の場合があるくらいです、この744mmHg(992ヘクトパスカル)もかなりの低気圧と思われます。
雨量とは関係ないのかもしれませんが、当日もかなりの大雨でした。
 
本題に戻しますが、キーONで吸気管絶対圧力(インマニ絶対圧力)は744mmHgだったのですが、マイティバックで-500Hgの負圧をかけるとある数値になりました。
 
単純に考えると、キーONの時の吸気管絶対圧力が744mmHgのとき、バキュームセンサに-500mmHgの負圧をかけると、744-500=244mmHgになりそうですが、本当にそうでしょうか?
 
当日は標準の760mmHgから16mmHg低い744mmHgです。
マイティバックの目盛は0mmHgではなく、-16mmHgになっていなかったのでしょうか?
(目盛は50mmHg刻みなので目視ではわかりません)
仮にそうだとすると、-500mmHgの負圧をかけたつもりでも、実際には-484mmHgの負圧しかかけていないことになり、744-484=260mmHgという吸気管絶対圧力になるはずです。
 
実はこのことは以前、何かのことで調べたことがあり、知識では知っていましたが、ふと、検証しようと思いある実験をした結果、知識どおりでした。(当たり前ですね)
 
ここで問題です。
キーON時、インマニ圧力が744mmHgの絶対圧のとき、バキュームセンサに-500mmHgの負圧をかける、スキャンツールの吸気管絶対圧力はどういった数字になるでしょうか?
①か②でお答えください。
ただし、マイティバックの構造により違う可能性も排除できませんので、一般的に使われているブルドン管式圧力計を使ったマイティバックとします。
 
① 744-500=244mmHg
② 744-484=260mmHg
 
要は、圧力計が測定場所の圧力(気圧)に影響を受けるか受けないかということです。
 
また、圧力計が測定場所の圧力(気圧)に影響があるかないかということを検証する方法があればお答えください。
 
出来れば内緒でコメントしてください。
内緒でのコメントが出来ない方は明後日以降のコメントをお願いします。

お詫び

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問題を出しておきながら放置してしまい申し訳ありません。
また、その間、コメント頂いたにも関わらず返信もしなくて申し訳ありません。
 
大変忙しかったせいもあり、自分のブログはもとより趣味に関するブログやHPも見ない生活が続いていました。
それでも記事を更新する時間くらいはあったわけですが、忙しさよりも記事を書こうというモチベーションの低下が激しく、この1ヶ月が過ぎてしまいました。
 
やっと、時間的な余裕ができ1週間ほどたちまして、なんとか記事を書こうという気力が出てきました。
 
問題の解答は明日以降にさせていただきます。
 
とりあえず、お詫びかたがたご報告までです。

圧力計②

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解説が遅くなり大変申し訳ありません。m(__)m
 
読み返してみると問題がわかり難いですね。
また、今回の解説で気圧と圧力を同じに考えていますが、問題ないのでしょうか?
 
キーON時のバキュームセンサの信号は、測定場所の気圧によって変化します。
バキュームセンサは絶対圧(真空を0とした圧力)表示ですから、キーON時では測定場所の気圧の変化がインマニの圧力に影響を受けるからです。
では、ブルドン管を使った一般的な圧力計は、測定場所の圧力(気圧)に影響を受けるのでしょうか?
 
どういうことかというと、例えば、平地での標準なバキュームセンサは絶対圧で760mmHg(=1気圧)です。
しかし、富士山の5合目だと約0.8気圧だそうですから、560mmHgほどだと思います。
これは、高地に行くほど気圧が下がるからです。
 
では、圧力計(燃圧計、圧縮圧力計等)を平地に置くと0kg/cm2ですが、富士山の5合目に持っていくとどうなるかというのが今回の問題の主旨です。
 
5合目は0.8気圧ですので、平地より0.2気圧低いことになります。
1気圧は約1.033kg/cm2ですので、0.2気圧は0.2kg/cm2ということになります。
ということは、圧力計は1気圧のところでは0kg/cm2ですが、5合目にもっていくとその状態で-0.2kg/cm2を指すのでしょうか?
 
そんなことはありませんね。
圧力計はどこに持って行こうが0kg/cm2のままです。
 
いわゆるゲージ圧ですので、測定場所の圧力を0kg/cm2として表示します。
 
ということで、低気圧だった日のバキュームセンサーの値が744mmHgの車に、-500mmHgの負圧をかけました。
負圧をかけていないときのマイティバックの指針は0kg/cm2のままですので、答えは①の244mmHgです。
 
本当にそうなのかを実験してみました。
 
ただし、圧力計の中には密閉式もあるかもしれません。
そんな圧力計は0kg/cm2を表示しないかもしれません。
 
 
つづく

圧力計③

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圧力計が測定場所の圧力に影響があるかないかということを検証ですが、マイティバックの目盛は大雑把なのでコンパウンドゲージを使い検証してみることにしました。
これだと目盛りも小刻みですし、正圧を使っての検証ができると思います。
 
イメージ 1
 
このコンパウンドゲージは正圧でも負圧でも測定可能できるゲージなのですが、大気圧状態では写真のように目盛は0kgf/cm2です。
 
このコンパウンドゲージのホースの先端をビニールの袋の中に入れ、ゲージの本体は袋の外においておきます。
そしてエアガンで袋の中にエアを送り込みました。
 
イメージ 2
 
すると、コンパウンドゲージは0.2kg/cm2まであがりました。
(写真は手法を見せているだけで圧力をかけていませんので圧力は0kg/cm2のままです。指針は青い針です。赤は最大値を示すものですので関係ありません)
 
次にコンパウンドゲージ全体を丸ごとビニール袋に入れたまま、同じようにエアガンでエアを送り込みました。
 
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すると、コンパウンドゲージの目盛に全く変化がありませんでした。
 
ということは、圧力計は測定場所の圧力(気圧)に影響を受けないということです。
 
仮に、このコンパウンドゲージを真空の部屋に置いても目盛はゼロのままだと思います。
 
これは圧力計の構造を考えればわかることで、一般的に圧力計に使われているブルドン管は、真鍮やリン青銅のような銅合金の平たい筒を?字に曲げてあります。この筒の中に正圧がかかると伸びようとしますので、正圧側に針が振れます。
 
負圧の場合はこれとは逆に先端部が縮まろうとしますので負圧側に振れます。
 
子供がお祭りで買うピロピロ笛(プラスチックの吹き口とつぶれて丸まった紙筒からできていて、息を吹き込むとピーという音とともに紙筒が伸びて、吹くのをやめると先の方からクルッと戻ってくるというもの。)とほぼ同じ構造です。
 
ブルドン管にしろピロピロ笛(正式名は「吹き戻し」でそうです)にしろ、管の内外に圧力差があるからこそ変形するものです。
 
しかし、こういったものを圧力の高いところに置いたとしても、管の内外に同じように高いので変形はしません。
 
ただし、圧力計は測定場所の気圧変化に影響を受けないというのは、圧力計に圧力がかかっていない状態であって、実際の圧力がかかった場合は、無視できるレベルかもしれませんが少なからず影響を受けるかもしれません。
 
詳しそうな方からのコメントがありましたが、私にはなぜそうなのかはわかりません。
 
私の知識不足のまま、問題として出題してしまいました。反省です。
 
この記事がどこまで正しいのか自信がありません。
間違っている場合はご指摘ください。
 
おわり
 
 

暖機後、エンジン不調/バモス

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暖気後、アイドル不調になりひどいとエンストするという平成12年式バモス(GF-HM1E07Z
 
症状を確認すると、始動後は全く問題ないのに、5分もするとといきなりアイドル不調になった。
 
エンストしないように回転を上げたがミスがひどくて吹き上がらない。
 
アイドル不調といっても言葉ではうまく説明できないが、点火時期がまるっきり狂っているような感じである。
 
通常だとどこが悪いのかわからないと思うくらいひどいのだが、この車についてはすぐにピンときた。
 
それはクランク角センサーの不良である。
 
これは経験からくるもので、過去にも4,5台は経験済みである。
 
たぶん、以前も紹介したことがあるのではないかと思われるし、先月くらいにだれかの記事でも見た記憶がある。(福本さん?)
 
クラセンをオシロで調べると、正常時は長い凸波形が2回と短い凸波形2回が繰り返している。
 
イメージ 1
 
しかし、不調時は、短い凸波形が抜けている箇所がある
 
イメージ 2
  
1回の歯抜けにより、点火時期や噴射時期が狂ったようである。
点火指示信号と合わせてモニターすればその辺のずれがよくわかったのかもしれない。
 
このトラブルは比較的多発傾向にあるのではないかと思うが、オシロがないと断定は難しいと思われる。

吹き上がり不良/ステージア

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時々、エンジンが吹き上がらりが悪いときがあるという平成10年式ステージア(E-WGC34、RB25DE)
 
不具合発生時、O2センサーの電圧がほぼ0V、A/F補正値は120%。
吹き上がらない時に、パーツクリーナを吸わせるとエンジンは吹き上がった。
 
これらから、燃料不足による吹き上がり不良と推定。
 
まず、一番怪しい燃圧を測定すると3kg/cm2と問題なかった。
 
次に点検したのはエアフロメーター。
 
こちらはアイドル時、0.85V~1V間で変化。
エアフロはすごい敏感で、少しの電圧の違いで燃料噴射量に大きな影響を与える。
通常は1.1Vくらなのだが、どうも電圧が低いような気がする。
 
ストックしてあったエアフロと交換するためにエアフロを外すとびっくり。
 
イメージ 1
 
 
入り口側に異物がびっしり。
 
エアエレメントを長期間交換していないため、ボロボロになったようである。
もちろん社外品のエアエレメント。
 
 
イメージ 2
 
 
過去にも同じように社外品のエアエレメントの一部がエアフロメータのホットワイヤー部に絡みつき、特性異常を起こしていたことがあった。
 
社外品でも定期的に交換すれば問題ないのかもしれないが、この手のエアエレメントを長期間使うのはやめるべきである。
 
異物を取り除くと、A/F補正値は90~105%でフィードバックするようになった。

減速時ショック大/マークX①

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    この記事は記事にするつもりがなかったので詳しいデーターを記録していません。よって内容は一部不正確の可能性もあります。
 
のまけしさんの記事(http://blogs.yahoo.co.jp/mecha29aki/11411542.html?vitality)で、クラウンで減速時(特に2速→1速)にショックがでるというもがあります。
車種もミッション型式も違いますが、私がマークXで経験したものとは症状と原因がほぼ同じようでした。
のまけしさんは都合により最後まで故障診断が出来なかったようなので代わりに私の体験談を記事にします。
 
 
減速時に1回もしくは2回ショックがあるという平成17年式マークX(車両型式GRX120、ミッション型式A960A=6速AT)
 
これまでに経緯を簡単に説明。
 
中古車販売店からA工場に入庫。
いろいろと点検をし、その中で学習値の初期化を行ったのだが良くならないどころかチェックランプが点灯するようになったということでB工場に依頼。
 
B工場で調べると、ダイアグコードP1589(加速度センサ学習値異常)を表示。
これは、ATの学習値初期化を行ったときに、合わせてGセンサ0点学習を行わなかったことにより発生したものだったので、G(加速度)センサ0点学習を実施。
すると、チェックランプは消えたのだが、ショックのほうは改善されなかったようである。
 
とりあえずATFを交換してみると、かなり改善されたのでAT本体の不良だろうということになりミッション本体を交換。
 
しかし、良くならないということで依頼された。
 
Gセンサーと加速度センサーは同じものだが修理書ではこの2つが混在しているので、以降、Gセンサに統一。
 
【修理書の参考事項】
l      Gセンサ 0点補正未実施または未完了にて走行(20hm/h以上)すると、ダイアグコードP1589(Gセンサ学習値異常)を出力し、チェックエンジンウォーニングランプが点灯する。
l        Gセンサ0点学習実施後、学習値異常(ダイアグコードP1589)が出力する場合は、ダイアグノーシスコード消去後、再度[AT学習値初期化]から[Gセンサ0点学習]の作業を行う。
  
症状を確認すると、確かに減速時にショックがある。それもかなりのショックである。
その多くは停車直前に2速から1速にシフトダウンした時である。
中には3速から2速にシフトダウンするときにショックが発生することもあった。
 
念のため、AT学習値初期化とGセンサ0点学習を行ったが、効果はなかった。
試乗した限りではシフトダウン時のショックに間違いない。
 
さぁ、どうするか。。
 
というか、その前に6速ATってどうなってるのか?(^^)
 
4速ATはトヨタのA42DEやA340DE、日産は二養の教科書にあるRE4R01Aなどでしか勉強していない。
今からみれば2世代前のATである。
 
ということで、6速ATのお勉強に突入。(^^)
 
つづく
 
 

減速時ショック大/マークX②

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減速時に1回もしくは2回ショックがあるという平成17年式マークX。
ミッションを交換しても同じ。
 
症状を確認すると、2速から1速にシフトダウンするする時にショックが発生していることがわかった。
 
そこでシフトダウン時にショックが大きくなる可能性を考えてみたが、次の4つしか思いつかない。(あくまでも個人的な考え)
 
①アキュムレータの不良、②ライン圧の高すぎ、③シフトタイミングが早すぎ、④クラッチやブレーキの作動タイミングのズレによるショック。
 
①のアキュムレータは、各クラッチやブレーキにかかる油圧をゆっくりかけてショックを和らげるもの。
 
しかし、これが上手く作動しないとショックが大きくなる。
 
以前のATは各クラッチやブレーキにかかる油圧を吸収するために機械式のアキュムレータがあったが、最近のアキュムレータは背圧をソレノイドで油圧コントロールしているようである。
 
コントロールといっても専用のソレノイドがあるわけではなく、ライン圧ソレノイドによってライン圧を変え、その圧力を利用しているようである。
 
②のライン圧は、以前は各クラッチやブレーキにかかる油圧をアクセル開度に比例して変えていたのだが、今は、それに加えてクラッチ圧やブレーキ圧自体も結合油圧制御用のリニアソレノイドによりショックが出ないように油圧をコントロールしているのである。この油圧が高ければやはりショックが大きくなる。
 
③のシフトタイミングであるが、早めにシフトダウンすればエンジンブレーキが効きすぎてショックが大きくなるはず。
 
④の各クラッチやブレーキの作動タイミングだが、これがズレると2重噛み合いみたいになりショックが大きくなると思われる。
 
このようにショックが大きくなる可能性は絞られてくるのだが、私が勉強したATは旧式のATであり、正直、今のような複雑なATは勉強不足といえる。
 
解説書でいろいろと調べたが、詳しいことが書かれていない。
正直わからない。(^^)
 
それでも、点検できるだけはやっておこうと1つずつ点検することにした。
 
まず、③のシフトタイミング。
 
シフト位置を変えたり、いろいろな乗り方、ブレーキ操作をしたが、スキャンツールのデータモニタで1速へのシフトダウン信号がでる速度は、時速数キロでありタイミング的に早いとは思えなかった。
 
しかし、念のため、変速タイミングを決定する車速とスロットルセンサーの信号を調べたが、特に問題はなかった。
 
次に②のライン圧だが、測定できるので圧力計をつけたまま走行してみたが、減速時は約4kg/cm2であった。
 
これはアクセルOFF 時の値であり問題なかった。
 
ただし、ドンとショックがあったコンマ数秒後に若干圧力の上昇(といっても1kg/cm2くらい?)があったが、これがショックによるものなのか、本当に油圧が上がって圧力計の作動遅れによるものなのかは判断できなかったが、ライン圧ソレノイドへの信号には変化がなかったので、実際にライン圧が上がっているとは思えなかった。
 
それに、ライン圧が高ければどの変速位置でもショックが大きいはず。
 
また、基本的にライン圧はスロットルセンサー信号によって変わるので、そのスロットルセンサーの信号に問題がないのにライン圧が瞬間的にあがることは考えにくい。
 
ということで、②と③は除外。
 
問題は①と④である。
 
 
まだまだつづく

減速時ショック大/マークX③

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減速時に1回もしくは2回ショックがあるという平成17年式マークX。
 
変速時にショックが大きくなる可能性は4つ。
①アキュムレータの不良、②ライン圧の高すぎ、③シフトタイミングが早すぎ、④クラッチやブレーキの作動タイミングのズレによるショック。
 
この中の②と③は前回の記事にあるように、点検結果から除外。
残るは①と④。
 
まず①のアキュムレータ。
確かに背圧コントロールを行っているが、専用のソレノイドがあるわけではなくライン圧を利用しているようだった。
ということは、ライン圧に異常がないので制御系は関係ないことになる。
 
仮にアキュムレータ系に異常があるとすればミッション本体が不良ということになる。
しかし、すでにミッションは交換しているのでその可能性は低い。
 
こう考えると、①も除外できるので今回のショックの原因は、④のクラッチやブレーキの作動タイミングのズレによるショックと思われる。
 
では、原因がミッション側なのかどうかの判断はどうすればいいのか?
 
制御信号を点検するかクラッチやブレーキにかかる油圧を測定すればいいと思われる。
 
しかし、圧力コントロールソレノイドはデューティ制御しているのだが、残念ながら基準値がない。(実際は修理書に掲載しているが、掲載している波形の形は参考できるが、デューティ比がどの状態のものなのか不明なので、デューティ比を参考にしていいものなのかがわからない)
 
また、実際のクラッチやブレーキにかかる油圧をホンダ車みたいに測定できればいいが、トヨタは測定できるようになっていない。
 
つまり、④については点検ができないということになる。
 
よって、原因が制御側かAT本体側かが判断できない。
 
ただし、今回はミッション本体を交換しており、アキュムレータの機械的不良やクラッチやブレーキの作動タイミングの機械的ズレは考えにくい。
 
よって、圧力コントロール信号、つまりECU側の不良と考えられるが、念のため知り合いに相談することにした。
 
すると、「あ、あれね。」という感じで、フレームナンバーを聞かれた。(^^)
 
ECU不良に間違いないようだ。
 
B工場の人にそういうと、たまたま中古車販売用の同型式の車のECUがあったらしく交換すると良くなったようだ。
(幸いにもイモビ非装着車だったので単純に交換が可能だった)
 
結局、どこがどう悪くてこの症状がでるのかはわからなかった。
 
 
 
もし、これがミッションを交換していない状態で、ECU不良と判断できるのか?
もし、情報としてこんなトラブル事例がなかったらどう判断するのか?
 
正直、難しい。。。
 
一般的には、スロットルセンサーと車速センサの信号に問題が無ければ、ミッション本体に原因があると思われる。
ただし、マークX(GRX120系)とクラウン(GRS180系)に関してはECUを疑ったほうがよさそうである。
 
 実はその後の調べで、あることがわかった。
 
作動要素(2速から1速にシフトダウンするためにC1、C4は作動させたままで、B2、B3の作動をやめる。そして、同時にB4を作動させている。)から、B2、B3、B4に関するところに原因があるのかもしれないと予想していた。
※実際はワンウェイクラッチもからんでいるが省略。
 
よって、ブレーキ圧コントロールソレノイド(SL2)の波形をオシロスコープで点検してみたいと思っていたが、当社でECUを交換しなかったので点検しないままだった。
 
しかし、ECU交換前後でこの信号を点検していれば違いがあったのかもしない。
 
信号に違いがあるとすれば、SL2信号のデューティ比が大きく(ON時間が長く)なっていると思われる。
(正常な時は、ON時が1msだが、これが2ms以上の場合はECU不良と判断。その場合、念のためデーラに相談したほうがよい。無料で修理してくれるかも?)
 
 
イメージ 1
 
※今回の事例は、あくまでも個人的な考えです。
システムや故障診断の考え方が正しいとは限りません。

消えないP1602/タント

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ユーザーがバッテリを上げてしまった平成24年式タント(L375S、KF)
バッテリを交換したのだが、ecoIDLEランプが点滅(オレンジ)するという電話相談。
 
P1602は「始動時電源電圧低下異常」を表しているようで、バッテリが上がったのであれば当然表示するコードである。
 
しかし、バッテリを交換してスキャンツールを使っての消去作業を行っても、ecoIDLEランプが点滅し、ダイアグノーシスを調べるとP1602を表示するというのである。
 
なにか、初期化でも必要かと調べてみたが、ECUやスタータを交換したときの作業はあったが、バッテリ交換では特に作業は何もなかった。
 
ダイアグコードの消去であれば、ヒューズを抜く方法もあるだろうと思いFAINESで調べることにした。
 
調べると、「ECU B」と「B/UP」ヒューズを60秒以上抜き取る」となっていた。
 
「トヨタと同様に2つのヒューズを抜く方法になっているのか」などと思いながら、その下の注意書きを読むと、「冷間時は、ダイアグノーシスコードの消去時間が長くなる場合がある。」などが書かれていた。
 
また、その次には参考として「P1602(始動時電源電圧低下異常)が消去できない場合は、データーモニター・・・・・・・・、ヒューズ抜き取り時間が短い可能性があるため・・・・・・・・」などと、今回のトラブルに関係することが書かれていたので、印刷してFAXすることにした。
 
印刷したものを何気なく頭のほうから読んでみると、スキャンツールを使った消去作業の項目に、目を疑うことが書かれていた。
 
それはP1602/37(始動時電源電圧低下異常)が出力している場合は、DS-Ⅱによる消去ができないため、ヒューズ抜き取りによる消去を実施する」となっているのである。
 
イメージ 1
 
つまり、ダイハツ純正のスキャンツールであるDS-Ⅱで異常コードの消去ができないので、ヒューズを抜き取る方法で消去作業を行えというのである。
なんともお粗末な話である。
 
これで、相談者がスキャンツールを使っての消去作業ができない訳がわかった。
 
このダイアグノーシスコードの消去方法の画面の右上に「挟み込みNO1」という文字がある。
 
イメージ 2
 
これは、修理書の訂正か追加を行ったものと思われるが、たぶん、この項目を追加したものと思われる。
 
ちなみにミライースやムーブを調べたが同じく、タントと同じくスキャンツールによる消去ができないとなっていた。
 
なお、この項目はエンジンではなく「eco IDLEシステム」の項目なのでお間違えのないように。
 
 
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