加速が鈍く、ターボが効いていないのではないかという平成15年式アトレー(S230G,EF-DET)
ただし、アイドリングは全く問題ないという。
同業者からの依頼で、プラグ、IGコイル、タービンは交換済み。
走行してデーターを確認すると、過給圧は最大で1420mmHg(約0.86㎏/cm2)まで上がっており過給圧は問題なかった。
また、その時に燃料カットもしていないので過給圧の上がり過ぎでもない。
よって、これらのことからはターボによるものではないと考えられる。
次に燃料不足が疑われたのでO2センサーの信号や燃圧の測定も行ったが、特に悪くは無く燃料不足でもなかった。
点火系はプラグ、IGコイルともに純正の新品に交換なので考えにくい。
となると、次に怪しいのはマフラーの詰りなので、O2センサーを取り外してそこから排圧が逃げるようにしてみたが、それでも加速が鈍かった。
こうなると、基本的な所から見直さないといけないので、圧縮とバルタイ、バルブクリアランスの点検を行うことにした。
怪しいのはバルタイの方だろうと思ったが、先に簡単にできる圧縮を測定。
すると、1番と3番シリンダが12kg/cm2と問題なかったが、2番シリンダは7kg/cm2しかなかった。
これが原因とは断定できないが、残りのバルタイとバルブクリアランスに問題が無ければ、圧縮不足が原因と思われた。
バルタイとバルブクリアランスを点検したが問題はなかったので、まずは圧縮不足の修理が必要と依頼者につたえたところ、修理は依頼者の方で行うことになった。
数か月経って、何も言ってこないところをみると、修理しなかったのか、または、良くなったものと思われる。
アイドリング時は全くミスしている感じもなく、加速が鈍い時も特定のシリンダのミスという感じはなかったので、まさか圧縮やバルブクリアランスは関係ないだろうと思っていたのに、意外なところに原因があった。
それにしても圧縮不足なのにミスしないのであろうか?
再度、アイドル時のエンジンの調子やマフラーから出る排圧を調べたが、ミスしているとは全く感じなかった。
特定シリンダのミスではないという先入観にとらわれずに、圧縮やバルブクリアランスを点検してよかったと思う。
そうじゃなければ原因は見つからなかったかもしれないのである。
過去にも何度か書いたが、「まさかこれは関係ないだろう。」と思っても、やはり点検は必要である。