吹き上がりが悪いというキャンター。
データーモニタや症状からは噴射時期が遅いと推定された。
それを裏付けるようにTCVの波形もONの割合が少ない進角させようとする信号だった。
噴射時期が遅くなる原因はバルブタイミングの狂いかインジェクションポンプの不良である。
ただし、インジェクションポンプはリビルト品だが交換している。
また、インジェクションポンプの駆動がタイミングチェーン式なのかギヤ式なのかは不明だが狂うことは考えにくく、当然、デーラーでも調べていると思われる。
とは言ったものの、あくまでも推定の域を出ないので、他に原因が無ければこれらの確認が必要であるが、他に調べないといけない大事なことがあるので後回しにすることにした。
噴射時期が遅くなる要素は、バルタイやインジェクションポンプのトラブルといった機械的なものと、制御による誤作動に分けることできるが、今回は、その制御信号がどう見てもおかしいのである。
TCVの回路は次の通りであり電源側は24Vである。
また、波形はTCVのアース側の波形なので、ECU内のトランジスタがOFFの場合は24Vにならないといけない。
それがOFF時(Hi)でも3Vの電圧である。
ということは、TCVには24V-3V=21Vの電圧がかかっていることになる。
21Vでも、当然、TCVは作動するはず。
もちろん、波形のLo(0V)ではTCVに24Vの電圧がかかっている。
よって、TCVのアース側が3V-0Vで変化するということは、常時、ソレノイドは作動していることになる。
このTCVは作動すると遅角側になるので、この波形では最大遅角となり今回の不具合が出ても当然である。
波形がおかしいという事はECUの不良?
否!
確かにECUの可能性もあるが、中古と新品とそれぞれ交換しており、同じように悪いとは思えないし、こんな中途半端な壊れ方の可能性も低い。
ECUではないとすると、可能性としてはTCVのアース側がボデーアースとある抵抗を持った状態でショートしていることである。
それを確認するためにTCVとECUのコネクタを抜き、TCVのハーネスのアース端子とボデーアース間で抵抗を調べてみた。
ハーネスだけの状態なので、当然、∞Ωじゃないといけないのに、点検すると約2kΩの抵抗があった。
2kΩの抵抗で3Vになるのは計算では合わない(TCVは30Ω前後?)が、ECU及びTCVのコネクタの両方を外しているのに∞Ωじゃなのは間違いなくおかしい。
その状態で、ハーネスをゆすると、抵抗値が大きく変化をした。
これでやっと原因の尻尾をつかむことが出来た。
つづく