エンジン始動後にチェックランプが点灯し、エンジンの吹き上がりが悪くなるという平成16年式タウンエース(CM75、3C-E)
正月早々のトラブル車が他工場から持ち込まれた。
どうも昨年からやっているようで、部品を交換をしたがよくならなかったようである。
といっても後輩が担当した事例。(^^)
調べるとダイアグコードはP1222(吸気絞り制御系)を表示。
当然、吸気絞り装置が怪しいのだが、依頼された工場で電子制御式吸気絞り機構は新品にASSY交換されていた。
この電子制御式吸気絞り機構とは、ガソリン車でいうところの電子制御式スロットルバルブに相当するもので、下の図のようにスロットルボデー、吸気絞り弁、吸気絞り弁駆動用ステップモーター、全開位置検出スイッチが一体となっている。
3Cエンジンはジーゼルエンジンなのでスロットルバルブは不要なのだが、なんでこんなものが必要かというと、それはEGRをさせるためである。
ジーゼルエンジンにはスロットルバルブが不要だが、スロットルバルブがないとインマニ負圧がほぼゼロである。
そのためEGRをさせるのが難しいので、ジーゼルエンジンでもわざわざ吸気系統に絞り弁(スロットルバルブみたいなもの)で付けて負圧を発生させているのである。
この吸気絞り弁の開度を細かく制御することにより、全使用域にわたって最適なEGR量を実現させている。
また、エンジン停止時には全閉させ、エンジン停止時の振動を低減させる役目も兼ねている。
話を本題に戻そう。
ダイアグコードでP1222(吸気絞り制御系)を表示した。
このコードの検出条件等を確認すると、「エンジン暖気後、吸気絞りモーター回路の短絡または断線」となっている。
吸気絞りモーターはガソリン車のISCVに使われているステップモーターとほぼ同じものである。
P1222を表示したということは、このモーターの不良、モーター~ECU間の不良、ECU不良の3つしか考えられない。
そのうちモーターは新品に交換済み。
モーター~ECU間の配線は当社で調べたが問題ない。
残るはECUだが、この年式のECU不良にはお目にかかっていない。
もう一度修理書を確認すると、このコードの点検部位に、ワイヤーハーネス、吸気絞りモーター、ECUのほかにスロットル全開スイッチという文言があった。
全開スイッチ?
異常検出条件である「エンジン暖気後、吸気絞りモーター回路の短絡または断線」とは関係がなさそうだが、念のため点検することにした。
この全開スイッチはECUからの電圧を全開スイッチでアースするタイプである。
スイッチ部で電圧を測定すると、吸気絞り弁が閉じている状態でも電圧は0Vのままだった。(本来は全開でスイッチON=0Vになる)。
スイッチのコネクタを抜いても0Vなので配線の不良が考えられる。
配線を調べると、見た目での断線はなかったので、配線の被服に爪を立てながら断芯がないが調べると、コネクタから1cmほどのところで引っかかりを感じた。
被服をむいてみると銅線のみが切れていたようである。
配線を修理すると正常になったようである。
吸気絞り弁を全開にさせるようにモーターに信号を出しても、この全開スイッチがONにならないので、整合性がとれずに異常検出したものと思われる。
ということは、修理書にある「エンジン暖気後、吸気絞りモーター回路の短絡または断線」のほかに、「全開信号出力時に全開スイッチがOFF」をいう項目を追加するべきである。
トヨタに渇っ!
検証はしていないが、全開以外の信号出力時に全開スイッチがON信号を出したときにもこのコードを表示する可能性かもしれない。