エンジン不調の平成19年式ミニクーパー(MF16A、N14B16A)が同業者から持ち込まれた。
エンジン不調は特定のシリンダのミスではなく、全体的なミスのようだった。
プラグを外して状態を確認すると、全部がくすぶっており、オーバーリッチが疑われた。
このエンジンは直噴エンジンであり高圧ポンプを備えているようだったので、高圧ポンプからの燃料漏れの点検を行ってみた。
エンジン停止状態でオイルフィラーキャップを外し、タペットカバー内のHCを測定した。
結果は、1000ppm以下であり、燃料漏れの可能性はなかった。
データーモニタで噴射時間(1~2ms)、空燃比の補正量を表すラムダ値(約1前後)からは、特に濃い状態とは思えなかった。
また、各シリンダごとの平滑状態という項目があり、全部のシリンダで数値が上がっていた。
断定できないが、これは失火モニターではないかと思われた。
オーバーリッチでもないのに、なぜ、失火しプラグがくすぶるのか?
こういった場合は、一般的には燃料自体の不良、バルブタイミングの狂い、EGRの作動ではないかと思われる。
実はこの車、アイドリング時のタイミングチェーンの音が気になるのである。
特に、クランキング直後はひどい。
そういったこともあり、タペットカバーを外してみた。
すると、タイミングチェーンがかなり緩んでいた。
たまたま停止したタイミングで緩んでいる場合も有るし、テンション用の油圧が掛かっていない可能性もあったのだが、よく見るとガイドが破損していた。
本来のチェーンガイド
本来のガイドと比較すると、ステーが破損し、プラスティック部分が全部なくなっていることがわかる。
破損した部品がどこに行ったのかと、タイミングチェーンの下の方を見ると、破損したガイドは落ちていた。
見える範囲で取り出した部品
この部品がチェーンに噛み込めばコマがずれている可能性もある。
このことが原因かは断定できないが、まずは、タイミングチェーン、ガイド等の交換が必要であり、それでもエンジン不調であれば、再度預かることにした。
修理したかどうかはわからないが、あれから半年近くが経過したが何も言ってきてはいない。
ネットで検索すると、この車と同じようにガイドが破損し、異音が出るという事例は多いようである。