停止直前にABSが作動するという平成15年式WILLサイファ(NCP75、1NZ)が同業者から持ち込まれた。
車検整備とリヤアクスルシャフトのオイルシールの交換を行ったらしいが、納車するまでは問題なかったというのである。
翌日、ユーザーが乗っていたら不具合が出だしたという。
試乗すると明らかにABSが作動している。
もちろんABSが作動するようなブレーキではない。
このように停止直前にABSが誤作動するというのは、一般的に車速センサーの出力電圧が低いことが多い。
そこでデーターモニタで各車輪の速度を調べると、リヤ右の速度は他の車輪の速度が2.56km/hまでは0 km/hだった。
また、他の車輪が3.84km/hの時はリヤ左は1.28km/hと明らかに低い。
それが6.4km/h以上になると全ての車輪速度が同じになった。
停止直前でもほぼ同じことが起こり、3.84km/h時ではリヤ右の速度が0 km/hになりABS(リヤ右のみ)が作動していた。
オシロスコープでリヤ左右の車速センサーの波形を調べると、約19 km/hの時、リヤ左は1.1Vに対してリヤ右の出力電圧は0.4Vしかなかった。
上がリヤ右
下がリヤ左
極低速時、これではリヤ右は信号として検出できないのでABSが誤作動する可能性が高い。
車速センサーはリヤアクスルハウジングに取り付けられており、オイルシール交換時に脱着したということである。
その時の取付状態が悪くエアギャップが広いのではないかと疑い点検したが、特に悪くはなかった。
センサー自体の不良かもしれないと思い、単体点検を行ったが左右ともほぼ1.2kΩと問題なかった。
やはりエアギャップの問題かもしれないと思い、センサーを外してローター側を調べたが、特に左右で違いはなく、全周に渡ってローターを調べたが歯欠けもなかった。
原因は何なのか?
一番怪しいのはやはり車速センサー。
抵抗値は問題ないが、抵抗値だけでは良否の判断はできない。
左右で入れ替えてみるか・・・
つづく