エンジン始動不能のムーブ(L150S、EF-VE)
知人からの依頼なのだが、前から電話相談を受けており色々と点検したがわからないということで依頼された。
これまでの経過を確認すると、走行中にエンストし、その後、始動不能になったとのこと。
始動不能といっても全くかからないのではなく、掛かりそうな雰囲気もあるときもあるようだ。
ただ、段々と爆発の程度が弱ってきたという。
今まで行ってきた点検内容は、ダイアグは正常、燃料自体の点検(ガソリンに間違いない。)、パーツクリーナを吸わせても同じ、圧縮圧力は10~12㎏/cm2前後、バルブタイミングもOK、火花は10mmのギャップでも飛ぶ。
また、マフラーの詰りを疑い、O2センサー自体を取り外してみたが同じ。
交換部品は、プラグと燃料ポンプ。
ECUは他の車と入れ替えている。
これでも原因が分からないとのこと。
怪しいのは、やはりバルブタイミング。
確かに合いマークは合っているようだが、このエンジンはVVT付きであり、VVTが良く壊れる。
本当にバルブタイミングが合っているかどうかは、カムの向きを確認する必要がある。
それを説明したのだが、慣れないとカム山の向きだけでの判断は難しいようである。
ということで、車を持って来てもらった。
クランキングして症状を確認すると、やはりバルブタイミングが狂っているように感じた。
ほんの少しだけ爆発の気配はあるが、明らかに完爆しそうにはなかった。
念のため、パーツクリーナを吸わせたが、ほとんど変わらなかった。
これで燃料系は除外してもよさそうである。
症状からは点火系の可能性は低いだろうと思っていたので、残るはエンジン本体である。
ヘッドカバーを外して、カム山の向きを確認したが、予想と反してズレているとは思えなかった。
念のためバルブクリアランスの点検も行ったが問題なかった。
バルタイは問題なさそうだったので、ヘッドカバーを取り付け圧縮を測定した。
全て11kg前後あり、こちらも問題なかった。
始動不能の場合、通常、ここまで点検すれば何らかのヒントがあるはず。。。
しかし、ヒントらしきものがない。
外したプラグを調べると、3本中1本は真っ白で2本は少し黒ずんでいる。
(プラグは新品に交換済み。)
話を聞いた限りでは、点火系ではなく、燃料系かエンジン本体だろうと思っていたのだが、今までの結果とこのプラグの状態から点火系も疑わなければならないようだ。
依頼者の方でも火花点検は行っていたが、こちらでも点火系の再点検を行うことにした。
IGコイルに外したプラグを取り付け、プラグとボデー間に10mmのギャップを作ってクランキングしてみた。(危険なのでインジェクタのコネクタは抜いている。)
すると、3本とも火花はちゃんと飛んでいた。
点火系も問題ないのか。。
つづく