チェックエンジンランプが点灯し、DPRランプが点滅するというトヨエース(車両型式KDY231、エンジン型式1KD)
ダイアグコードはP2002(DPF異常)を表示。
スキャンツールを使ってDPF強制再生を実施したが、実施できなかったということで相談を受けた。
最近、このDPF異常やEGR量不良(過多、過少)のコードを出すトラブルが多い。
この手のトラブルは異常コードの検出条件を調べないと、思いもよらないところが原因だったり、どこを点検すればよいのかわからなかったりする。
さっそく、このコードP2002の検出条件を調べると次のようになっていた。
1.走行中、PM強制再生が必要な表示(ランプ点滅) が出てからも走行を継続してPM堆積量が限界を超えた場合。
2.エンジンオイル交換が必要な表示(ランプ点灯または点滅)が出てからも走行を継続してPM堆積量が限界を超えた場合。
3.走行中に絶対圧センサが閾値以上の差圧を検知。
4.PM強制再生中、触媒昇温が十分得られない場合。
5. PM強制再生が1時間以上かかる場合。
この車は実際にDPF警告灯が点滅してしばらく走行したので1番に該当してこのコードを出力したと思われるが、強制再生ができないのはおかしい。
また、PMの堆積量が増えた理由が運転状態のせいか、車のシステムに不具合があって強制再生ができないかは不明。
とりあえず点検できるところがわからないので後回し。
2番はオイルレベルアッパーウォーニングランプが消灯しているので除外。
次は3番。
これは点検できるので絶対圧センサ関係を点検。
まず、絶対圧センサの機械的部分に異常がないかを調べるために、絶対圧センサ~DPR触媒間のホースやパイプの外れ、破れ、詰り等を調べたが問題なかった。
次に、絶対圧センサの値をデータモニタで点検すると、キースイッチONで103kPaだった。
基準値は「実際の大気圧と同じ」なので正常。
強制再生時の絶対圧センサの値を点検したが103kPaのままだった。
基準値は「大気圧+120 to 180 kPa/1150 to 1250 r/min」となっている。
これは強制再生が行われると圧力が上がることを意味している。
ということはここがおかしい。
というか強制再生が始まらないことがおかしい。
強制再生が行われないので圧力が上がらないのか、圧力が上がらないので強制再生が行なわれないのか・・・・・
当然、前者と思われる。
1番のこともあるし、強制再生が行なわれない原因を探すことにした。
解説書で強制再生の項目見ると、強制再生時は排気絞り弁を閉めていることがわかった。
閉めることにより圧力が上がるようである。
この絶対圧センサの圧力が上がらないということは、排気絞り弁が閉じていないのではないかと推定。
強制再生時、排気絞り弁を点検すると、アクチュエータが閉じていなかった。
調べると排気絞り弁に負圧が来ていなかったので、各部を点検すると、排気絞り弁~VSV間のパイプが折損していた。
排気絞り弁が閉じなかったことにより、4番の「PM強制再生中、触媒昇温が十分得られない場合。」もしくは1番の「PM堆積量が限界を超えた場合。」に該当したために、この異常コードの検出となったようである。
パイプを交換すると強制再生が始まった。
終了後、ダイアグノーシスコードを消去し、点灯しないことを確認。
折損の原因がないかを調べたが、特に問題はなかった。
単なる強度不足なのか。。