アイドルアップさせるためのスロット開度を示していると思われるISC制御用スロットル開度信号。
単独で、Dレンジにしたり、A/CスイッチONにするとそれぞれ大きくなり、実際、アイドル回転も上がった。
各負荷によりアイドルアップさせており、これが当然の制御と思われる。
しかし、A/CスイッチON状態でDレンジにすると不思議なことに、この信号が小さくなっていた。(スロットルバルブを閉めている。)
これではアイドル回転は下がり、さらに、コンプレッサーの負荷がかかることで更に下がるはず。
よって650回転以下になるのでマグネットクラッチがOFFになるのも当然である。
Dレンジ信号が入力されれば、どんな状況であれ、とりあえずはISC制御用スロットル開度信号は大きくならないといけないはず。。
なのに小さくなった。
これはどう見ても制御プログラムの問題と思われた。
こうなると専業工場ではお手上げである。
デーラーの知人にこのことを相談すると、ECUのバージョンを聞かれた。
バージョンは、部品の表面に印されている品番ではなく、ECU内部に書き込んである番号である。
どういうことかというと、表面に書かれている品番は物的な品番であり、これは変わることは無い。
しかし、ECU内のソフト面の品番は、リプロする都度、中身が変更になるので、バージョンで表すようにしているようである。
このソフト面のバージョンは、スキャンルーツでしか見ることは出来ないのだが、幸いにも当社には見ることのできるスキャンツールがあり調べた。
すると、品番は33980-85KK※で、バージョンは0001だった。
バージョンにより、どこがどう違うかまではデーラーでもわからないそうであるが、リプロしてみてはどうかとアドバイスをもらった。
ちなみに、汎用スキャンツールでは、この品番は33980-85KK※という表示であり、バージョンが確認できないものが多いようである。
さっそくバージョンアップしてもらうと、症状が全く出なくなったのである。
信号を確認すると、NレンジでA/CスイッチをONにすると、ISC制御用スロットル開度信号は開き側になった。
その状態でDレンジにすると、リプロ前はISC制御用スロットル開度信号は小さくなっていたのだが、リプロ後は電スロの制御信号は更に大きくなるようになっていた。
やはりプログラムの変更があったようである。
こんなことをされたんじゃ、専業工場はたまったもんじゃない。
今回は、どこにも悪いと思える箇所が無く、制御プログラムに問題があると思えたので、こういったことを調べたが、今後はこういったことを常に頭の中に入れておく必要があるのではないだろうか。
そういえば、ホンダの修理書の中で、「最新のプログラムに書き換える」といった指示があちこちに見受けられるが、こういった可能性もあるということであろうか。
なぜ、こうなったかの経緯はわからないままだったが、順二さんのコメントにあったように、エアコンのリコールでECUのリプロ後からこうなった可能性もあったのではないかと思う。
実際、違う症状だったが、調べるとプログラム変更がその原因だったこともあった。
ちなみに、バージョンアップ後の品番。