一定速で走行中、パワーダウンし、徐々に速度が低下するという、平成9年式S-MX(E-RH1、B20B)
特に、高速道路で出やすいとのこと。
速度が出なくなったときは、エンジン回転が低下したのか、逆に上がったのかを聞いたが、わからないという。
ただ、エンジンがアクセルペダルに反応しなかったように感じたという。
また、アクセルペダルを少し踏んだくらいでは、速度は低下する一方だったが、思いっきり踏んだら良くなったそうである。
アクセルペダルを思いっきり踏み込まなければ、停車するまでそんな感じだという。
聞いた限りでは、燃料不足が疑われた。
となると、燃圧、バキュームセンサー、O2センサーが怪しい。
燃圧計をセットし、データーモニターで車速、エンジン回転、スロットル開度、バキュームセンサー、O2センサー、A/F補正値、噴射時間等をモニターしようと思ったが、OBDコネクタが無くホンダ専用のコネクタしかない。
レトロコネクタでも点検できるスキャンツールはあるのだが、知り合いに貸しており2日ほど戻ってこない。
仕方なく、ECUのコネクタ部で、バキュームセンサー、O2センサーの電圧をサーキットテスターで点検した。
サーキットテスターをセットして、まず目に付いたのがO2センサーの値。
暖機後で回転を上げているのに、ほとんど上がらない。
上がってもせいぜい0.3~0.4Vしかならない。
【下の写真は後日、診断機で測定したデーター】
スロットルの0.49VはアクセルOFF状態。
O2センサーフィードバックが「CLOSED」とは、O2センサーの信号を元に、燃料噴射量の増減を行っているということを示す。
これが「OPEN」だと何らかの理由(冷機時、加速中など)で、O2センサーの信号は無視して、そのほかの信号により噴射量を決める状態。
O2センサーは0.08Vでリーン。
短期燃料トリム(空燃比補正値)は1.47倍とかなり増量。(たぶんMAX増量)
よって、噴射時間が、通常は2.2~2.4msなのが3~4msもある。
下の表は走行時(65~70km/h)でゆっくり加速中。
O2センサーは0.14Vでやはりリーン。
短期燃料トリム(空燃比補正値)は1.47倍とかなり増量。
パーツクリーナーを吹き込んでもO2センサーの電圧に変化なし。
この時点で、O2センサーの不良は決定。
ただし、今回の不具合の原因かどうかは不明。
おまけにレーシングすると、減速時はマイナス0.5Vになる。
しかし、これが原因でこの症状が出るとは思えない。
O2センサーの信号が0.4V以下ということは、常にリーン(薄い)信号なので増量しているはず。
排気ガスを測定すると、COは約6%とそれを裏付けている。
この不良のO2センサーが高速走行で高温になると、1Vのリッチ(濃い)信号を出して、補正が減量になり症状が出るものと推定。
この状態で、比較的スピードが出せる一般道路を走行。(問診により、過去に不具合が出たことのあるという道路)
しかし、症状が出ない。
念のため、翌日も同じ道路を走行したが不具合は発生せず。
高速道路を走行しようと思ったが、スキャンツールが戻るまで待つことにした。
つづく