※ECU側の点検順序はすべて同じ順番で測定。
ISCVが動かないワゴンR。
ISCVとECUを中古に交換しているが、そのECUも不良。
新たに持ってきたECU③は単体点検を行ったところ問題ないので組み付けてみた。
それでも動かないISCV。
予想通りである。(^^;)
実は、最初からおかしいと思っていたことがあったのだが、前日に持ってきたECU②を点検していてそれが確信に変わったのである。
入庫時のECU①を点検した時に、2.5MΩ、2Ω、2.5MΩ、∞Ωという数値だった。
通常、ISCVがショートしてECUが壊れた場合、ECU側も4か所のうち、1か所の抵抗が小さく、他の3か所が大きいものである。
それもその3か所の抵抗値はほぼ同じものである。
例えば、2.5MΩ、2Ω、2.5MΩ、2.5MΩといった具合である。
よって、2.5MΩ、2Ω、2.5MΩとここまでは予想通りであったのだが、最後の∞Ωが表示されたときおかしいと感じていたのである。
通常であれば最後も2.5MΩになるはず。
配線の断線や地絡、線間ショートは最初に点検しており問題なかったとこは確認済みである。
よって、最後の∞Ωは配線の断線ではなく、ECU内部の不良と思っていた。
たまたま2か所とも悪くなったのかと思っていたが、元々のECUに交換して点検すると、2.6MΩ、151Ω、2.6MΩ、∞Ωと、これまた2か所が不良なのである。
端子が入れ替わってないか?資料は正しいか?配線の色も同じか?など、色々と点検したが間違いない。
2つのECUがたまたま2か所とも悪いとが思えない。
ただ、可能性が無いわけじゃないので次のECUを待つことにした。
それで持ってきたECU②を点検すると2.5MΩ、5.4KΩ、∞Ω、2.5MΩと、これまた2か所がおかしい。
それも今度は3か所目が∞Ωで4か所目が2.5MΩになっている。
これで配線の断線や位置の間違いはないことになる。
もちろん点検済みなので間違いない。
何か原因があるはずだと思い、不良だったECU①、②を単体で調べてみた。
すると、3つのECUとも、抵抗値の違う箇所は1か所なのである。
これまでの数値は全てハーネスを介して点検した数値であり、それぞれ2か所の数値がおかしかった。(直接持ってきた中古ECU③だけ単体で点検)
しかし、ECU単体では悪いのは1か所しかない。
ただし、配線は悪くない。
ということは、ターミナル部の接触不良ということになる。
ハーネスを介して点検し、∞Ωの状態でECUのコネクタに力をかけると、2.5MΩの抵抗になった。
元に戻すと∞Ω。
はやりECUのコネクタ部での接触不良である。
ターミナルの圧着具合を点検するツールで調べると、ECU側の2か所の圧着が甘いことが分かった。(3番目、4番目に点検する箇所)
色々なタイプのオス端子がセットになったツール。
注射器みたいなものはバネばかりで圧着力を測定。
(実際には使わない)
ISCV側も若干甘かったので、ISCV側、ECU側の8ヵ所の全ての修理を行った。
修理後、キーをON・OFFするとISCVが動くようになった。
全てを取り付けエンジンを始動し、様々な状態にしたが、アイドル回転は目標アイドル回転通りに動くようになった。
ISCVのショートによりアイドル回転制御が出来なくなったという、定番のトラブルではあったが、ターミナルの圧着不足が重なったことにより迷宮状態になったようである。
これで、もう一つの疑問であった、正常な車の物に交換してもよくならなかった理由が分かった。
ターミナルの圧着が甘くなった理由はわからないが、点検を重ねるうちに甘くなったのかもしれない。
依頼者の工場では細い針のようなもので点検をしたということだが、それでも何度も行うことで甘くなった可能性もあるし、依頼者以外の工場が原因だった可能性もある。
整備する者は注意が必要である。
K6Aの中古のECUは、単体点検を行って、悪くないものと交換しなければ、悪いものと何個交換しても良くはならない。