始動不能のサニー(TA‐FB15、QG15)が同業者から持ち込まれた。
持ってきた車をクランキングすると、よくこんなに遅く回れるなというくらいクランキングスピードが遅い。
依頼者も気になったらしく、バッテリは新品に交換してスタータは外して単体で回したようだが問題なかったということである。
バッテリが新品でクランキングスピードがこんなに遅いということは、エンジン側のフリクションが大きすぎる可能性がある。
こんなにクランキングスピードが遅いのであればいくら新品のバッテリとはいえ電圧が落ちているはず。
クランキング時のバッテリ電圧を測定すると7.8V。
これじゃECUが作動せずに始動できない可能性がある。
本当に負荷が大きいのかを調べるため、スタータに流れる電流を点検した。
すると、驚きの450A。
特に基準値があるわけではないが、大体安定したクランキング状態で150A以下じゃないといけないと思っている。(エンジンの種類、排気量、バッテリ電圧、補機類の種類にもよって異なる)
それが450Aも流れていた。。
これだけの電流が流れる原因は、スタータの不良、エンジン自体や補機類の負荷が大きいという可能性がある。
まず、クランクシャフトをレンチで回してみた。これで重たければ、補機類のベルトを1本ずつ外していこうと思っていたが、予想に反して全く重たくなかった。
スタータ自体の不良かもしれないと思い、プラグを外した状態で電流を測定してみた。
すると150Aの電流が流れていた。
トヨタではスタータ単体での無負荷テストでは、普通型で50A、リダクション型で90A以下となっている。
ただし、この数値は限度であり、実際はこの数値の70%前後じゃないかと思われるので、いくらクランクシャフト類の負荷があろうが150Aは流れすぎではないかと思われる。
つまりスタータの不良ということになる。
スタータを外して分解してみると、軸受けメタルが摩耗しており、アーマチュアがコアに接触していた。
これが原因かどうかはわからないが、スタータが悪いのは間違いないないので交換した。
スタータモータを交換すると一発で始動。
こんなのは初めての経験。