冷機時、エンジンがかからないという平成22年式サンバ(TT2、EN07)が同業者から持ち込まれた。
点検すると、ダイアグは正常コード。
基本点検を行うと、インジェクタは作動しておらず、火花も飛んでいなかった。
通常、この2つがNGの場合はECU系かエンジン回転系センサーに原因があることが多い。
まずは、クランク角センサーとカム角センサーの波形を調べると、とりあえずは出力されていた。
ただし、この波形のパターンが正常かどうかはわからない。
2つのセンサーの形状を見ると、取り付けボルトの位置は違うが、センサー部の形状は同じだしコネクタ形状も同じだった。
入れ替えが出来るのではないかと思い入れ替えてみた。
するとエンジンが掛かった。
元に戻して、始動不能であればどちらかのセンサーの不良という可能性もあるが、元に戻しても始動出来てしまった。
たまたま良くなったのか?
しばらくそのままにしておけば不具合が出るだろうと思っていたが、その後、いくら時間をおいて試してみても症状が全く出なくなってしまったのである。
クランク角センサー、カム角センサーを外してから正常になったので、この2つのセンサーのコネクタ部の接触不良も疑われた。
そこでこのコネクタ内のターミナルの圧着状態を点検したが、問題なく悪いとは思えなかった。
症状からは、クランク角センサー、カム角センサーが疑われたので、エンジン始動後の波形と、始動出来ない時の波形を比較してみた。
すると、全く違うのである。
上が始動後の波形。下が始動不能時の波形。
どうも、始動不能時のカム角センサーの信号に違和感を感じる。
電圧は問題ないのだが、カム角センサーの出力パターンが明らかに違うのである。
エンジンが掛かった時の波形のパターンは2-2-2-1-2-1-2-0で、ON時と思われる0Vの部分は立ち下がっている時間が幅は一定である。
それに対して、エンジンがかからない時は幅が不均一でパターンが読み取れない。
パターンを確認するために、タイミングベルトカバーを外して、カム角センサー用のローターの突起部のパターンを調べると、2-2-2-1-2-1-2-0である。
これはエンジンが掛かった時の波形と一致した。
また、ローターの突起部の幅は同じであり、カム角センサーのON時間は同じであることもわかった。
という事は、始動不能時のカム角センサーの信号は不良という事になる。
ローターのパターンを不良時の信号に当てはまると、若干当てはまるが明らかにおかしい。
ローターのパターンは2-2-2-1-2-1-2-0。
写真の赤の2からスタートするが、2のところが実際は1だったりしている。
想像であるが、実はスバルの回転系センサーは、同じセンサーであってもエンジンの回転速度などによって、立ち上がり波形になったり立ち下り波形になったりするようなのである。
この不良の波形は、立ち上がりと立ち下りが細かく入り混じっているような感じなのである。
どうみてもこれはカム角センサーの不良である。
カム角センサーを交換すればよくなるはずなのだが・・・・・
つづく