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Channel: 自動車整備士駆け込み寺 喝っ!
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EPSランプ点滅/モビリオ

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EPSランプが点滅するという平成14年式モビリオ(LA-GB1、L15A)
 
EPSランプが規則正しく点滅するのかと聞くと大体規則正しいという。
 
資料を調べると、EPS関係で異常を検出するとEPSランプを点灯するとなっていた。
 
 
うーん、なぜ、点滅なのか?
 
不具合が規則正しく発生しているのか?
 
 
いろいろと疑問を持ちながらも点検を開始。
 
 
EPSのダイアグでなんらかの異常コードを持っているだろうと思い調べたが、正常コードを出力した。
 
EPSランプが点灯したのに正常コードを表示した場合は、通常であればECU不良が考えられる。
しかし、今回は点灯ではなく点滅だという。
 
もし、本当に規則正しい点滅であれば、通常ではありえない制御なのでそれはそれでECUの不良が考えられる。
 
とりあえず、現象を確認しないことには始まらない。
 
問診では冷機時の方が出やすいとのこと。
 
 
翌日、エンジンをかけるとEPSランプがチラッと点灯。
その後も何度か点灯したが、とても規則正しいとはいえない。
 
それが3分もすると点灯しなくなった。
 
ダイアグを確認すると正常。
 
点灯と言って1秒未満の点灯である。
異常を検出したから点灯したという感じではかなった。
 
こうなると、ECU系統を疑う必要がある。
 
ECUの2つの電源とアースにサーキットテスタをそれぞれセットし、点灯時に異常がないかを調べることにした。
 
数時間後、エンジンを始動すると、EPSランプが点滅を始めた。
今度は比較的規則正しい。
 
サーキットテスタを見ると、16Vを超えている。
 
16Vを超えているというか、15Vから17Vくらいで変化している。
 
通常、オルタネータは14.5V前後に制御し、16Vを超えると過充電のはず。
 
この電圧とEPSランプの点灯に関連があるかもしれないと思い、電源とEPSランプの制御端子(W端子)の波形を調べることにした。
 
すると今まで見たこともない波形が現れた。
 
つづく
 
 

EPSランプ点滅/モビリオ②

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EPS・ECUの電源電圧がおかしいので電源とランプ回路をオシロスコープで調べてみた。
 
すると今まで見たこともない波形が現れた。
上がランプ回路、下が電源電圧。
 
イメージ 1
 
ECUの電源が15Vから18Vの間で変化していたのである。
そしてランプが時々点灯。
 
時にはほぼ規則正しい点滅もあった。
イメージ 3
 
点灯時間を調べると約8msだった。
イメージ 2
 
この電圧が一定以上の電圧になるとチェックランプが点灯するのではないかと調べたがそうとはいえなかった。
 
ただ、ランプの点灯は電圧がピークを迎えたあとにチェックランプが点灯していることがわかった。
 
イメージ 4
 
これは何度測定しても同じである。
 
電圧と点灯に関連があると思えた。
 
そうしているうちに電源は14Vくらいに落ち着いてEPSランプは点灯しなくなった。
 
過充電でEPSランプが点灯するのか?
過充電ではチャージランプは点灯しないのか?
 
調べたがどちらも資料には掲載されていなかったので過充電との因果関係はわからない。
 
ただ、何度確認してもEPSランプが点滅するときは過充電なのである。
電圧が正常になると点滅はしない。
 
試しに負荷をかけるとどうなるかを実験してみた。
 
ランプ点滅時、ハンドルを切ったりライトを点灯させてみた。
 
すると点滅はなくなった。
 
そして無負荷にすると点滅が始まる。
 
 
上が電源、下がランプ回路。
イメージ 5
 
何度か試したが同じ結果である。
 
仮説の証明には理論的に証明されるものと実験結果から証明されるものがあるが、たかだか10数回の検証結果とはいえ、EPSランプが点滅するときにか必ず電源電圧が高いのである。
 
確信は持てなかったが、この過充電が原因と判断してもいいだろうと判断しオルタネータを交換した。
 
その後、EPSランプの点滅はなくなった。
 
不具合は解消されたが、不具合が発生する仕組みがわからず消化不良のトラブルであった。

朝一のみ始動不能/サンバ

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朝一番だけ始動できないという平成11年式サンバ(GD-TV1、EN07)が同業者から持ち込まれた。
 
その工場で調べた結果、始動できないときには火花が飛んでおらず、インジェクタも作動していないらしい。
 
交換部品を尋ねると、カム角センサーとECUは交換したとのことであった。
 
 
信頼できる工場からの依頼だったが、念のため基本点検から実施。
 
ダイアグは正常。
始動できないときには火花は飛んでおらずインジェクタの作動音もない。
 
依頼者の言うとおりである。
 
こうなるとカム角センサーやECUを疑うのは当然である。
 
カム角センサーの波形と、ECUの電源、アース、Vc電圧を点検できるように全てのサーキットテスタとオシロスコープをセット。
 
そして同僚と2人でチェック。
 
キーON、ECUの電源、Vc、アースOK。
 
クランキング時、ECUの電源、Vc、アースOK。カム角センサーの波形も出ている。
 
波形を止めて、ローの電圧とハイの電圧を点検。OK!
 
波形のパターンは・・・・・・、ちょっとおかしいような気がする。
 
イメージ 1
 
事前に始動後の波形は確認済みで、エンジン回転中のカム角センサーの波形は「2-2-2・1-2・1-2・1」なのだが、1つの歯抜けのような気がするが、クランキング時の不安定な状況とも思える。
 
それに、仮に歯抜けだったとしても、その時は点火時期や噴射時期が狂うだけで、火花が飛ばないということはないはず。。。
 
 
もう一度波形を点検するためにクランキングするとエンジンがかかってしまった。
しばらくすれば症状が出るだろうと思って数時間後クランキングしたが始動できた。
 
朝一番なら毎日出るということなので翌日調べたがやはりエンジンがかかってしまった。
それから3日間ほど試したが不具合が出なくなってしまったのである。(3月中旬の入庫であり、寒さがちょうど和らいだ時期)
 
今のところカム角センサーが怪しいが不具合が出ないことには断定できない。
それにカム角センサーは交換しているということだし・・・・
 
カム角センサーは交換した。
でも、カム角センサーが怪しい。
 
まさか中古のカム角センサーじゃないだろうと思い現物を見たがどうも新品っぽい。
念のために依頼者に確認すると、新品だが優良部品とのこと。
 
優良部品?
 
なんのこと?
 
話を聞くとどうもリビルト品のようである。
純正じゃないにしろ、新品なので大丈夫だろうと思った。
 
預かって1週間近くなっていたのでどうにかしない。
 
もう一度頭の中を整理することにした。
 
 
つづく

朝一のみ始動不能/サンバ②

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もう一度頭の中を整理することにした。
 
 
始動不能時は火花が飛んでおらずインジェクタも作動していない。
 
このことから通常であれば、ECU系かエンジン回転系センサー(この車の場合はカム角センサー)が怪しい。
 
しかし、ダイアグは正常でスキャンツールの通信は可能。
意識的に不具合を作るとその系統の異常コードを表示する。
このことからECUは作動していると思われる。
 
 
ダイアグは正常コードを表示しているが、エンジン回転系のセンサーはカム角センサーしかないので、カム角センサーの異常コードがない可能性もある。
よってカム角センサーがよいとは言えない。
現にカム角センサーの波形は異常と思える。
 
いくら考えても、可能性としてはカム角センサー系、次いでECU系となる。
 
しかし、それぞれは交換済みだし、それぞれの電源とアースも問題ない。
 
それから、不具合が出るのは朝一番だけ。
 
朝一番というか冷機時だけ。
 
一番の問題は、気温が上がったせいか症状が出なくなってしまったこと。
 
 
カム角センサーの波形をもう一度確認したいのだが・・・・。
 
やはり、一番の問題は症状が出なくなったこと。
気温が暖かくなったせいだろうか?
 
 
ん?まてよ。
気温が上がって症状が出なくなったのであれば怪しいと思われるECUやカム角センサーを冷やしてみたらどうか?
 
早速、カム角センサーを冷蔵庫の冷凍室に15分ほど入れておいた。
 
カム角センサーを外す前にはエンジンがかかることを何度も確認してしるので、これでかからなければカム角センサーが原因である。
 
カム角センサーを取り付けてクランキングすると、初爆もなくエンジンがかからなかった。
火花は飛んでなく、インジェクタも作動していない。
 
カム角センサーの波形やデーターモニタで調べたい項目があったので調べていたらエンジンがかかってしまった。
 
その後は何度試しても始動できた。
 
カム角センサーを再度冷やしてみるとやはり始動できない。
 
これで確証がもてた。
 
カム角センサーが原因であった。
 
スリーダイヤモンドだろうと思ってマークをみたら思わず笑ってしまった。
 
 
 
 
 
 
 
なんとそこにはあの「N○P」と印字されていたのである。
 
 
この「N○P」製のO2センサーの記事を覚えているだろうか?
 
いろいろな社外品のO2センサーがあるが、ここのはやめておいたほうがいいと書いた記憶がある。
 
純正のカム角センサーを交換すれば終了。
 
 
 
となるはずだが、いろいろな疑問が浮かんできた。
 
つづく

朝一のみ始動不能/サンバ③

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原因はカム角センサーと思われた。
 
純正のカム角センサーを交換すれば終了だろうと思ったが、いろいろな疑問が浮かんできた。
 
カム角センサーが原因には間違いないだろうが、リビルト品に交換している。
 
では、交換する前のカム角センサーも同じように悪かったのか?
また、カム角センサーが原因だとして、間違った信号だとしても、なぜ火花が飛ばずにインジェクタが作動しなかったのか?
 
ということである。
 
依頼者に確認すると、疑問の一つは解けた。
 
そもそもは走行中にエンストして、その後、始動不能になったということで入庫したそうである。
 
ダイアグノーシスを調べると、定番のカム角センサー系の異常コードを表示したので交換したようである。
交換したら始動できたので納車したそうである。
 
翌朝からこの不具合が出るようになったということで数日後に入庫したらしい。
 
このことを最初に確認していなかったこちらのミスである。
 
そもそも朝一だけ始動不能ということで入庫してきたものとばかり思っていたので、それでカム角センサーやECUを交換したものとばかり思っていたのである。 
 
だから、リビルト品とはいえ、交換しても全く同じ症状であれば、カム角センサーは原因ではないだろうという思い込みがあった。
 
思い込みや先入観はいけないと分かっていても失敗してしまう。
 
確かな問診をしなかったこちらの落ち度である。
 
まだまだ未熟である。
 
それから、2つ目の疑問である、「なぜ、火花が飛ばずにインジェクタも作動しないのか?」というもの。
 
こちらはいろいろと推測してみたがはっきりしたことは分からなかったが、以前、OCVが進角したままのスバル車があり、カム角センサーもクランク角センサーも信号が出ているのに火花が飛ばず、インジェクタが作動しない事例を思い出した。
 
その時もはっきりした理由は分からずじまいだったが、ECU内での推定のクランク角度や回転数と、実際のクランク角度や回転数が大きく違うと制御できないのだろうと推測した。
 
(もっと正確なことは①のコメントでbella_donnaさんが説明してくれています)
 
今回も歯抜け及び通常よりかなり遅いというカム角センサーの信号が1回だけ入るとこにより制御できなくなったのだはないかと思う。
 
それからもう一つ気が付いたことがある。
 
カム角センサーの信号を比較してみたが、波形の数ではなくキーON時の波形が違うことに気がついたのである。
 
不良品は、キーONにすると必ずHiの状態になる。
(Hiになるからといって始動できないわけではないと思うが・・・・)
 
上(CH2)はカム角、下(CH1)は点火指示信号。
 
イメージ 1
 
 
 
時にはHiだがすぐにLoになることもある。
 
イメージ 2
 
 
それに対して良品は必ずLoなのである。
(ホール素子タイプのセンサーは不思議な性質があり、Hiの状態でエンジンを止めても、次は必ずLoから始まるのである。)
 
イメージ 3
 
 
ただし、このことがエンジン始動に関係あるのかは不明。
(このメーカーの正常なセンサーはローから始まるようであれば良否の判断に使えるかもしれない)
 
※明日から4日ほど留守をしますので、コメントを返せないかもしれません。
※この事例は、3月の忙しい時期のものであり、また、十分な検証が得られたともいえません。もしかすると、勘違いや間違っている部分があるかもしれないことご了承願います。

グローランプ点灯/ダイナ

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グローランプが点灯するという平成14年式ダイナ(BU306、4B)
 
ダイアグノーシスを調べると、コード71(EGR系統)を表示。
 
このコードの検出条件は、目標EGR負圧と実際のEGR負圧の差が50mmHg以上あった場合で、それが10秒以上続いたときとなっていた。
 
EGRにかかる負圧は圧力センサーで検知しているようだった。
 
イメージ 1
 
ということは実際に負圧が足りてないか、足りていても負圧センサーの特性ずれにより間違って負圧が足りないと誤診しているのではないかと思われる。
 
実際に負圧を調べると、アイドル時は-160mmHg(基準は-210mmHg以上)しかない。
 
回転を1500回転にしても-160mmHg(基準は-150mmHg)で、高負荷時と減速時は0mmHgだった。
 
アイドリングで10秒するとグローランプが点灯した。
 
レーシングや高回転を続けるなどしてアイドリングを10秒以内にするとグローランプは点灯しない。
 
やはりアイドリング時の負圧が足りないようである。
 
試しにアイドリング時、マイティバックでEGRに-240mmHgの負圧をかけると、10秒を超えてもランプは点灯しなかった。
 
念のため負圧センサーの出力電圧を調べると大気圧で2.3V(基準は2~2.6V)と問題なかった。
 
負圧が足りなくなる可能性のある部品をそれぞれ点検することにした。
 
E-VRV、VSVの単体点検(抵抗および電圧をかけての通気点検)、EGRバルブのダイヤフラムの破れ、各ソレノイドおよびバキューム配管の気密点検の結果、どこにも問題はなかった。
 
負圧の元であるバキュームポンプの負圧も調べたが問題なかった。
 
こうなると負圧を作るE-VRVの不良かそのE-VRVを作動させる信号の不良ということになる。
 
ECU不良の可能性もあったので、コンデンサーの液漏れを調べたが問題なかった。
あとはE-VRVを作動させる元の信号としてはスロットルセンサーくらいしか思いつかなかったので調べてが、こちらも問題なかった。
 
最終的にはE-VRVの不良だろうと判断し交換した。
 
交換後は、アイドルで220mmHg、回転を上げるとMAX380mmHgまで上がるようになりグローランプは点灯しなくなった。
 
やはりE-VRVの不良だったが中途半端な壊れ方をしたものである。

始動不能/ファミリア

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タイミングベルト交換後、エンジンがかからなくなったという平成13年式ファミアリア(BJ5W、ZL-VE)が、同業者から持ち込まれた。
 
久々に迷走に迷走を重ねてしまった。(^^)
 
タイミングベルト交換前はどうだったのかと尋ねると、「少し不調だったがプラグやIGコイルを交換したらよくなった。」との返事。
 
それじゃ、タイミングベルト交換時にミスがあった可能性が高いと言うと、「バルブタイミングは見直した。」とのこと。
 
コネクタの誤接続やアース不良の可能性はないかと聞いたが、そんな可能性のある作業はしていないという返事。
 
そんなことはないはずだと、内心、確認ミスではないかと思いながらも、とりあえず基本点検を実施。
 
 
ダイアグノーシスは正常コードを表示。
火花は1回だけ飛んで、インジェクタも1回だけ作動する。
 
バルブタイミングの狂いであれば、クランクかカム角センサーのコネクタを抜けば、エンジンがかかるだろうと思い試してみたが、エンジンは始動しなかった。
 
原因はバルブタイミングの狂いとは違うのか?
 
バルブタイミングの狂いを疑いながらも、とりあえずクランク角センサーとカム角センサーの波形を点検することにした。
(ここが間違いの元)
 
すると、共におかしな波形が現れた。
 
上がクランク角、下がカム角センサー。
イメージ 1
 
正常な波形を知るために資料を調べると、クランク角センサーのローターはエンジン1回転に付き4つの突起部をもっており、カム角センサーのローターはカムシャフト1回転で1つと2つの2箇所の突起部を持っていることがわかった。
 
イメージ 2
 
カム角センサーもおかしいが、クランク角センサーは明らかにおかしい。
 
クランク角センサー用のローターはすぐに見えるので確認したが資料どおりだった。
異物もなくエアギャップも問題なかった。(念のため、再調整)
 
クランク角センサーの電源もアースも問題なかったのでセンサーの不良と判断。
 
カム角センサー用のローターも調べてみたが資料どおりの形状だった。
しかし、カム角センサーの波形もなんかおかしい。
 
ローター形状からすれば、当然、1つと2つの立ち上がり信号が出ないといけないはず。
しかし、実際は・・・・・
  
クランク角センサーもカム角センサーもおかしいのか・・・・・
(ここで気が付けよということです。偶然にも2つのセンサーが悪くなるなんて有り得ない。)
 
 
とにかく、クランク角センサーの波形は間違いなくおかしいので部品を交換することにした。
 
つづく

始動不能/ファミリア②

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クランク角センサーとカム角センサーの波形がおかしかったが、まずは絶対におかしいと思われたクランク角センサーを交換することにした。
 
しかし、症状はかわらず。。。
 
火花とインジェクタを調べると、交換前と同じく1度だけ作動。
 
ただ、波形を調べると、クランク角センサーはローターの形状どおりの波形がでるようにはなった。
 
イメージ 1
 
クランク角センサーの信号が正しく出るようになったところで、カム角センサーの信号が明らかにおかしいことに気が付いた。
 
それはクランク角センサーの信号から、エンジン1回転の位置が分かるからである。
 
クランク角センサーは、エンジン1回転で4回の信号が出る。
ということは、8回の信号で2回転=カムシャフト1回転である。
 
カムシャフト1回転で1つと2つの信号が出ないといけない。
 
ということは、カム角センサーは次のような信号にならないといけないはず。
 
 
イメージ 2
 
そもそもカム角センサーの波形もおかしいとは思っていたが、どこがどう悪いのかわからなかった。
 
実はこのホール素子タイプの回転センサーは不思議な性質があり、回転速度によってHi、Loが切り替わったり切り替わらなかったりする。
また、波形が立ち上がり信号になったり立ち下り信号になったりするのである。
 (このことはいつか記事したいと思っているのだがここでは省略。)
ということで、イマイチ波形が信じられないというか、確信が持てないというか・・・・・・・
 
念のため、クランク角センサーの信号が正しいのかを確認するため、波形からエンジン回転数を計算してみた。
 
クランク角センサーの4つの信号で1回転=約300ms。
 
1分=60秒=60000ms
 
ということは、エンジン回転は 60000ms/300ms=200回転
 
バッテリやエンジンにもよるが、大体のクランキングスピードとして問題ない。
クランク角センサーの信号は間違いなく正しい。
 
カム角センサーの電源やアースを調べたが問題ない。
 
こうなるとカム角センサーもおかしいということになる。
 
クランク角センサーに続いてカム角センサーも不良なのか?
 
クランク角センサーだけであれば、運悪くたまたまタイミングベルト交換時と重なったと考えられなくもないが、カム角センサーまで同時とは考えられない。
 
しかし、どう考えてもカム角センサーの信号は不良である。
エアギャップは変化しない構造である。
 
交換しても良くならないような気がするが、依頼者と相談し、カム角センサーも交換することにした。
(情けないがここでもまだ気が付かない。)
  
つづく

始動不能/ファミリア③

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クランク角センサーに続きカム角センサーも交換することにした。
 
交換しクランキングすると・・・・・・・・
 
 
一発で始動・・・・・・・・・・・・・・・・・の、はずが始動不能!!
 
 
そんな気がしないでもなかったが・・・・・
 
やっちまった!
クランク角センサーとカム角センサー交換でよくなれば、共に波形がおかしかったので問題なかったが、この2つ以外に原因があるとするとさすがに許されない。
 
完全な誤診断である。
 
 
おかしいなと思いながらカム角センサーの波形を調べると、カムシャフトのローターの形状どおりの波形になっていた。
 
 
イメージ 1
 
 これでクランク角センサーもカム角センサーもローター通りの波形になったのである。
 
なのに始動不能!!
 
 ここでやっと原因がバルブタイミングのズレじゃないかと思い調べなおすことにした。
 
面倒くさからず最初からやっとけよという話ですね。(^^)
 
もちろん、真っ先に疑って依頼者にも確認してもらったが、2人がかりで点検して間違いないとの事。
 
もちろんそれを信じているわけではないが、さすがに2人で点検したのであれば見た目のタイミングは間違ってないだろうとは思われる。
 
しかし、本当に合っているとは限らない。
 
クランク角センサーとカム角センサーの位相関係が分かればはっきりすると思い資料を見直した。
 
すると、修理書にちゃんと記載されていたのである。
 
イメージ 2
 カムの1つの信号の立ち上りと2個の信号の1個目の立ち下りの間にクランク角センサーの信号が4つはいっている。
 
しかし実際の信号は・・・・・・
 
イメージ 3
 
クランク角センサーの信号は3つしかなかった。
 
実際の波形と比較すると、間違いなくズレていることが判明。
(資料なので完全には信用できないが・・・・)
 
ということでバルブタイミングを点検。
 
まずは、クランクプーリーのマークをTOPに合わせた。
 
その状態でカムシャフトのマークを確認したが正しい位置に合っていた。
 
と、ここまでは依頼者の工場でも確認済みなのでほぼ間違いないどろうとは思っていた。。
 
このエンジンはクランクプーラーにダンパーがあるので、ダンパーが切れてずれている可能性がある。
 
点火時期マークが信用できないので、プラグを外してプラグホールにドライバーを差し込み、ドライバーの動き(=ピストンの動き)を見ながら合わせたが、ドライバーの動きが止まったときがほぼTOPマークだった。
 
これでクランクシャフトは1番の圧縮上死点に合わせた。
 
次はカムシャフト側。
 
このエンジンはVVT付きなので、カムシャフトが進角している可能性がある。
メーカーやエンジンにもよるが、進角していると火花やインジェクタを制御しないことがあるのである。
 
カム向きを確認したが1番シリンダの圧縮上死点、4番シリンダのオーバーラーップは問題なかった。
 
念のためVVT用のOCVも外して調べたがプランジャーの動きも良かった。
 
クランクプーリーをTOPに合わせた時にカムの位置は問題ない。
 
これでバルブタイミングは間違いなく合っている。
 
なにが原因なのか?
ECU不良なのか?
 
いやいや、この時点ではバルブタイミングのズレしか考えられない。
 
しかし、クランクシャフトとカムシャフトの機械的な位置関係は問題ない。
 
なのに電気信号はズレている。
 
 
う~ん?
 
 
こんなことがありえるのか?
 
 
 
 
絶対にズレているはず。
 
 
 
 
そっか、可能性は1つだけあった。
 
 
 
つづく

始動不能/ファミリア④

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機械的なバルブタイミングは問題なかったが、どう見てもクランク角センサーとカム角センサーに信号がズレている。
 
どうやってそんなことが起こるのか?
 
 
う~ん?
 
 
 
そうなる可能性は2つ。。
 
センサーの取り付け位置がズレているか、シグナルローターがズレているとしか考えられない。
 
しかし、クランク角センサーとカム角センサーの取り付け位置は1ヶ所しかなく、ズレる可能性はなかった。
 
シグナルローターはカムシャフト側はズレないようは構造だし、そもそもカムシャフト側は一切分解していないのでズレる可能性はない。
 
残るはクランクシャフト側のローターである。
 
実はこちらはズレる可能性があるのである。
 
 
ご存知の方も多いと思うが、このエンジンのクランクプーリーは他のメーカーとは違っている。
 
通常、クランクプーリーはクランクプーリーボルトによってクランクシャフトに取り付けられているのだが、このエンジンが違っている。
 
イメージ 1
8番のクランクプーリーボルトによってクランクシャフトの取り付けられているのは9番のプーリーボスである。
 
1番のクランクプーリーは4つのボルトによってプーリーボスに取り付けられている。
 
ローターはプーリーボスとクランクプーリーに間に挟まれて取り付けられている。
 
なぜ、こんな構造にしているのかよくわからないが、タイミングベルトを交換する場合、クランクプーリーを取り付けている4つのボルトを取ることで、プーリーボスを残したまま作業が出来るのは便利である。
 
その4つのボルトは90度ごとにある。
 
こういう構造になっているので、シグナルローターを外した時に、ローターが90度ズレて取り付けられているのではないだろうかと考えた。
 
ローターの突起部も90度ごとに配置されているのであれば、取り付け位置が90度ずれても問題ないが、実際には突起部は70度-110度-70度-110度と配置されている。
 
まさか位置決めがされていないとは思えないが、もしもということもある。
 
さっそく4つのボルトを外してクランクプーリーを外すと、かすかな希望も打ち砕かれてしまった。
 
イメージ 2
 
イメージ 3
 
イメージ 4
 
プーリボス部には位置決め用のノックピンがあり、ローターは正常な状態で取り付けられていたのである。 
 
「そうだよな。まさかフリーで取り付けられているとは思わなかったが、無理して取り付けている可能性もあるかもしれない」と淡い期待をもっていたのである。
 
 万事休すか!
 
最終章にしようと思っていたが、もうちょっとあるので次回につづく。
 

 
 

始動不能/ファミリア⑤

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唯一可能性のあったクランク角センサーのローターも、位置決めのノックピンがあるのでズレている可能性はなくなった。
 
クランクプーリーを外した後、何気なくシグナルローターも外して裏面を見ると、「おぉ!!」っと、あるところに目が釘付けになったのである。
 
 
イメージ 2
 
 
イメージ 1
 
 
 
 
 もしかしてと思い、クランクプーリーを見た。
 
 
イメージ 3
 
お分かりであろうか、2枚目のローターのエンジン側の写真と、3枚目のプーリーのローター側の写真に同じ四角い形がついているのである。
 
本来は1枚目と3枚目に同じ形がついていなければならないはず。
 
ということは、ローターは裏表が逆に組まれていたことになる。
 
 
 
プーリーとローターを外した状態で、ノックピンを合わせた。
そしてローターの突起部とプーリーの同じ位置にペイントでマークした。
イメージ 4
 
 
ローターを裏返してノックピンの位置を合わせてみた。
イメージ 5
 
 
逆に組みなおすと、ローターの突起部は30度ほど違う位置に来た。 
 
正しい状態に組みなおすとクランキングすると一発で始動できたのである。
 
結局、 クランク角センサー用のシグナルローターが裏表逆に取り付けられていたことが原因であった。
 
最初の記事の蚊取り線香さんのクランクプーリーのシグナルローターが裏表逆に付いているのでは?」というのが正解でした。お見事!
 
 
 
 
やはり作業ミスが原因であった。
 
 
やっと原因がわかったと安堵すると同時に、「クランク角センサーとカム角センサーは悪くなかったんじゃないのか?」という疑問が浮かんだ。
 
試しにカム角センサーを元に戻すと、新品と同じ波形が出てエンジンがかかった。
 
やはり悪くなかったのである。
 
クランク角センサーは元に戻さなかったが、カム角と同じように悪くなかったものと思われる。
 
では、何故おかしな波形になったのだろうか?
本当にこのタイプのセンサーは分からないことだらけである。
 
ローターはほんの少しオフセットしており、センサーの感度が低下してきてあの変な波形になっていたのかも知れないが、本当のところはわからない。
 
それにしても今回の事例は、今になって思うと本当にお粗末すぎたと反省しきりである。
 
 
まずは、作業後のトラブルは作業した箇所に原因があるという基本を無視したこと。
 
それは、自分でバルブタイミングを点検するのが面倒くさいと怠けたからである。
 
また、バルブタイミングの確認は依頼者にしてもらったから大丈夫だろうと思ったこと。
 
もちろん人のしたことなど信用はしていないので、大丈夫だろうと思ったというより、自分で再確認するのが面倒くさいので、大丈夫だろうと思いたかったのである。
 
作業後に発生したトラブルで、なおかつあの症状といい、原因として明らかにバルブタイミングの狂いが考えられたのに、クランク角センサーやカム角センサーの波形がおかしいからとバルブタイミングの点検を後回しにしたこと。
 
 
ただ、マツダももう少しどうにかならなかったのかと思う。
 
ノックピンの位置がボルト穴の真ん中に無ければこんなことは起こらなかったはず。
また、真ん中にあってもローターの突起部がノックピンに対して左右対称の位置に配置しておけば、やはりこんな間違いは起こらなかったはず。
もしくは、オフセット量を大きくすれば気が付いたはず。
 
ただ、脱着する整備士が気をつければいいだけのことだが・・・・・
 
いやー、それにしてもお粗末の一言である。「喝っ!」
 
 
※最初の記事の中になる「バルブタイミングの狂いであれば、クランクかカム角センサーのコネクタを抜けば、エンジンがかかるだろうと思い試してみたが、エンジンは始動しなかった。」についてどういうことかと質問がありました。
 
どういうことかというと、バルブタイミングの狂いでエンジンがかからない場合、(ただし、制御で火花を止めたりインジェクタを作動させない場合です)カム角センサーまたは、クランク角センサーのコネクタを抜くと、火花が飛んだりインジェクタが作動する場合があります。ただし、コネクタを抜くことによりフェイルセーフが働く場合に限ります。実際にスバル車でそういうことがありましたが、このファミリアでも実証されましたが、必ずしもエンジンがかかるわけではありません。あくまでもかかる場合があるという程度で理解して下さい
 
 
 
 

マグネットクラッチがON/OFFを繰り返す/ムーブラテ

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エアコンをONにすると、マグネットクラッチがONOFFを繰り返すという平成17年式ムーブラテ(L550S)の電話相談。
 
エキパンは交換してコンデンサー&ドライヤーの詰りがないことは確認したという。
 
圧力を聞くと、OFF時は低圧・高圧共に約5~6kg/cm2で、コンプレッサーON時の低圧は0kgcm2近くになりすぐにクラッチがOFFになるそうである。
 
症状からはどこかの詰りと思えるが、可能性のあるエキパンは交換しており、コンデンサーとドライヤー(サブクールコンデンサータイプでモジュールに内蔵)の詰りはないとなると、あとは配管途中かエバポレータの詰りとなるがどちらも考えにくい。
 
 
と、通常は思うのだが、ダイハツ車に関してはそうではない。
 
実は、エアコンに詳しい人からある話を聞いていたのである。
 
 
それは、このサブクールコンデンサーを使っている車には、圧力センサー部にフィルタがありそこが詰まる事例があるというのである。(ハイゼットに多いと聞いた気がする。)
 
このムーブが同じかどうかわからないが調べてもらったところ、やはりフィルタがあったそうで、キャブクリーナーやエアで清掃したところよくなったそうである。
 
本来はパイプASSYの交換であるが、とりあえず清掃でもしばらくはいけるかもしれない。
頻繁に不具合が出るようであれば交換が必要である。

ファンがローでしか回らない/イスト

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ブロワファンがローでしか回らないという平成16年式イスト(NCP90)が同業者から持ち込まれた。
 
そもそもはブロワファンが全く回らないということで依頼されたようで、ブロワファン用のパワートランジスタを交換したのだが、ローでしか回らないという。
 
他にも悪いところがあるのかもしれないということで電装屋さんと一緒になって調べたそうだがわからないという。
 
 
ちなみに、これまでに交換した部品は、ブロワファンリレー、パワートランジスタ、ファンモーター、エアコンアンプ、操作パネルだそうである。(_;)
 
なお、操作パネル以外は新品である。
 
現象を確認すると、ブロワファンスイッチをマニュアルで1段から4段まで切り替えたが1段と思える風量しかない。
オートにして設定温度を変えても風量に変化はない。
 
まずは、電圧測定ということで、中間コネクタ部で点検。
 
 
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ブロワモーターの電源(1番端子)はどの状態にしても12Vと問題なかった。
 
エアコンアンプからの制御信号(5番端子)は、常に5Vでブロワファンスイッチを切り替えても変化なかった。
念のため、エアコンアンプ側でも調べたが同じ5Vであった。
 
こりゃアンプの不良だ。
 
と思ったが、次のフィードバック用(6番端子)の電圧を調べると1.2Vであった。
1段の風量で1.2Vはおかしいのではないか?
 
この端子の電圧はブロワモーターのアース側とほぼ同じ電圧と思われる。
ということは、正常な数値はわからないが、12Vを単純4段階に分ければ1段で9V2段目で6V3段目で3V4段目で0Vのはず。
 
単純にこのようにはならないだろうが、それでも1段目で1.2Vは絶対ありえない。
 
ブロワモーターの不良か?
 
もしかしたら、パワートランジスタがおかしくて、ブロワファンモーターのアース側と違う電圧を出しているのか?
このフィードバック信号がおかしいので、制御用の信号がおかしいのか?
 
ということは、パワートランジスタの不良か?
 
アンプの不良か?ブロワモーターの不良か?パワートランジスタの不良?
 
しかし、この3つとも交換済みである。
 
簡単なトラブルですぐにでも解決するだろうと思っていたが、思わぬ展開に発展していくことになる。
 
つづく

ファンがローでしか回らない/イスト②

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もう一度頭の中を整理。
 
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ブロワファンスイッチで風量を変えても制御用信号(5番端子)が変わらないのはエアコンアンプの不良である。
(基準値は2~5Vとなっていた。たぶん1段で約2V、4段で約5V)
  
念のため、アンプの電源、アースを点検したが問題なかった。
 
ついでに温度ボリュームや吹き出し口の切り替えスイッチを操作した時の信号を調べたが、こちらは操作と共に電圧が変化していた。
これらの信号は問題なかった。
 
それでもエアコンアンプの不良が疑われたが、パワートランジスタからのフィードバック信号が1.3Vというのが気になる。
 
この電圧はほぼMAX風量に近い電圧なのに、実際はローで回っている。
 
制御用信号はMAX風量、フィードバック信号もMAX信号、なのに風量はロー。。。
 
このことからはモーターの不良。。
 
何かがおかしい。。
 
配線図とにらめっこすること1分。
 
 
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肝心なことを忘れていた。
 
フィードバック信号(6番端子)とブロワファンのマイナス側が同じ電圧とは確認していなかったのである。
もしかしたら、この間で接触抵抗があるかもしれない。
 
配線図上では、パワートランジスタとブロワモーターは1つのコネクタしかないが、実際にはそれぞれにもコネクタはあるのである。
 
モーター部で電圧を調べると、11Vと1段目の風量の電圧であった。
パワートランジスタ部でも同じ電圧なので配線途中の接触抵抗もないことになる。
 
これでブロワモーター不良の可能性はなくなったが、逆にパワートランジスタ不良の可能性が高くなった。
(モーターのアース端子と6番端子間の抵抗) 
 
パワートランジスタを強制的に動かしてみようと思い、パワートランジスタ部のコネクタの6番端子を抜いてみた。
 
乾電池を使ってパワートランジスタを強制的に動かして風量を変えてみようと思ったのである。
 
ここで驚きの現象が発生!!
 
パワートランジスタを作動させるための制御信号(6番端子)を抜いたのである。
当然、ブロワファンは回らないと思っていたのだが、今までとなんら変わることなくローで回っていた。
 
ファンスイッチをOFFすると、当然、電源側のリレーがOFFするので止まった。
 
これで、パワートランジスタの不良が確定した。
たぶん、内部でショートしているのだろうと思い外して点検することにした。
 
外したパワートランジスタの端子部を見ると、「L、M1、M2、H」という打刻があった。
 
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「え~~~~~っ!」
 
 
一瞬、思考回路が停止してしまった。
 
これって、マニュアルエアコン用のレジスタじゃないの?
 
各端子で抵抗を測定すると、間違いなくレジスタであった。
 
 
交換した部品が車にあったので見ると、コネクタは同じだが全く違う部品であった。
 
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オートエアコン用のパワートランジスタに交換すると正常に作動するようになった。
 
なぜ間違ったのかは、依頼者と部品商の間のことなので不明だった。
 
 
オートエアコン用のパワートランジスタの代わりに、マニュアルエアコン用のレジスタがついているとは、とても考えられないトラブルであった。
どうりで訳が分からないはずである。
 
いつも思うことだが、作られたトラブルほど厄介なものはない。

スピードメータ作動せず/フォレスタ

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スピードメーターが動かないという平成13年式フォレスタ(SF5)
 
スピードメーターの駆動回路は、昔のように車速センサで駆動するといった単純なものではないので、この車のスピードメータのシステムを調べてみた。
 
すると、車速センサーはミッションについており、その信号はAT・ECUに入力されていた。
 
また、AT・ECUは、スピードメーターからの信号線を引きこんで車速信号を作って駆動していることがわかった。
 
そして、この信号はメーター以外(エンジンECUやエアコンECU等)にも分岐していた。
 
ATの変速は問題ないことから、ミッションの車速信号は良好と判断。
 
次に、AT・ECU~メーター間の信号をECU側で調べると常時0Vであった。
 
AT・ECUのコネクタを抜いても0Vだった。(通常、5Vまたは12V)
 
となると、メーターからの電圧が出ていないか、この配線がアースとショートしているということになる。
 
メーター側のコネクタも抜いて、車速信号線とアース間の抵抗を調べると0.2Ωと完全にショートしていた。
 
車速信号線のショートといえば、まず頭に浮かぶのがナビの信号で、ナビを外した時に配線を切ったままにしている車を時々見かける。
 
その配線がショートしているのではないかと思い、AT・ECU、エンジンECU、エアコンECUの車速信号線を調べると、エアコンECUの車速信号線から分岐していた配線が切られており、運悪くボデーと接触しショートしていた。
 
たぶん、ナビを外した時に切断したのではないかと思うが、廃車する車ならいいがそうでないのであればちゃんと処置をしてもらいたいものである。

リヤからの異音/レガシー

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信号待ちでアフターファイヤーを起こすという平成11年式レガシー(BE5、EJ20)
 
信号待ちでアフターファイヤーなんて起こるの?
 
どういうことかと聞くと、信号待ちでマフラーの方から「ボッ、ボ、ボッ」という音が聞こえるのだという。
また、以前、後ろの車の人から「マフラーから火が出ている」と言われたことがあるので恐いという。
 
アフターファイヤーとは燃え残りの燃料が排気管内で燃えることで、一般的には減速時に「パーン」という音がでる。
 
よって、今回はアフターファイヤとは違うと思われる。
それにマフラーから火が出るなんて聞いたことがない。
 
ただ、マフラーの出口を見るとかなりすすけており、A/Fが濃いことが予想された。
 
まずは現象確認ということでなのでスキャンツールでA/Fに関連がある項目を選択しデーターをモニタすることにした。
 
走ること10分、信号待ちでマフラーがある左後方より「ボッ、ボッ、ボボッ、ボ、ボッ」という不気味な音が聞こえ始めた。
 
瞬間的に
 
マフラー内で何かが燃えている!
本当にマフラーから火が出ている!
後ろの車がやばい!
 
と、思った。
 
急いでスキャンツールのデーターを見たが慌てていてよくわからない。
とりあえず停止ボタンを押してデーターを保存した。
 
タイミングよく対向車がなく、おまけに反対車線側に空き地があったのでそのまま右折して空き地に飛び込んだ。
 
急いで車を降りてマフラーを点検したが、そのときは「ボッ、ボッ」という音はしなくなっていた。
 
ちょっとパニクってしまった。(^_^;)
 
冷静になって考えてみると、
 
車が停止した後に不具合が発生。
一般的なアフターファイヤーではない。
左後方(マフラー側)からの音。
感じとしては、マフラー内でガソリンが燃えて、炎がマフラーから出ている感じ。
 
しかし、エンジンの調子は悪くなかった。
それを裏付けるように、データーの噴射時間、O2センサーの電圧、A/F補正値やその他の信号も問題なかった。
 
あれはなんだったのか!?
 
本当にマフラー内で何かが燃えているのか?
 
つづく

リヤからの異音/レガシー②

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エンジンの調子は良かったのに、あのマフラーからの音は何だったんだろうか?
 
仮に、点火による失火、もしくはインジェクタからの漏れのようにオーバーリッチであればエンジン不調のはず。
 
どうしたものかと悩んだが、とにかく不具合発生時にマフラーから火が出ているかどうかだけは確認したい。
 
急いで工場に戻ったが、途中でも3回ほど症状が発生。
その都度、点検できる場所に車を止めたが、症状は3秒と続かない。
 
一人では無理なので工場に戻り後輩に乗ってもらい、信号待ちであろうが不具合が発生すれば即座に車を降りて点検することにした。
 
なるべく後続車がいないような裏道を走ること30分、例の「ボッ、ボッ、ボボッ」という音が発生。
 
マフラー部での排気の状態及び排圧を点検するために後輩がダッシュで車を降りた。
 
後ろに回ったと思ったくらいに、最後の「ボッ、ボッ」という音が聞こえた。
 
後輩に「どうやった?」と聞くと、「何も異常はなかったし、音は聞こえませんでした。」という返事。
 
ぎりぎり間に合ったのではないかと思ったが間に合っていなかったのか?
 
その後、何度か不具合が発生したが、車を降りるまでに不具合が出なくなったり、降りて後ろの回り込むまでに不具合が出なくなったりで確認ができない。
 
いい加減嫌になってきた時に、今までにない激しい音が発生。
 
後輩が後ろに回り込んでも音は続いている。
 
今度こそ間違いない。
 
「今もでているぞ。排気の状態はどうだ?」と聞くと、「全く問題ありません。」という返事。
 
えっ?そんなはずはない。明らかに音がしている。
 
「こっちははっきり音が聞こえるぞ。」というと「外には音は聞こえません。」という返事。
 
 
そんなはずはない。。。
 
運転席にいると、明らかに左後方から「ボッ、ボ、ボッ」という音がしている。
 
それもはっきりと。。。。
 
 
はっきりと?
 
あっ!そういうことか!!
 
 
 
ダッシュで車の後ろに回り込んだ。
トランクを開けると、そこで目にしたものは・・・・・・・・・
 
 
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つづく

リヤからの異音/レガシー③

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運転席ではリヤ左からはっきり聞こえるのに車外だと何も聞こえないという。。。
 
ということは音の発生源はマフラー部ではなく、リヤシートの後部、つまりトランク内ということになる。
 
 
ダッシュで車の後ろに回り込みリヤゲートを開けた。
 
そこで目にしたものは、ちょっと小ぶりのウーハーである。
 
そのスピーカーを見ると、コーン部が激しく上下していた。
 
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すぐにあの音が出なくなると同時に、スピーカーの振動もなくなった。
 
 
もしかして、音の発生源はスピーカー?
 
 
 
実は初めから少し気にはなっていたことがあった。
 
それは「ボッ、ボ、ボッ」という音が、はっきり聞こえすぎていたのである。
 
まるで室内からの音のように・・・・・。
 
って、情けない。なんで最初から気が付かないかな?(^_^;)
 
念のため走行しながらスピーカーの振動とボッ、ボッという音がリンクしているかを確認した。
 
この車はうまい具合にリヤの座席のセンターアーム部のところからトランクルームがのぞけるようになっていた。
 
走ってみると、スピーカーの激しい上下運動と異音はリンクしていた。
 
エンジンの不具合と思われていた原因が、実はスピーカーだったとは。。。
 
あとは原因がスピーカー自体の不良なのかアンプの不良なのかを調べる必要がある。
 
スピーカーの信号線をオシロで観測した。
 
すると、信号線にノイズが入ってあの「ボボッ」という異音がした。
 
アンプの不良か?
 
と思ったが、もしかしてオルタネータの不良でアンプの電源にノイズがのっている可能性もあるので、電源と信号線を同時に調べた。
 
上がスピーカーの信号、下が電源線。
 
結果は,ノイズが乗っていたのはスピーカーの信号線だけだった。
 
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アンプの不良だった。
 
そもそもこのウーハーからはほとんど音が出ていないので、作動しなくてもいいのではないかと思いアンプのコネクタを抜こうとすると、「ボボッ、ボッ、ボ、ボッ」いう激しい音がでた。
 
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アンプ内でハンダクラックや接触不良があるのかもしれないが、あとはユーザーの判断なのでこれ以上の点検はやめた。 
 
それにしてもあの音がスピーカーからとは全く予想できなかった。
 
以前、マフラーから火が出ていたと言われたことがあったと聞いていたことで、やはり先入観があったのかもしれない。
しかし、本当にそれらしい音だったので余計惑わされてしまった。
 
異音の原因は特定できたが、少し気になることがあった。
 
それは以前、火が出ていたことがあるといわれたことである。
 
しかし、車を取りに来た人にそのことをいうと、以前、ターボからのオイル漏れでかなり煙がでていたことがあり、そのことではないかと言うのである。
 
結局、本人と話ができなかったのでそのことは確認できなかったが、今回は異音の原因がわかればいいということで、これで引き取ってもらうことになった。

ロックできない/プロボックス

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キーレスでアンロックはできるがロックできないという平成20年式プロボックス(NCP50V)
ただし、ロックできないが「コツン」と小さな音はするらしい。
 
また、運転席のマスタースイッチではロック・アンロックともにできるが、メカニカルキーで運転席を開け閉めしても集中ドアロックは作動しないらしい。
 
知人からの電話相談だが、すぐにピンときた。
 
ただ、1つ気になることがあった。
 
仮に予想したところが原因だとすると、今まではメカニカルキーでもロック・アンロックは可能だったと思うのである。
 
それがメカニカルキーでもロック・アンロックができないとなると2つの原因があるのかもしれない。
 
ちなみに運転席ドアロックアクチュエータは新品に交換済みである。
 
念のため、トランスポンダのロック・アンロックボタンは1つかと聞くと、「そうだ」という返事。
 
 
2つの原因があるかもしれないので、依頼者に調べてもらうために点検個所を書き込んだ配線図を送ろうとしたが、配線図を見ていたらあることに気が付いた。
 
原因は1つの可能性が出てきたのである。。
 
 
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それは、運転席ドアロックモータアクチュエータ~アース間の断線である。
 
 
この間が断線すると、キーレスでアンロックはできるがロックはできなくなる。
 
また、マスタースイッチではロック・アンロックはできるが、メカニカルキーではロックもアンロックもできなくなるはずである。
 
不具合状況とマッチする。
 
依頼者に、キーONでシートベルト警告灯が点灯するかどうかを見てもらったところ、点灯しないとのことであった。
 
シートベルトのバックルスイッチを短絡するとどうなるかを試してもらったところ、ドアロックに関しては全てが正常になったとのことである。
 
バックルスイッチの不良なのでバックルを交換するように言っておいた。
 
バックルスイッチがオープンだとなぜこのような不具合がでるのかわからない人は次をご覧あれ。
 
 
 
ところで、なぜ、キーレスにシートベルトのバックルスイッチが関係しているのだろうか?
事故の時のことを考えているのだろうか?イマイチわからない。。

「BACK/TURN」ヒューズが切れる・ジムニー

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Rレンジにすると「BACKTURN」ヒューズが切れるという平成9年式ジムニー(JA22WK6A
 
ヒューズの代わりにショート回路点検用ヒューズ(テストランプ)を入れた。
 
PレンジでキースイッチONにしたがランプは不灯。
Rレンジにすると明るく点灯。 
 
ヒューズの負荷側の電圧を点検するとほぼ0Vだった。
完全にショートしていた。
 
このヒューズの負荷を調べると、バックアップランプ、リバース警告ブザー、エンジンECU、ウィンカーにつながっていた。
 
このヒューズが切れるとウィンカーは作動しなくなるが、ウィンカーを作動させてもヒューズは切れないのでウィンカー回路は除外。
 
残りの負荷を全て外したがそれでもヒューズ代わりのランプは明るく点灯。
 
当然、ニュートラルスイッチのコネクタを外せばショートはなくなるはずだと思いコネクタを外してみた。
すると点検用ランプは消えた。
 
ということとは、ニュートラルスイッチから各負荷(バックアップランプ、リバース警告ブザー、エンジンECU)間の配線のショートである。
 
ニュートラルスイッチのコネクタを抜くためにリフトアップしていたので、バックアップランプまでの配線を見ると、保護チューブもなくビニールテープを巻いているだけなのである。
 
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軽自動車ってここまでコストダウンさせているんだとある意味感心してしまった。
 
これじゃショートの可能性も十分あるので、Rレンジにしてランプの明るさを見ながらニュートラルスイッチからバックアップランプまでの配線をゆすっていくことにした。
 
すると、燃料タンクの裏側付近でテストランプが暗くなったり消えたりした。
 
燃料タンクの裏でショートしているようなので燃料タンクを外してみると、左右のバックアップランプに分岐する箇所でショートしていた。
 
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テーピングするとRレンジにしてもテスト用ランプは点灯しなくなった。
(テールランプのコネクタは外している状態)
 
テールランプのコネクタを接続しRレンジにするとテストランプは明るく点灯していたが、テストランプのアース側は0.3Vになっていた。(ショート時はほぼ0V
※この場合、バックアップランプは点灯しない。
 
たぶんよくなっているだろうと思いヒューズを入れてRレンジにしてみたがヒューズは切れなかった。
もちろんバックアップランプは点灯した。
 
常時ショートしている場合は、このテストランプは大変役に立つ。
 
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