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デッドショートとスライトショート

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 少し前にブレーカ付ショート回路点検用ヒューズの紹介を行ったが、これは日産の「2級整備コース 電装テキスト」(かなり古い物)に掲載されていたものである。そのテキストを見ていたら面白い記事があったので紹介。

 
ショートにはデッドショートとスライトショートがあり、デッドショートとはひどいとか完全なショートという意味であり、電線のほぼ全体がショートしている状態をいう。
それに対してスライトショートとは、わずかとか少しのショートという意味であり、配線中のわずか数本の配線がショートしている状態を言うそうである。

そのショートの種類によってヒューズの切れ方にも違いが出るのだという。

イメージ 1

 
また、デッドショートの場合、ヒューズに流れた電流の大きさによって、溶断面の様子が異なり、次の図のように大電流が流れるほど溶断する部分が端子側に寄っていく特徴があるそうである。

イメージ 3

デッドショートについては当たり前といえば当たり前で、大電流ほど発熱量が大きくなるからであろう 。


驚きなのはスライトショートの場合である。
電源とショートしている個所の距離によってヒューズの溶断箇所及びクリアランスが変わるというのである。
 
 具体的には、ショートしている箇所が電源に近づくにつれてクリアランスは大きくなり、どちらかの端子に片寄るというのである。
イメージ 2
 
 
スライトショートについては興味があったので、試しに約30mの配線と1mの配線で実験。

それらしい結果になったヒューズもあったが、ショートの仕方によって変わるようだし、ヒューズももったいないし何回も実験できないので止めた。

それに車の場合、大型車を除けば長い配線といっても10m以下である。
この長さでの違いがでるとは思えない。

ま、この情報が役に立つとは思えないが、知らなかった情報なので紹介
(近い遠いはどこを基準にいうのかがわかれば参考になるのだが・・・・・・)


 

お詫び

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いつも訪問している皆様方、大変申し訳ありあせん。
すっかり放置してしまいました。

就職して、数十年になりますが、その間で最も忙しい1か月を過ごしました。
その間、ビックイベントを数個抱えていましたが、それも残り2つとなりました。
あと2週間は忙しいので、またしばらく記事はかけないかもしれません。
10月中旬には落ち着くと思います。

アイドル不調/ウィッシュ

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やっと全てのイベントが終了し、平穏を取り戻しておます。
いろいろと励ましのお言葉有難うございます。
 
ぼちぼち再開したいと思います。


この忙しかった期間、出来るだけ他工場からの故障診断を断っていたのですが、そんな中でもどうしてもということで数件を診断しています。
原因だけ究明し、作業は依頼者の工場に行ってもらったものがほとんどです。
 
 
アイドル不調、発進時にミスするという平成16年式ウィッシュ。(4ANE10W、1AZFSE
 
そもそもは黒煙を吐いたりダイアグでリッチ異常を表示するというもの。
触媒が壊れており交換。
また、プラグやIGコイル、エアフロ、ECUも交換だという。
 
アイドル時にミスしてるが、パワーバランステストの結果では特定のシリンダのミスではなかった。
 
データモニタでLAFセンサー、AF補正値、学習値を見た限りではかなり濃いとこが確認できた。
 
排気ガスを測定すると、COが10%近くあった。
 
実際に濃かった。
 
このエンジンはD-4エンジンなのでデータモニタで燃圧が点検できるのだが問題なかった。
 
水温センサーも良好。
 
これでもリッチとなると、高圧燃料ポンプからのリークかインジェクタからの漏れしかない。
 
オイルフィラーキャップを開けて排気ガステスタでタペットカバー内のHCを測定した。
高圧燃料ポンプからの燃料リークであればHCは数1000ppm以上出るはず。
しかし、測定値は数100ppm
 
次に、各シリンダのプラグを外して順番に測定すると、1番は約2000ppm2番が約20000ppm3番が約30000ppm4番が約25000ppm
 
こんなにHCが出るということは、インジェクタからの燃料漏れである。
 
どう見ても1番以外は異常。(1番も正常とは言い難い。)
他のシリンダからの回り込みも考えられるので、どのシリンダのインジェクタが不良なのかはわからない。
 
非常に作業がしづらい箇所でもあり、インジェクタを全数交換してもらうことにした。
 
 
その後、確認すると、インジェクタを交換して正常に戻ったそうである。

リッチ異常/クラウン

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先週紹介したインジェクタからの燃料漏れの車が入庫した翌日、チェックランプが点灯するという平成12年式クラウン(JZS175、2JZ)が入庫。
 
ダイアグでコードP0172B1リッチ異常)、コードP0175B2リッチ異常)を表示。
 
データモニタでAF補正を確認すると、-25%をオーバーしていた。
 
COHCを測定するとCO0.5%、HC200ppm
 
O2センサーの信号は出力されており空燃比フィードバックも行われていた
 
これらのことから実際に濃いと判断。
 
しかし、補正によってぎりぎりCOHCがあまり出ていないようだった。
 
このエンジンはD-4エンジンなので、前回のウイッシュ同様、筒内噴射エンジンである。
 
やはりインジェクタからの漏れと高圧ポンプからの燃料漏れが疑われる。
 
プラグを外すのが面倒なのでとりあえずスロットル側から排気ガステスタのプローブを差し込み測定。
 
結果、700ppmとたぶん問題ないだろうと思われる数値。
 
次に、オイルフィラーキャップを外して測定。
すると、7600ppmと明らかに異常値。
 
オイルフィラーキャップから測定して、HCがこんなに多いのは高圧ポンプからの燃料漏れが考えられる。
(何かの要因で濃い状態がかなり続くと、ブローバイガスに含まれた燃料によりエンジンオイル内にオイル成分が混じり、HCが多く出る可能性もあるので、必ずしも高圧ポンプからも漏れとは100%断定できない。)
 
高圧ポンプ以外の可能性もあることを説明し、高圧ポンプとエンジンオイルを交換してもらうようにした。
 
直噴エンジンの高圧ポンプからの燃料漏れは、トヨタ、日産、スズキで数台経験済みである。

2000回転から吹き上がらない/エクストレイル

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暖機後、2000回転から吹き上がらなくなることがあるという平成18年式エクストレイル(NT30QR20)
 
吹き上がらないとなると燃料不足か電制スロットル関係が怪しい。
 
データモニタでO2センサーとAF補正値、電制スロットル関連を調べると、O2センサーの電圧が2.5Vにもなることがあった。
 
2.5V?もしかしてAFセンサー?
 
しかし、通常のO2センサーであった。
 
O2センサーの電圧が高くリッチと判断したせいか補正値は70%以下。

燃料不足でこれでは吹き上がりが悪くなっても当たり前である。
 
ただ、燃圧不足であれば2000回転から吹きがらないということは充分に考えられるが、空燃比の補正で吹き上がらなくなるものであろうか?
せいぜい吹き上がりが鈍い程度ではないのだろうか。。
 
しかし、不具合発生時、O2センサーのコネクタを抜くと、正常に吹き上がるようになった。(コネクタを抜くと補正値は100%になる。)
 
やはりO2センサーの不良である。
 
O2センサー不良で吹き上がりが悪くなることはあったが、2000回転から全く吹き上がらないとは初めてである。

それだけ補正幅が増えたのであろうか。。

アイドルストップ効かず/N-BOX

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最近、アイドルストップが働かなくなったという平成24年式N-BOXJF1S07A
 
一般的に、アイドルストップが働かない原因は大きく分けて2つ。
 
1つはシステムに異常があった場合。
この場合は、警告灯が点灯または点滅して異常を警告してくれるのですぐにわかる。
 
もう1つは、アイドルストップする条件が揃っていない場合。
 
ただし、このアイドルストップする条件にも大きく分けて2種類の条件を設けているメーカーがある。
 
2種類の条件とは、主に車自体の状態と車の操作状態である

車の状態とは、冷却水温度、エンジンフード、運転席カーテシスイッチ、運転席シートベルトスイッチ、外気温、バッテリ、その他の電子制御システムの良否。
 
これらが正常だとアイドルストップをしても良いと許可を出す。(メーカーによっては警告灯がオレンジから緑に変わったりする。)
 
あとは操作状態(車速、ブレーキペダル、アクセル、ハンドル等)によってアイドルストップが働く。(多くのメーカーではアイドルストップ作動灯が点灯する。)
 
メーカーによっては、車の状態と作動状態と分けていないメーカーもあるかもしれない。
 
どちらにしろ車の状態か操作状態によってはアイドルストップは作動しないということである。
 
この場合の点検方法は、各条件を1つずつ調べるしかないと思われる。
 
 
スキャンツールを使いエンジンのデーターを調べてみると、この車にはアイドルストップ禁止という項目があり、その中の「アイドルストップ禁止(バッテリ)」という項目が「禁止」となっていた。
他のアイドルストップ禁止項目は全て「正常」となっていた。
 
イメージ 1
 
つまりバッテリが原因でアイドルストップが働かなかったようである。

念のため、バッテリテスタでCCAを測定したが問題なく、SOH(健全度)も始動性能も問題なかった。

これでもバッテリ不良と判断するものなのか?

アイドルストップ車は、充放電の積算値なども見ているので、バッテリテスタだけでは判断できないのであろう。
 
「バッテリ交換&それに伴う作業」を行えばいいのであるが、他のデーターを見ていてある項目に目が止まった。
 
それは「バッテリ内部抵抗」である。
数値は「8.2mOhm(ミリオーム)」である。
 
聞いた話では8mOhmをオーバーするとバッテリ不良と判断するようである。
これが原因でバッテリ不良と判断しているのかもしれない。
 
とても忙しい時の入庫であり、バッテリ電流積算値のクリアなどの作業も必要かもしれないということでデーラーに行ってもらうことにした。

暖気後のミス/ミラ

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冷機時は問題ないが暖機後にミスするという平成12年式ミラ(L700SEF
 
不調時にパワーバランステストを行うと3番シリンダがミスしていた。
 
まずは基本点検ということで10㎜のギャップでの火花点検を行ったが問題なかった。
内部リークも考えられるので念のために2番と3番のプラグとIGコイルを入れ替えておいた。
 
それでも3番がミス。

プラグを外したついでに圧縮も点検したが、こちらも問題なかった。
 
インジェクタの作動音を確認すると、音はしているがなんかこもった音である。
 
他のシリンダは「カチカチ」なのに3番は「コンコン」という感じである。
 
こういった場合、他のシリンダの作動音が聞こえている可能性が高い。
それを確認するには、作動音を確認しながらインジェクタのコネクタを抜き差ししてみるのが良い。
 
抜き差しして音に変化があれば作動しているし、音に変化がなければ隣のシリンダのインジェクタの作動音が聞こえているということになる。
 
試してみると、音に変化がなかった。
 
3番シリンダのインジェクタが作動していなかったのである。

インジェクタの駆動信号をオシロで測定すると見慣れない波形だった。

上が2番シリンダ、下が3番シリンダの駆動波形。

イメージ 1
 
単体点検を行うと約3MΩと過大であった。
これじゃOFF時の逆起電力が発生しないわけである。

インジェクタが暖気後だけに抵抗値が大きくなるなんて初めてのことである。



P0171/スイフト

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チェックエンジンランプが点灯しダイアグコードP0171(O2センサーリーン異常)を表示するという平成20年式スイフト(ZC71SK12B
 
データーモニターで空燃比を調べると、学習値が+15%、補正値も+15%前後で明らかに薄い(リーン)状態だった。
 
単純に考えると、燃圧不足、エア吸い、エアフロの特性ずれ、インジェクタの詰り、O2センサーの特性ずれである。
 
しかし、走行すると学習値や補正値がそれぞれ0%に近くなる。
 
 
走行中は良くてアイドリングだけリーンとなると一番怪しいのはエア吸い。
 
O2センサーの電圧を見ながらエアを吸いそうな箇所にパーツクリーナーを吹き付けたが反応がない。
 
エア吸いではなさそうなので燃圧を点検。
 
しかし、約3kg/cm2でこちらも問題なし。
 
残るはインジェクタやエアフロが疑われるが、アイドリングの時だけ悪いというのも考えにくい。
 
本当に薄いのか?
 
もしO2センサーの不良でリーン信号が出ているのであれば増量によりCOは増えるはずである。

排ガスを測定すればすぐわかるので測定すると、COHC共にほとんど出ていなかった。
 
これでO2センサーも除外。
 
インジェクタの詰りで薄いのであれば、回転が上がった場合は更に薄くなると思われる。
よってインジェクタは後回し。
 
エアフロも、一般的には低速でリーンであれば回転が上がるほど更にリーンになりそうだが、インジェクタの機械的不良と違い、電気的トラブルであれば考えられなくもない。
 
エアフロを探そうかとも思ったが、やはりエア吸いが最も怪しいので再度点検することにした。
 
エアダクトやインマニのガスケットなどからのエア吸いは点検済みである。
 
それ以外からとなるとPCVまたはブレーキブースタなどのホース類である。
 
どちらも可能性は低いと思いながらも点検。
 
かすかな可能性を期待しつつPCVを外して吸込み口をふさいだが空燃比には変化がない。

吸い込み口を開閉すると「カチャカチャ」と座着音があった。
PCVは問題ない。
 
次は全く期待していないブースタのバキュームホースをホース用プライヤでつまむと、エンジン回転に明らかな変化があった。


 
えっ、まさかのブレーキブースタからのエア吸い?



今時あるの?



この年式で?



つづく

P0171/スイフト②

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P0171(リーン異常)を表示するスイフト。

ブレーキブースタのバキュームホースをホース用プライヤでつまむと、エンジン回転に明らかな変化があった。
 
補正値をみると+15%前後だったものがほぼ0%になっていた。
というか逆にマイナス側になっていた。
 
吸気管の圧力を調べると、ホースをつまんでいない時が38~39kPa、ホースとつまむと36~37kPaと若干変化があるもののエア吸いとは特定できるほどではなかった。

しかし、データーからはエア吸いには間違いない。
 
エア吸いがあればブレーキペダルが重たいのでゃないかと思い、運転席に乗り込みブレーキペダルを踏んだが、若干重たい気もするが確実に異常とは判断できなかった。
 
ブレーキペダルを踏んだままエンジンを止めて、ブレーキブースタの簡易点検を行ってみた。
 
エンジンを止めた瞬間、思わず笑ってしまった。
 
正常であれば、踏んだままの位置を保持しなければならないのに、止めた瞬間、ブレーキペダルがすごい勢いで上がってきたのである。
 
今までに何度もこの簡易点検を行ってきたがこんなことは初めてである。

明らかに異常である。
 
 
エアを吸っているとなるとエアバルブの密着不良等が考えられるので、エンジンをかけたまま室内のオペレーティングロッド部にパーツクリーナーを吹きかけてみた。
 
しかし、O2センサーに反応がない。
 
まさかエンジンルーム側で吸っているはずはないと思いながらも確認すると、パーツクリーナーをマスターシリンダの付け根に吹き付けた瞬間エンストした。
 
 
再始動しもう一度少しだけ吹き付けるとO2センサーは1V側に張り付いた。

まさかのマスターシリンダ側からのエア吸いであった。
 
何度か試すと、正確にはマスターシリンダの下部からのエア吸いであることがわかった。
 
しかし、マスターシリンダ側からエアを吸うなんてことがあるの?
 
昔のように分解できるブースタであればその可能性もなくはないが、それでもエアを吸うとなると外周部であって、マスタシリンダ部からのエア吸いとなると、溶接部の亀裂くらいしか思いつかない。
 
 
ただこの部分からのエア吸いには間違いないので分解することにした。
 
マスタシリンダを外すと、エア吸いの原因がはっきりした。
 
マスタシリンダとブースタ間にゴムパッキン(ロッドシール)がありそれがちぎれていたのである。

こんなところにパッキンがあるのは初めてみた。
(今はこれが普通?)

イメージ 1

 
注文した部品をみると形状が変わっており、部品を交換すると補正値と学習値を合わせたものは1桁となった。
 
交換するときに思ったのだが、マスタシリンダの取付ナットを締め付ける時、ある程度まではマスタシリンダとブースタ間にすき間がある。

ナットの締め付けに手ごたえがでてもまだすき間がある。
 
ということは締め付ければ締め付けるほどパッキンがつぶれることになる。
 
トルク管理が必要なので調べると15N・mだった。
 
規定値で締め付けるとすき間はなくなったが、まだ締め付けられそうな気配だった。
 
なにも考えなえれば締め付け過ぎる人もいそうである。
 
なぜ、このパッキンが破れたのであろうか?
 
 
年式的にはマスタシリンダのインナーキットは交換する年式ではないが、走行キロが約20万キロである。

もしかしたら交換しているかもしれないが、その時にこのパッキンを再使用したか、もしくは締め付け過ぎたことが原因かもしれない。(当然、再使用不可部品)
 
それに、そもそもこのパッキン部分にはブレーキを踏むたびに力がかかるのではないかと思われる。

コストダウンになるのかは不明だが、あまりほめられた構造ではない気がする。
 

チェックランプ点灯で正常コード/ステラ

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始動直後、チェックエンジンランプが点灯するという平成18年式ステラ(RN1EN07
 
同業者からの相談で、その工場が所有しているスキャンツール(日立:HDM-3000、ランチテック:X431)でダイアグを調べたが正常コードしか表示されないというもの。
 
 
通常、チェックランプが点灯して異常コードを表示しない可能性は2つ考えられる。
 
1つはエンジン回転が低すぎる場合。

これは、実際にはエンストしていないのにある回転を下回るとエンジンが誤ってエンジン停止と判断し点灯するというもの。

しかし、今回は明らかに回転は正常だしデータモニタの回転数も問題なかった。
 
もう1つはECU系統(ECU本体、電源、アース)に異常がある場合である。

しかし、電源やアースに異常があれば通信自体が出来ないしエンジンも正常にはかからなはず。
 
よって、今回は可能性としてはECU本体ということになる。
 
ただ、今まで多くのECU不良の車を見てきたが、どうもECU不良とは思えない。
 
 
持ってきた車に当社のスキャンツール数台を試してみたが、はやり正常コードしか表示しない。
 
ECU不良とは思えないが、メーカー純正のスキャンツールでも異常コードが出なければECUを交換するしかないなと思いながら、ふと、グローバルOBDで試してみようと思った。
 
日立製HDM-3000の場合、メーカー名の中にグローバルOBDという項目があり、世界中の車のダイアグノーシスとデーターモニタが点検できるのである。

ただし、点検できない車もあるし、点検できてもデーターモニタはOBD規制で決められた少ない項目しか見られない。
 
多分、正常コードしか出ないだろうと思いながら点検すると、予想に反してコードP0037(O2センサーヒーター制御系統異常電圧Lo B1S2)を表示した。
 
点検するとリヤO2センサーヒーターが断線していた。
 
部品を交換して異常コードの消去を行うとチェックランプは点灯しなくなった。
 
 
1桁目が0から始まるPコードは世界共通のトラブルコードである。

もちろん修理書のコード一覧表にもコードP0037の記載はあった。
当然、純正のスキャンツールでは異常コードの表示はしたはず。。
 
なのになぜ汎用スキャンツールではスバルから調べると正常コードを表示し、グローバルOBDから調べると異常コードを表示したのであろうか?
 
外車などでは、汎用のスキャンツールではメーカー独自のコード表示をしないために、ランプが点灯してもコード表示しないことはあったが、P0037を出さないのはおかしいと思う。
 
理由はわからないが、チェックランプが点灯して異常コードを表示しない場合は、グローバルOBDで調べてみるのも一つの手である。

ラフアイドル/バネット

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エンジン不調の平成9年式バネット(GA-SE88MNF8)。
 
排気音から1~2気筒の失火が推定されるのでパワーバランステストを実施。
 
1番シリンダを失火させるとエンスト。
2番シリンダは失火させてもほとんど変化無し。
3番シリンダも同様に変化なし。
4番シリンダを失火させると回転が低下しエンスト。
 
2番と3番シリンダが失火していた。
 
この車、この年式にしては珍しくキャブ式でありディスビも付いている。
 
10㎜のギャップでの火花点検はOK
プラグやプラグコードは目視ではOK
念のため、他のシリンダと入れ替えたが、やはり2番と3番が失火。
 
プラグを入れ替える時に、圧縮圧力もついでに点検したが、問題なかった。
 
エンジンの3要素である燃料、点火、圧縮のうち点火と圧縮はOK
ただ、圧縮は良くてもバルブクリアランスの不良が考えられるので、後で点検が必要。
残るは燃料だが、キャブ式なので2番と3番だけ燃料が多かったり少なかったりとは考えにくい。
 
あるとすると、インマニの2番シリンダと3番シリンダ近くに負圧の取り出しがあったり、EGR部があった場合や、2番と3番シリンダ付近のインマニのガスケットの破れである。
 
なにか接続されている物はないかと調べると、どこかで見かけたものが目にはいった。
 
イメージ 1
 
もしかしてと思い、エンジンをかけたまま、パーツクリーナーを吸わせると、アイドル回転が上がり調子よくなった。
 
はやりこのAAVからのエア吸いのようである。
念のため、インマニに接続しているホースを外してふさぐと、不具合は解消された。
 
AAVを外して点検すると不良であった。
 
以前、アップした記事を確認すると、年式、型式、エンジン型式、症状もほぼ同じだった。

シフト時エンスト/ハイゼット

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冷機時、走行レンジにシフトするとエンストするという平成19年式ハイゼット(S320VEF-VE)。
同業者からの依頼。
 
冷機時にエンストするということだが、暖機後でもちょっと失火気味。
パワーバランステストを行うと、2番と3番が失火気味だった。

プラグとIGコイルを入れ替えても変化なし。
ついでに圧縮を測定すると1番が14kgcm22番と3番は11kgcm2だった。
 
それぞれの数値は基準より低くはないが、通常、気筒間の差は1kgcm2以下である。
 
これだけ差があるのはおかしい。
 
バルブクリアランスを測定すると、2番のEX側は0.05mm以下と0.17mm(基準は0.20.3mm)。
3番のEX側は0mm(逆に突っ張っておりマイナスを思われる)と0.09mm。
 
調整できるシムがあるかは、今使われているシムの厚さを測定しないとわからないが、調整は依頼者の工場で行うことにした。
 
依頼者の工場では何を点検したのだろうか。。。

お詫び

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いつも訪問している皆様方、大変申し訳ありあせん。
すっかり放置してしまいました。

就職して、数十年になりますが、その間で最も忙しい1か月を過ごしました。
その間、ビックイベントを数個抱えていましたが、それも残り2つとなりました。
あと2週間は忙しいので、またしばらく記事はかけないかもしれません。
10月中旬には落ち着くと思います。

吹き上がり不良/ノート

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発進時及び加速時に、吹き上がりが悪いという平成17年式ノート(E11HR15
特に冷機時がひどいようである。
 
試乗してみると、完全に失火しているわけではないが、なんとなく吹き上がりが悪い。

踏み込んだ瞬間、一瞬だけ間をおいてゆっくり吹き上がるという感じである。
この間がなければ、実力とも言ってもおかしくないくらいである。
 
怪しいのは燃料不足なので診断機で調べると、AFフィードバックは正常に行っており、補正値も一桁で問題ない。
 
ただし、踏み込んだ瞬間だけ、O2センサーは0Vのリーン状態が1秒ほど続く。
 
通常でも瞬間はリーンの場合もあるかもしれないが、リーン状態が明らかに長すぎる。

やはり燃料不足ではないかと思われたので燃料系を点検。
 
燃圧はOK
水温センサーもOK
エア吸いも無し。
インジェクタの清掃を行ったが同じ。
エアフロメータは清掃したが変化なかったので、正常な車の物と交換してみたが同じ。
 
念のためにと、スロットルボデーの清掃&TAS学習を実施すると、若干アイドル回転が上がったせいか、入庫時ほど気にはならなくなった。
 
これが実力かもしれないということでお客さんに乗ってもらったところ、「この程度ならいい」ということで納車となった。
 
それから、半年後、この車のことはすっかり忘れていたのだが、前よりひどくなったので点検してほしいと再入庫。
 
なんか嫌な予感が・・・・・
 

つづく

吹き上がり不良/ノート②

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半年ぶりに再入庫した日産ノート。
 
前回点検した時に、これといった原因が分からず、また、エンジンなのかミッションなのかもわからないままだった。

そもそも本当にトラブルなのかもはっきりせずにそのまま納車したので、すごく気持ちが悪いままだったのをよく覚えている。
 
それがまた入庫してきたということで、また原因がはっきりわからず気持ち悪いままに終わるのではないかと、嫌な予感が・・・・・・。
 
しかし、試乗すると、前回とは違い明らかに異常といえるレベルである。
 
これで、まずは本当にトラブルなのかそうじゃないかははっきりした。
 
間違いなくトラブルである。
 
特に、水温が60℃前後の時は1500回転くらいでかなりもたついた。

前回は一瞬だったので、異常かどうか判断が出来なかったのだが、今回はひどい時は1秒くらいはアクセルペダルにエンジンが反応していない状態なので、明らかに異常と言える。
 
原因としては、燃料不足、電制スロットル系、CVT系が考えられるが、不具合時にエンジン回転が落ち込むことからCVTは除外。
 
電制スロットルはアクセルセンサーとスロットルセンサーの信号を見る限り問題はなさそうである。
 
やはり、最も怪しいのは燃料系である。
 
前回点検した、燃圧、水温センサー、エア吸いと、前回と同じ個所を再度調べたがやはり問題ない。
 
唯一、前回気になっていたエアフロも、その後、この手のエアフロも必要だと思い新品をストックしていたので交換してみた。

しかし、症状に変化はなかった。
 
 
 
燃料系ではないのか?
 
そんなことはない、感じとしてはどうみても燃料不足である。
O2センサーの信号もそれを裏付けている。
 
前回は試してなかったが、もしかしてアクティブテストで増量したまま走行できないか試してみた。
 
通常、アクティブテストには条件が定められており、走行時にはキャンセルされるのではないかと思っていたのだが、走行してもキャンセルされることはなかった。
 
アクティブテストで15%ほど濃くして走行すると、不具合症状が発生しなくなった。
 
このことからもAFがリーンなのが原因ということに間違いない。
 
ここまで点検して、リーンになる要素はない。
 
こうなると、考えられるのは吸気系統のデポジットである。
 
吸気系のデポジットに関しては、過去にも紹介したことがあるが、実際には片手で数えられるくらいしかない。

それほど稀有な事例なのである。
 
「冷機時の吹き上がり不良」
 
もちろんノートでは初めてであるがそれ以外には思いつかない。
それに症状も似ている。
 
吸気系のデポジットの点検、修理となると、かなりの手間を取ることが予想されるので、それ以外の可能性が無いかを再考したがECU不良くらいしか思いつかない。

しかし、過去の事例から、今回の原因がECUという可能性は、吸気系のデポジットよりも低いと思われる。

やはり吸気系のデポジットしかないと思いインマニ外すことにした。
 
最近のエンジンは、プラグを脱着するのにインマニを外さないといけないタイプが増えている。
このエンジンもその例に漏れず、プラグ交換はインマニの脱着が必要そうである。
そのせいか、比較的簡単に外すことができた。
 
インマニを外すとポート部がかなり真っ黒。


 
イメージ 1
 
ポート部からインレットバルブの傘の部分か一部見えるが、やはりかない汚れている感じである。

しかし、全体がはっきりわからない。

どうにか見えないものか。

 
「!!!!!」
 
 
やっとあいつの出番が来た!

つづく
 

吹き上がり不良/ノート③

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実は以前からファイバースコープが欲しいと思っていたのだが、大体10万円近くしていたので購入は諦めていた。

しかし、昨年くらいから安いファーバースコープをちょこちょこ見かけるようになっており、ついに今春、購入していたのである。
 
購入してもなかなか使う機会がなかったのだが、ついに出番がやってきた。

Kenko製スネイクカメラ(録画機能付き)

イメージ 1
 
 
それを使って内部を確認すると、インレットバルブもインレットポート部もデポジットでびっしりであった。
 
イメージ 2

 


以前経験したロードスターより汚れている。
ロードスターの場合、「このくらいのデポジットであの不具合がでるのか?」と思ったことを記憶している。
しかし、このノートの場合、「これだけ汚れていれば不具合は出るはず!」と感じた。
 
 
デポジットを清掃するため、先端を曲げたロングマイナスドライバーなどを使ってデポジットをゴシゴシ。(バルブ全閉で実施)
 
エアで汚れを吹き飛ばし、洗浄剤を入れてゴシゴシ。
 
これを23度繰り返すとかなり綺麗になった。
 
イメージ 3
 


全てのバルブを同じように清掃し、ついでにポート部も綺麗にしておいた。
 
イメージ 4
 
インマニを組み付けし走行すると、見違えるような吹き上がりとなった。
正直、ここまで改善するとは思っていなかった。
 
半年前には「これが実力ではないか?」と思ったのは大きな間違いであった。
ただ、そう思えるということは、ここまでひどくない状態では、不具合とは思わずに車を乗り続けている人が多いのではないかと思う。
 
プラグを交換するとためにインマニを外した時、見える範囲でいいので吸気系のデポジットの点検をしたほうがいいのではないかと思う。
 
 
念のため、燃料タンクにも洗浄剤(インジェクタクリーナー)を入れて完了となった。
 

3速に入らない/アルト

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3速に入らないという平成10年式アルト(HA11SF6A3AT

 
電子制御式ATの基本的なトラブルシュートは、まずは原因が制御系にあるのかAT本体にあるのかを切り分ける必要がある。

点検方法は簡単で、変速用ソレノイドの通電状態を調べればよい。
 
そのためには2つのサーキットテスタを使うか、「テスタ」書庫で紹介した「変速ソレノイド用テストランプ」(http://blogs.yahoo.co.jp/itakame3/63013974.html)を使う。
 
さっそく変速ソレノイド用テストランプを使い、通電状態を点検することにした。
 
ちなみに正常時の通電状態は次の通り。
 
1速はソレノイドAONBON
2速ではソレノイドAOFFBON
3速ではソレノイドAOFFBOFF
 
DレンジにするとテストランプはABON
走行するとAのランプが消灯し2速になったショックがあった。
さらに速度が上がるとAに続いてBも消灯したが変速ショックはなかった。
 
制御は正しく行われているのに3速にならないということはAT本体の不良である。
 
年式も年式なので修理をするかはわからないとのこと。




同類の記事を何度もアップしていますので、特段、珍しいトラブルでもありませんが、年末の挨拶を兼ての記事です。

たぶん、これで今年の記事は終わりとなります。

最近は、年齢が上がると共に忙しくなり、また、トラブルシュートの機会も減り、中々面白い記事のアップができなくなっています。
そういった中でも毎日多くの方が訪問していただいていることに感謝申し上げます。
また、多くの方からコメントを頂きましてありがとうございました。
そういったことを励みに来年も頑張っていきたいと思います。
では、よいお年を。

※明日から不在となりますので、コメントは出来ないかもしれません。


今年もよろしくお願いします。

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明けましておめでとうございます。
 
昨年一年間、このブログを訪問された方、また、コメントをいただいた方、有難うございました。

年末は田舎に帰省しており、年末の挨拶をいただいた方々に挨拶をせず失礼しました。
 
4日間ほど田舎に帰っていましたので、その間、秋に帰省したおりに目印をつけていた自然薯(やまいも)を掘ってきました。
3本ほど掘りまして、それぞれそこそこの大きさだったのですが、中でも最後の1本は約1mの特大サイズでした。
(頭の部分は切っていますので、写真は約80cmです)

イメージ 1
 
 
このサイズは過去最高ではないかと思います。

あと、2か所に目印をつけていたのですが、3本目だけでも掘るのに2時間を超えたので疲れてしまいやめました。
来年まで目印が残っていれば掘ってみようと思います。

 
話は変わりますが、4日からの仕事初めで、さすがに今週は暇のはずだったのですが、今度の土日に行事が入っていましてそれの準備に追われていました。
やっと、準備が出来たので今日はのんびりと過ごします。

で、挨拶をと思ったのですが、ふと、「このブログっていつから始めたのか?」という疑問がわきまして見たところ、「2006.1.7」でした。
つまり、昨日でちょうど10年だったのです。
 
この間にアップした記事は716回、訪問者は述べ約223万人、コメント数6738件でした。
多くの方に支えられてここまで来ることが出来ました。
本当に有難うございます。
 
年齢を重ねるにつれて、ポストも上がり、だんだんと忙しくなってきました。
ここ数年、そろそろこのブログも引退しようかと思うこともありますが、もう少し頑張ってみようと思います。
 
今年もよろしくお願いします。

低回転でエンスト/プレミオ

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暖機後、減速時などのアイドル回転でエンストすることがあるという平成16年式プレミオ(NZT240、1NZ)が同業者から持ち込まれた。


デーラーでISCVを、依頼者の工場でプラグを交換している。
 
症状を確認すると、アイドル回転が600回転位まで下がるとエンストが発生。

エアコンを入れたり、走行レンジに入れておいても同じ。

しかし、ISCVのコネクタを抜いて1200回転くらいにしておくとエンストは発生しない。

ダイアグは正常コードである。
 
アイドル回転が不安定というわけではなく、アイドリング状態でのエンストはない。
レーシング後や減速時にエンストするというのである。
 
とにかくアイドル回転がある回転数を下回るとエンストするようである。
 
確かにISCVが疑われるのだが、デーラーでISCVは交換している。
 
ただ、ISCV系統の不良の場合、回転が落ち込んでも何とか回転を上げようと少なからず踏ん張るのだが、この車の場合、ある回転数を下回ると、いきなりスパッとエンストするのである。

それに、単純に回転が下がった場合でも、500回転くらいでもエンストはしないものである。
 
以前、このブログでも紹介したが、クラセンのエアギャップ過大によりある回転数を下回るとエンストするという4AGに似ている。
 
何もヒントとなるものがないので、とりあえずクラセンの信号を点検した。
 
上がカム角センサー、下がクランク角センサー
(1マス2V)
 
イメージ 1

 
すると、ピーク電圧がやけに変化し、おまけに0Vより下側の電圧が低い気がする。
(通常は0Vを中心に上下の電圧は大体同じ。)
 
観察していると、クラセンの信号がさらにおかしくなり、明らかに下側の電圧が小さくなりエンストした。

何度か調べてみると、電圧がピーク・ツー・ピークで1.21.3Vを下回るとエンストするようだった。
 
 
エンストの瞬間(エンストしたと思われる後に信号が4つあるのは何?)
クランク角センサーは1マス0.5V
 
イメージ 2


クランク角センサーの不良と思われるので単体点検をすると、1.6MΩもあった。(基準値は1kΩ前後)
クラセン不良である。
 
交換するとエンストはなくなった。
 
ピックアップコイルの抵抗が大きくなったり断線すること自体は珍しくはないが、症状としては珍しいトラブルじゃないかと思われる。

A-Gの経験がなければ苦労していたかもしれない。












異常検出しない理由

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宿題コーナー第41弾(レベル3
 
前回紹介したプレミオに関する問題です。

最近、宿題コーナーに記事がなかったので無理やり問題にしました。(^_^;)
 
レーシング後や減速時の低回転でのみエンストするプレミオの原因は、クランク角センサーの不良でした。
クランク角センサーの抵抗が大きいことにより出力電圧が低かったのです。
 

 そこで問題です。


なぜ、ダイアグノーシスで異常コードが出なかったのでしょうか?
 
なお、クランク角センサーの信号は常に出ているのですが、出力電圧が低かったので600回転未満ではECUはクランク角センサーの信号として認識していなかったものとします。

600回転以上の時も正常な車の信号よりも低かったのですが、信号として判断する最低電圧より高いので正常な信号として認識しています。

また、クランク角センサーはクランクシャフト部、カム角センサーはシリンダヘッド部に取り付けられています。
エンジンはハイメカツインカムのVVT付きの1NZエンジンです。

できれば内緒にてコメントをお願いします。
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