前々回、リプロで良くなったMRワゴンの事例を紹介したが、それとは違うが、プログラムに関する事例を紹介。
3,4年前の事例で、他の者が担当していたので詳細は不明だし、内容も正確ではないかもしれないのでご了承を。
他工場からの依頼で、エアコンが効かないというMH系のワゴンRが入庫。
原因は単純にコンプレッサーの不良。
見事にベーンが摩耗!!
その数か月後、この車のリコールが発表された。
コンプレッサーのオイル不足により、摩耗や焼き付きが起こるというもの。
この車も対象だったので、その工場に連絡し、リコール作業を実施してもらった。(どうしたのかは不明)
さらに、その数か月後、そこの工場から電話があり、「一旦、コンプレッサーがOFFになると、その後はONしなくなることがある。」という事で相談があった。
電話では、解決しそうになかったので、持って来てもらい点検を実施。
点検をしていると、次のようなことが分かった。
どうもISCVの不良により、エンジン回転が低いことがあり、マグネットクラッチがOFFする。
すると、その後は、マグネットクラッチがONしなくなる。
ただし、一旦、キーOFFにし、再始動すると、マグネットクラッチはONする。
いろいろと調べたが、ISCV以外は悪くない。
内容からして、どうもプログラムの不良のような気がした。
デーラーの知人に相談すると、実は、コンプレッサーのリコール時、ECUの書き換えも同時に行うのだが、低回転でマグネットクラッチがOFFになった場合等、正常になっても、ずっとOFFにするようなプログラムに書き換えたそうである。
よって、どうしようもないというのである。
(もしかしたら、再度、書き換えのプラグラムがあるかも?)
ま、直接の原因はISCVなので、ISCVを交換し、アイドル回転が規定値以下にならなければ問題ないので、そのことを説明し納めた。
このリコール作業は、コンプレッサーがロックしていれば交換するが、ロックしていなければオイルの補充とプログラムの書き換えを行うとなっている。
なぜ、こんなプログラムにしたのか?
あくまでも個人的な考えだが、オイルの補充をした車が、その後にロックした時の事を考えているのではないだろうか。
仮にコンプレッサーがロックした場合。
当然、エンジン回転は下がりエンストする。
仮にエンストしなければ、マグネットクラッチをOFFする。
すると回転が上がるので、マグネットクラッチはONする。
すると、回転が下がる。。。。
この繰り返しによるハンチングが起こる。
また、ベルトが摩耗する。または折損する。
リコール作業をしたのに、こんな症状が出ればユーザーは怒る。
これらの理由により、一旦、低回転でOFFした場合、ONさせないようにしているのではないだろうか。
これのほうがエンストするよりはマシである。
もし、そうであれば、そんなプログラムで一時的な対処をするのではなく、コンプレッサーは全数交換にしてほしいものである。