チェックエンジンランプと衝突被害軽減ブレーキ警告灯が点灯するという平成26年式ミライース(LA300S、KF)
ダイアグコードはエンジンがP1399(イン電流システム異常)、衝突被害軽減ブレーキはC1A40(エンジン・ECU故障)を表示。
エンジンに異常があったために衝突被害軽減ブレーキシステムを停止させているようだった。
エンジン側だけの問題なので、データーモニタすると、失火カウンタがあり、3番シリンダのカウントがすごい勢いで増えていった。
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エンジンの調子は良いので、実際に失火しているのではないようだった。
一般的な失火検出はクランク角センサーの回転変動で推定しており、この場合の失火は、P030#(0301が1番シリンダ、0302が2番シリンダの失火)で表示するのではないかと思われる。
このエンジンにもP030#系のダイアグコードがあるのだが、その異常コードは記憶していなかった。
よって、この失火カウンタは実際の失火ではなく、イオン電流失火検出システムによる失火カウンタのようである。
こうなると、IGコイルかプラグの問題なので、3番と2番のIGコイルを入れ替えてみた。
すると失火カウンタは2番が増えていった。
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IGコイルの不良である。
と、なんでもないトラブルであるが、前からイオン電流検出のトラブルの波形を調べたいと思っていたので、ついでに波形も調べてみた。
チャンネル1(上)の波形がイオン電流検出の信号で、チャンネル2(下)が点火指示信号。
不具合のあった3番のコイルの信号。
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う~ん、これがいいのか悪いのかわからない。
正常な1番シリンダの波形を調べてみた。
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これでもイマイチわからない。
多少、信号の幅が広いような気がするが・・・
この時間幅では違いが分かりにくいので拡大してみた。
拡大して比較すると、信号の違いが分かった。
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通常、点火指示信号の立ち下り付近で火花が飛んでいるはず。
そして燃焼が起こるとその間にイオン電流が流れている。
という事は、点火指示信号の立ち下がった後の幅が広いところが燃焼中と思われる。
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正常な波形と不良の波形では、燃焼中と思われる幅が明らかに違う。
不良なコイルの方が短いのである。
短いという事は燃焼時間も短い=失火 と判断しているのではないかと思われる。
ま、コイルを入れ替えればわかることで、わざわざ調べる必要はないが、データーモニタで失火状態がわからない車種では有効かもしれない。
ところで、クランク角センサーによる失火検出を行っているのに、わざわざイオン電流による検出も行わないといけないの?
多気筒エンジンでは、1気筒失火したくらいでは、大きな回転変動がないので、クランク角センサーによる失火検出が難しいので、イオン電流を使うというのならわかるが、3気筒エンジンに必要なの?
聞いた話では、クランク角センサーによる失火は、明らかな失火しか判断できないが、イオン電流では失火気味というレベルまでの失火の判断が出来て、EGRなどの制御で細かい制御が出来るのではないかという事である。
う~ん、高級車ならわからないでもないが・・・・・
【追加】
イオン電流検出システムの目的に次のようなものがありました。
点火時期を遅らせて、排気時のガス温度を高温にし、触媒温度を早期に上昇させる早期活性化を目指したようです。しかし、点火時期を過度に遅らせるとエンジンの燃焼が悪化し、最悪エンジンストールという現象が発生する可能性があります。
そこでイオン電流で燃焼悪化の度合いを判断し、点火時期を制御して、ガス温度の高くなる燃焼悪化の直前で運転するようです。
そういえば、現行のミライースは、通常状態で点火時期を点検すると、ほぼ上死点付近です。圧縮比を上げたせいで点火時期を遅らせているのではと思っていましたが、こういった理由もあるみたいですね。
また、本文にも書いていますが、EGR制御などでも使われているところを考えますと、クランク角センサーによる失火検出は、失火という異常を検出するシステムであり、イオン電流検出システムは、異常検出ではなく、燃焼悪化状態を検出し、実際に失火しないように制御を続けるためにあるのかもしれません。
私の認識不足でした。m(__)m