ノックセンサB2を表示するという平成9年式セルシオ(UCF21、1UZ)が同業者から持ち込まれた。
依頼者の工場で調べると、ノックセンサB2の配線が切れていたので結線し直したのだがよくならないとのこと。
また、B1とB2のノックセンサの配線も入れ替えたが、同じコードを出すのでセンサの不良でもないと思うというのである。
ダイアグノーシスの異常コードを消去し走行すると、しばらくしてチェックランプが点灯。
ダイアグを点検すると依頼者が言うようにノックセンサB2を表示した。
修理したところの配線を見せてもらったが、なんか違和感を感じた。
通常、V型エンジンのノックセンサは左右のバンクにあり、コネクタはセンサに直付けである。
それが、1つのコネクタから配線が左右バンクに分かれるの?
おかしいなと思いながら点検を続けた。
左右の配線はどうやって入れ替えたのかを聞くと、写真のコネクタ部の配線を抜いて入れ替えたという。
それでも同じコードを出したということは、センサの不良ではなく、入れ替えた配線よりECU側の配線の断線かショート(地絡)ということになる。
コネクタを抜いて、ハーネス側の抵抗を調べると、それぞれで違う抵抗が出た。(数十Ω?と∞Ω)
どちらが正しいかはわからないが、違う抵抗というのがおかしい。
ということはECU不良なのか?
ECU不良の可能性もあるので外してコンデンサの液漏れを調べたが問題なかった。
ついでにECUとノックセンサにコネクタ間の導通を調べると、ともに∞Ωだった。
あれ?おかしい。
ノックセンサのコネクタ側では片方は抵抗があったのに配線自体は∞Ω。
ということは下は配線が断線していて更にアースとのショートしているということになる。
しかし、ECUとセンサのコネクタを抜いた状態でアースとのショートを調べると実際は∞Ω。
ショートはなかった。
う~ん、なんかおかしい。。
このコネクタって本当にノックセンサなの?
配線図で配線の色を調べると、ノックセンサのコネクタではなくACIS(可変吸気システム)のコネクタだったことが判明。
ここであのコネクタがノックセンサのコネクタではないことに気が付いた。
依頼者に、切れた配線は間違いなく接続していた配線につながっていたのかと確認すると、切れた配線は隙間からやっと見える所にあり、接続した配線が近くを通っていたからてっきりそうだろうと判断したというのである。
つまり、たぶんそうだろうと思っただけなのである。
接続した配線を切って、ノックセンサB2の端子と思われる配線をECUに直接接続した。
その状態で走行したがチェックランプは点灯しなかった。
回路を確認すると、配線を入れ替えたときにノックセンサにバッテリ電圧が供給されているので、壊れているのではないかと思ったが問題なかったようである。
配線を正しくつなぎ直そうと思ったが、このエンジンのノックセンサはインマニを外さないと作業が出来ないので、その作業は依頼者の工場で行ってもらうことにした。