冷機時の発進時、エンジンの吹き上がりが悪いという平成16年式エスティマ(ACR30W、2AZ)
同業者からの依頼。
エンジンをかけると、アイドリングやレーシングでは不調を感じないが、発進すると明らかに1気筒ミスしている。
プラグかIGコイルの不良と思われる。
ただ、この車は、数か月前にエンジン不調で入庫し、IGコイルが不良だったので中古品に交換している。また、同時にプラグも消耗していたという事でプラグは新品に交換している。
とはいえ、どう見ても点火系のトラブル。
依頼者の人も、同じように思ったようで、IGコイルは他の車の物と入れ替えてみたがよくならなかったとのこと。
失火のシリンダが分かればいいのだが、走行しないと失火しないのでパワーバランステストが出来ない。
停車状態で不具合は出ないものかと、Dレンジにしてブレーキを踏んだままアクセルペダルを軽く踏んでみた。
すると、失火が発生しエンジンが震えだした。
この状態であればパワーバランステストが出来るので、行ってみると2番シリンダのミスと判明。
コイルとプラグを他のシリンダと入れ替えると、原因は新品に交換したプラグであった。
プラグテスタで圧力を加えながら火花テストを行ったが、やはり不良であった。
外部へのリークもなさそうだったので、もしかして以前記事にした、片手で締め付けたことによるプラグの破損かも知れないと思い、ネジ部や碍子部を見たがそれらしき形跡はなかった。
ただ、プラグの頭部に普通は無い傷があった。
これがプラグを落とした形跡なのかは不明だが、気になる所ではあった。
念のため、中心電極部の抵抗を測定すると、本来、5kΩの抵抗じゃないといけないのに、10数MΩというほぼ断線状態だった。
このことからプラグの中心部の折損による、内部リークを思われる。
見た目にはきれいなプラグ
依頼者にこのことをいうと、「まさか最近交換した新品のプラグが不良なんて・・・」と驚きのようだったが、手順通りの点検を行えばすぐにでも原因は分かったはずである。
当たり前のことだが、新品だから大丈夫だろうという先入観を持ってはいけない。