Rレンジにしても全く動かないヴィッツ。
原因は、セカンダリプーリ回転センサーとタービン回転センサーのショートが原因だったことは間違いない。
しかし、なぜ、この2つのセンサがショートするとバックしないのであろうか?
あくまでも推定であるが2つほど考えられる。
1つはPレンジでセカンダリプーリ回転センサーの信号が入力されるという有りえない状態なので、ECUが誤作動を起こした可能性がある。
(セカンダリプーリはリダクションギヤ→ファイナルギヤ→ドライブシャフト→タイヤと機械的につながっており、通常、Pレンジでタイヤが回っていないのであればセカンダリプーリは回転していない。)
ただ、こちらの可能性は低いと思われる。
もう一つの可能性は、セカンダリプーリ回転センサーの信号が入力されることにより、もしかしたら「リバース禁止制御」が働いていたのかもしれない。
ただし、このリバース禁止制御というのは、実は解説書には全く記載がないので定かではない。
なぜ、このことに気が付いたのかというと、制御でバックしないのであれば、何らかのフェイルセーフが働いているのではなかと思い各ダイアグコードの内容を調べたのである。
この車は、バックしない後にコードP0500(車速センサー系)を表示する。
そこでダイアグコード表でフェイルセーフの状態を確認したのである。
するとそこにはフェイルセーフの記載はなく、不具合現象として「ベルト挟圧学習不良」、「リバース禁止制御作動せず」、「アクセル全開時ロックアップせず」という項目があった。
リバース禁止制御作動せず?
リバース禁止制御が作動しない?
逆に言えば正常時にはリバース禁止制御が働いているのか?
リバース禁止制御?
そういえば、スバルでは走行中にPレンジにしても機械的にロックしないような機構があったように気がするがそれのRレンジ版?
でも、後退時はリバースブレーキに油圧をかければバックするはずだし、その油圧はシフトレバーと連動して動くマニュアルバルブによって切り替えているはず。
Rレンジにしたときにどうやってリバース禁止なんてできる?
マニュアルバルブとリバースブレーキ間に制御用のソレノイドがあるのか?
「・・・・・・・・・」
そういえば、この車にはDレンジにおけるニュートラル制御というものがあった。
フォワードクラッチにかかる油圧をベルト挟圧力制御用リニアソレノイドSLSによって半クラッチ状態にすることで,エンジン負荷を軽減し,停車時の燃費を向上させるというもの。
ということはリバースクラッチにかかる油圧も制御してリバース禁止も可能かもしれない。
つまり、解説書に書かれていないので定かではないが、リバース禁止制御とは走行中(一定車速以上)にRレンジにしてもバックさせないというものではないかと思われる。
セカンダリ回転数が600回転だとすると、最大プーリー比、最終減速比、タイヤサイズから単純計算で約6km/hになる。
プーリー比が小さくなれば車速は更に大きくなる。
走行時と判断してもおかしくはない。
このリバース禁止制御について知り合いのデーラーの技術トレーナに聞いたが、やはり詳しいことがわからなかった。
しかし、色々と調べてもらった結果、10km/h前後以上でリバース禁止制御が働くことが分かった。
ただし、車速はABS・ECUからもらっているはずなので、なぜ、車速ゼロでリバース禁止制御が働くのかはわからないままだった。
(リバース禁止制御が働いていたかどうかも不明)
リバース禁止制御はセカンダリプーリ回転センサーの信号を元に制御しているのであればつじつまがあうのだが・・・・・・・。
何もかも不明のままで、消化不良のトラブルであった。
おわり