バックドアのロックが解除できないという平成20年式ノート(E11)
点検した結果、バックドアSW端子の配線に接触抵抗があることがわかりました。
あとはバックドアSWとBCM間のどこでこの接触抵抗が発生しているかを調べればいいわけです。
通常、接触抵抗はコネクタ内の錆びが原因になることが多いと思います。
そこでまずはコネクタを点検です。
この車のハーネスのコネクタですが、助手席にBCMのコネクタ、運転席の足元に分岐用のコネクタA、右リヤピラー部にコネクタB、バックドア内にコネクタCがあります。
それぞれのコネクタを調べましたが錆は見られませんでした。
となると、あとは配線自体の点検が必要です。
まず、大まかに切り分けるために、コネクタ間で抵抗を測定しました。
コネクタCとコネクタA間を測定すると約13~16MΩです。
コネクタCとコネクタB間はほぼ0Ωです。
ということはコネクタBとコネクタA間に抵抗があると思われますが、この間はコネクタらしきものがありません。
よって、配線に針を刺して抵抗や電圧が測定できるSSTを使い、配線部での測定を行うことにしました。
その結果が次の通りです。
コネクタBと後部座席足元横のcでは0Ω。
コネクタBと運転席前部横のaでは約13~16M。
コネクタBと運転席後部横のbでは0Ω。
つまり、運転席の座席の前部(a)と後部(b)の間のハーネス間で接触抵抗があるということです。
ここまで絞り込めれば、あとはテーピングを取って、配線を調べるだけです。
そのために座席を外してフロアカーペットをめくると、座席の下のほうに伸びているハーネスありました。
そのハーネスの途中に、何かコネクタらしき形をしたものが見えたのですが、テーピングされているため何なのかわかりません。
作業を進めていく途中に1本の配線が抜けました。
バックドアSWに使われていた配線と同じ青色の線です。
テーピングがはがれるにつれて緑青が出てきました。
テーピングを取った結果が次の写真です。
やはりコネクタ内での錆が原因でした。
これを見た依頼者が「そういえばこの夏に冠水したことがあった。車内まで水が入ってこなかったので大丈夫かと思っていたけど、ここには水が入っていたのかもしれない。」と言ったのです。
このコネクタには青と茶色の線が2本ずつ、黒と紫が3本ずつありました。
オスコネクタには配線は出ておらず、ショートピンコネクタと思われます。
調べると、同じ色の配線同士がコネクタ内で繋がっていました。
よって、修理は同じ色の配線同士を直接つなぐことにしました。
通常、ショートピンコネクタは、配線を分岐させたり、違うハーネス間の特定の配線を接続するときに使うものですが、2本線ですので分岐させているわけではありません。
それに、この青の線は、後ろから前まで通っているハーネスの中の線なのに、わざわざ途中で切って、コネクタで繋ぐ必要があるのでしょうか?
冠水した車は、その時は問題なくても、半年ほどすると訳のわからないトラブルが出ることがあるので、注意が必要ですね。