内緒さんのコメントで、クラッチフェーシングの質問がありましたので、湿式多板クラッチ及びブレーキの作動を簡単に書きます。
(ATに使われているクラッチやブレーキは湿式多板式が多いのですが、中にはバンドブレーキのような単板式もあります。)
構造は次のとおりで、ドライブプレートとドリブンプレートが交互に重なり合っています。
実際のドライブプレートとドリブンプレート
ドリブンプレートは外周に嵌合部があり、図で言えばクラッチドラムにはめ込まれいて、ドラム内を左右に動くことができます。
材質は金属です。
ドライブプレートは内周に嵌合部があり、何かにはめ込めれています。
そのはめ込めれている軸を左右に動くことができます。
材質は金属で表面にフェーシング(摩擦材)があります。
記事のラクティクスの写真は、黒いところが摩擦材のフェーシングで白っぽく見えるのは下地の金属部です。
次の写真はまともなドライブプレートです。
MTのクラッチ板のように溝があるのがわかります。
一般的にATの滑りはこのフェーシング部の摩耗が原因になると思います。
MT車のクラッチ板と同じと考えてください。
次の写真は摩耗したドライブプレートと傷の入ったドリブンプレートです。
(違うミッションの部品だと思います。)
ドライブプレートとドリブンプレートが交互に重なり合っていますが、動力の伝達はありません。
仮にクラッチドラムが回転すると、ドリブンプレートも回転しますが、ドライブプレートは回転しません。
しかし、クラッチドラム内にはピストンが組み込まれており、油圧が作用するとピストンが出てきてドライブプレートとドリブンプレートを押し付けます。
すると動力の伝達が行われます。
デッシュプレートは多少反っていてスプリングの役目をしていたようなしていなかったような。。
リテーニングプレートはすき間調整用のプレートです。
記事のラッシュの場合、ドリブンプレートは入力軸と一体で回転するAのドラムにはめ込まれています。
ドライブプレートはBのプラネタリキャリアにはめ込まれています。
ピストンはAのドラム内です。
インターナルギヤはCのドラム内です。
Dレンジにすると、入力軸とサンギヤ、Aのドラムは一体で回ります。
ピストンが作動しAのドラムからドリブンプレート→ドライブプレート→プラネタリキャリアに動力が伝わります。同時にサンギヤ(下の図中ではプラネタリギヤとなっている)からも動力が伝わります。
2か所から同じ入力があるのでプラネタリギヤASSYは一体になって回ります。
ちなみにリヤブレーキの写真はありませんが、リヤブレーキのドライブプレートの内周はCにドラムの外側にはめ込めれ、ドリブンプレートがCVTハウジングにはめ込まれているのではないかと思います。
リヤブレーキ用ピストンに油圧が作用すると、Cのドラムを回転しないように止めます。