Nレンジで前進し、Rレンジでは動かない、Pレンジでも動かないが動きそうな気配があるという平成19年式ラクティス(NCP100)
また、Pレンジでアクセルペダルを踏み込むと2000回転くらいしか吹き上がらないという。
CVT車で勉強会仲間からの電話相談。
症状からはある箇所が予想される。
CVT車では初めてだが、昔のFR車のAT(A42D)で何度か経験済み。
特にCVT車は構造から容易に推定できる。
CVT車の変速はプーリー部で行っているが、前進、後退の切り替えは前後切り替え機構で行っている。
この部分は、どのメーカーもほぼ同じで、シフトレバーを操作することによりCVT内のバルブにより油路が機械的に切り替わる。
前進レンジではフォワードクラッチに油圧がかかり、Rレンジでリバースブレーキに油圧がかかり作動するという単純な構造である。
前後切替機構は遊星歯車になっており、フォワードクラッチやリバースブレーキに油圧がかかっていないNレンジでは、各ギヤがフリーで回っている。
フォワードクラッチが作動すると、サンギヤ(図中のプラネタリーギヤ)とキャリアが同時に入力になるので、全体が一体で同回転する。
このような構造なので、Nレンジで前進するということは、油圧の切り替えを行っているバルブ系の不良か、フォワードクラッチの張り付きしか考えられない。
ただし、ATFが真っ黒ということで、焼き付きの可能性の方が高い。
部品が出れば交換しようと思ったようだが、CVTに関しては一切の部品供給がないということで中古のCVTに交換。
交換後、正常になったのだが、勉強のため分解してみると予想通りフォワードクラッチが焼けて張り付いていたそうである。
全体的に焼けている
焼き付いて取れないフォワードクラッチ
ほとんど残っていないフェーシング
ただ、なぜ焼付いたのか疑問は残るところである。