P0100(VVT OCV系統)とP1360(VVTモータ回転信号Bank1)を表示したLS460。
共に左バンクのカムシャフトコントロールモーター(吸気側電動VVT)の不良コードなので新品に交換。
これでよくなったものと思っていたのに、数十分後にチェックエンジンランプが点灯。
ダイアグノーシスを点検するとコードP0012(VVT制御 遅角異常)という新たなコードを表示。
これは「左バンク吸気側バルブタイミングが遅角位置で変化せず、かつ目標と実際のバルブタイミングに差がある場合。5分以上」となっていた。
交換したモーター側のVVTの動きが悪いということになる。
この日は時間がないということで一旦納車。
戻って、依頼者と車の使用者が話した結果、少し異音の出ていた右バンクのモーターの交換もするようになったらしい。
数日後、その部品の交換が終わったので、前回のコードに関しての点検をしてほしいと車を持ってきた。
コードP0012(VVT制御 遅角異常)は左バンクのVVTが目標通りに動いていないことを表している。
モーターは新品に交換しているし、電源、アースも再度確認したが問題ない。
となると、モーターの相手側であるカムシャフトタイミングギヤの動きが悪いとしか思えない。
点検要領は、下にあるようにモーターをはずしてカムシャフトタイミングギヤの切欠き部を指で回すとなっていた。
遅角状態を確認するために左方向に回したが2mmほどしか動かなかった。
しかし、逆方向の進角方向に回すと、かなり重たかったが45°ほど回転した。
その後、左右に交互に回したが、かなりの抵抗があり、指では回せないほどだった。
これが正常かどうかはわからないが、重たすぎるのではないかと感じた。
それに、構造的に45°しか動かないのも変な気がした。
特種なギヤ構造をしており、作動の理解がかなり難しいギヤだが、何回転かさせて進角、遅角をしているギヤなのである。
しかし、何度か繰り返していると段々と軽くなり、2回転以上回るようになった。
ということは、最初の状態は異常な状態であり、動きが悪かったのでVVTが作動しなかったのではないかと思われる。
よって、P0012の遅角異常を検出したのではないだろうか。
この状態でモーターを組み付けると、異常コードは出なくなった。
これでも同じトラブルコードが出れば、カムシャフトタイミングギヤの交換が必要である。
モーターが壊れたのが先か、カムシャフトタイミングギヤが重たくなったのが先かは不明だが、関連は有りそうである。
交換したモーターをもらい分解してみると、シャフト先端部のベアリング(無給油式)が焼付いて破損していた。
また、シャフトとモーター内の磁石のスプライン部も完全になめてしまっていた。(写真が行方不明)
モーター内に水が入った形跡はなく、ただ単に壊れたのか製品の不良だったのかはわからないが、年式や左右のモーターから異音がしたことを考えると、増えるトラブルかもしれない。
結局、左バンクのカムタイミングコントロールモータの破損(交換)、左バンクのカムシャフトタイミングギヤの動き不良(修理)、右バンクのOCVの配線の断線(修理)、右バンクのカムタイミングコントロールモータからの異音(交換)と、複数のトラブルが重なった事例であり、何度も誤診をしてしまったと焦ってしまった。た。
やはり、この車は「すげぇ~」と言って見る車であって修理するために預かる車ではない。(^_^;)