症状と配線図から、ブレーキランプの回路とバックドアのカーテシスイッチ回路がショートしているのではないかと推定。
配線図を調べると、この2つの回路にはある共通のコネクタがあることが分かった。
それはリヤ左クォータパネルにある、P21、P22コネクタである。
このコネクタにはブレーキランプの回路とバックドアのカーテシスイッチ回路の両方の配線が通っている。
試しにこの2つの配線をヒューズ付きの線でショートさせてみた。
すると、半ドア警告灯が点灯した。
その状態でブレーキペダルを踏むと警告灯は消灯した。
症状と全く同じ現象になったのである。
この2つの配線のショートにほぼ間違いない。
さっそくP21・22コネクタを調べてみたが、予想に反してコネクタ内に錆や水などはなかった。
絶対のこのコネクタ内でのショートと思っていたのでガッカリである。
症状が出るまでしばらく様子を見ることにした。
しかし、数日たっても不具合が出ない。
2つの配線のショートに間違いないと思われたので、P21・22コネクタからストップランプまでの約1mのハーネスのテープを取り除き、配線同士でショートしていないか丹念に調べてみた。
しかし、ショートしている個所はなかった。
ボデーECU(グローボックス奥)からP21・22コネクタまでは、左側のステップのところを這っているのだが途中にコネクタは無い。
ハーネス内での配線のショートの可能性はとても考えにくい。
どうしたものかと悩んでいるところへ、たまたま知り合いのデーラーの人に会う機会があり、このトラブルの話をしたがその人もこんな事例は聞いたことがないという。
2週間ほど預かっていたが、症状が出なけりゃ調べようがないので、一旦、車を依頼者の工場に戻すことにした。
念のため、どの系統のカーテシスイッチが悪いのかを調べるために、ボデーECUでの点検個所を教えておいた。
また、不具合が出た時に、最も怪しいP21・22コネクタを抜いて症状が変化するかを確認してもらうように説明しておいた。
どの系統かさえ分かれば、最悪、カーテシスイッチの配線を引き直せばよくなるだろうと思っていた。
しばらくは不具合は出ないだろうと思っていたのだが、思わぬところから有力な情報が入ってきた。
先日、話をしたデーラーの知人から電話があり、わざわざ調べてくれたようで、全国で同じような事例が1件だけあったというのである。
原因はP21・22コネクタ内に事故修理時の鉄粉が入り、コネクタ内でカーテシスイッチとストップランプスイッチの端子がショートしていたというのである。
「!!!!!」
実はこの車、この不具合が出る1か月ほど前に事故修理を行っており、P21・22コネクタがあるリヤ左クォータパネルを交換しているのである。
当然、鉄板を切りついているので鉄粉が出ているはずである。
このP21・22コネクタは単純なオス・メスのコネクタではなく、2つのメスコネクタの中間に両端がオスのショートピンコネクタを介してつながるという、言葉では理解できない特殊なコネクタである。
この話を依頼者に伝え、詳しく調べてもらった。
すると、コネクタ内に黒い鉄粉のようなものが見られたとのことである。
エアで吹き飛ばしても簡単には取れなかったそうであり、先細の物をつかい清掃したそうである。
やはり鉄粉が入り込んでいたようである。
これが原因だったかどうかは確証はないが、ほぼ間違いないものと思われる。
↓コネクタ内の勝手なイメージ