私は電気回路の計算を行うには、次の5項目を覚える必要があると思っています。
①オームの法則(電流=電圧/抵抗)
②直列回路の合成抵抗の計算(単純に足す)
③並列回路の合成抵抗の計算(逆数の和の逆数または積/和)
④直列回路の電流は全て等しい(並列回路電圧は抵抗に反比例)
⑤並列回路の電圧は全て等しい(直列回路の電圧は抵抗に比例)
これらを元に、回路全体の電圧、電流、抵抗及び各負荷の電圧、電流、抵抗をわかるところから記入していき、電圧、電流、抵抗のうち2つがわかればオームの法則で残る1つを計算し、その結果他の負荷の電圧、電流、抵抗などがわかればさらに記入をしていくと、結果的に全ての負荷における電圧、電流、抵抗がわかるはずです。
問1
「図のような回路において、3Ωの抵抗に1Aの電流が流れました。この時の電源Vはいくらでしょうか?ただし、配線の抵抗や接触抵抗は無いものとします。」
まずこの回路から簡単に求められるのは、3Ωの抵抗にかかる電圧と4Ω、3Ω、2Ωの並列回路の合成抵抗です。
3Ωにかかる電圧は1A×3Ω=3V
4Ω、3Ω、2Ωの合成抵抗は12/13Ωです。(式省略)
ということは、この並列回路全体に流れる電流は、3V÷12/13Ω=13/4Aです。
この電流は直列に入っているR1の4Ωの抵抗にも同じ電流が流れますから、この抵抗にかかる電圧は4Ω×13/4A=13Vです。
並列回路に3Vかかっていますから電源は16Vです。
問2
「負荷Aには10A、負荷Bには5Aの電流が流れます。
この場合、cd間の電圧はいくらでしょうか。
ただし、負荷A及び負荷Bの接続箇所(g、h、j、i)の接触抵抗はそれぞれ0.1Ωです。
また、ab間とef間の配線抵抗はそれぞれ0.1Ω、bc間とde間の配線抵抗はそれぞれ0.4Ωとします。」
いろいろと配線の抵抗や接触抵抗などと難しいことを書いていますが、これらを単純に回路上の抵抗に書き換えてやれば簡単な回路です。
配線ab間とef間には15A(負荷Aに流れる10A+負荷Bに流れる5A)の電流が流れますので、それぞれ0.1Ω×15A=1.5Vの電圧降下が起こります。
配線bc間とde間には5Aの電流が流れますので、それぞれ0.4Ω×5A=2Vの電圧降下が起こります。
接点g,h,I,jでも電圧降下が起こりますが、CD間の電圧を求めるので、何Ωだろうが関係有りません。
よって、CD間には、105V-1.5V-1.5V-2V-2V=98Vの電圧がかかります。
もちろん、計算方法はこれ以外にもあります。
どの方法だろうが構わないと思います。
問1と問2はちょっとめんどくさいところもありますが、整備士の知識でも十分に解けるはずです。
問題は問3ですが、解説は次回です。