減速時に1回もしくは2回ショックがあるという平成17年式マークX。
変速時にショックが大きくなる可能性は4つ。
①アキュムレータの不良、②ライン圧の高すぎ、③シフトタイミングが早すぎ、④クラッチやブレーキの作動タイミングのズレによるショック。
この中の②と③は前回の記事にあるように、点検結果から除外。
残るは①と④。
まず①のアキュムレータ。
確かに背圧コントロールを行っているが、専用のソレノイドがあるわけではなくライン圧を利用しているようだった。
ということは、ライン圧に異常がないので制御系は関係ないことになる。
仮にアキュムレータ系に異常があるとすればミッション本体が不良ということになる。
しかし、すでにミッションは交換しているのでその可能性は低い。
こう考えると、①も除外できるので今回のショックの原因は、④のクラッチやブレーキの作動タイミングのズレによるショックと思われる。
では、原因がミッション側なのかどうかの判断はどうすればいいのか?
制御信号を点検するかクラッチやブレーキにかかる油圧を測定すればいいと思われる。
しかし、圧力コントロールソレノイドはデューティ制御しているのだが、残念ながら基準値がない。(実際は修理書に掲載しているが、掲載している波形の形は参考できるが、デューティ比がどの状態のものなのか不明なので、デューティ比を参考にしていいものなのかがわからない)
また、実際のクラッチやブレーキにかかる油圧をホンダ車みたいに測定できればいいが、トヨタは測定できるようになっていない。
つまり、④については点検ができないということになる。
よって、原因が制御側かAT本体側かが判断できない。
ただし、今回はミッション本体を交換しており、アキュムレータの機械的不良やクラッチやブレーキの作動タイミングの機械的ズレは考えにくい。
よって、圧力コントロール信号、つまりECU側の不良と考えられるが、念のため知り合いに相談することにした。
すると、「あ、あれね。」という感じで、フレームナンバーを聞かれた。(^^)
ECU不良に間違いないようだ。
B工場の人にそういうと、たまたま中古車販売用の同型式の車のECUがあったらしく交換すると良くなったようだ。
(幸いにもイモビ非装着車だったので単純に交換が可能だった)
結局、どこがどう悪くてこの症状がでるのかはわからなかった。
もし、これがミッションを交換していない状態で、ECU不良と判断できるのか?
もし、情報としてこんなトラブル事例がなかったらどう判断するのか?
正直、難しい。。。
一般的には、スロットルセンサーと車速センサの信号に問題が無ければ、ミッション本体に原因があると思われる。
ただし、マークX(GRX120系)とクラウン(GRS180系)に関してはECUを疑ったほうがよさそうである。
実はその後の調べで、あることがわかった。
作動要素(2速から1速にシフトダウンするためにC1、C4は作動させたままで、B2、B3の作動をやめる。そして、同時にB4を作動させている。)から、B2、B3、B4に関するところに原因があるのかもしれないと予想していた。
※実際はワンウェイクラッチもからんでいるが省略。
よって、ブレーキ圧コントロールソレノイド(SL2)の波形をオシロスコープで点検してみたいと思っていたが、当社でECUを交換しなかったので点検しないままだった。
しかし、ECU交換前後でこの信号を点検していれば違いがあったのかもしない。
信号に違いがあるとすれば、SL2信号のデューティ比が大きく(ON時間が長く)なっていると思われる。
(正常な時は、ON時が1msだが、これが2ms以上の場合はECU不良と判断。その場合、念のためデーラに相談したほうがよい。無料で修理してくれるかも?)
※今回の事例は、あくまでも個人的な考えです。
システムや故障診断の考え方が正しいとは限りません。