ローターからのリークが確認できたので部品を交換。
不具合はなくなった。
その後、月に一回開催される勉強会にこの部品を持っていき、トラブル事例として若い整備士に診断をしてもらうことにした。
メンバーの中で最も若い方の二人(29歳と30歳)が挑戦。
まずはプラグを外しての火花点検を行った。
火花が飛んでいないことを確認。
次に一人が燃圧の確認をしようと燃圧計を探そうとしたら、もう一人が「パーツクリーナを吸わせてみましょう」と提案。
パーツクリーナを吸わせながらクランキングしたが爆発は無し。
点火系と判断したのか、サーキットテスタでIGコイル関係の点検を始めた。
IGコイル系の点検を行っても悪い個所を発見できない様子だった。
それを見かねたのか、60歳すぎのベテラン整備士が「センターコードで火花点検をしなくてもよいのか?」とアドバイスを行った。
もちろんこのベテラン整備士は原因がローターにあることは知らない。
若い二人は言われたとおりにセンターコードで火花テストを行うと火花は飛んだ。
「ディスビの不良ですかね?」と若手。
そこで私が「ディスビのどこが悪いのかわかる?」と聞いたがはっきりした返事はなかった。
するとベテラン整備士が「ディスキャップを外して、ローターに火花が飛ばないかを調べればいいんだよ。」と一言。
若手は言われたとおりにテストを行うとローターに火花が飛んだ。
この時の若手とベテラン整備士のやり取りを聞いていて、はやりベテランの経験は大事だなと感じた。
若手と言っても整備を10年くらいは行っており、本来であればバリバリ働かないといけない年齢であるが、今回のトラブルシュートを見ていて、あまり見かけなくなったディスビ付の点火システムとはいえあまりにもお粗末すぎた。
これは、若者二人のせいではなく、その工場の事業主や先輩の整備士、広くは若者を育てなければいけない我々ベテラン整備士の責任でもある。
それで今回の事例の中で、「ディスビ付の車が無くなるので必要ないのかもしれないが、こういった知識を継承する必要はないのであろうか。。」と問いかけた次第である。
ところで、なぜ、ローターに火花が飛んだらいけないのか?という内緒さんからの質問があったので簡単に説明。
ローターに飛んだ火花はどうなったのかというと、ローターからディスビのシャフトを通ってシリンダヘッドに流れたということです。
本来、ローターの樹脂部は不導体なのでディスビのシャフトに電気は流れないので、火花は飛ばないはずです。
ということは、本来、火花は、IGコイルからセンターコード、ディスビのセンターピース、ローター、ディスビのセグメント、プラグコード、プラグ、シリンダヘッドと飛びますが、今回のようにセンターコードからローターに火花が飛ぶということは 、IGコイルからセンターコード、ディスビのセンターピース、ローター、ディスビシャフト、シリンダヘッドに流れ、プラグコード及びプラグには火花が飛ばないということです。