低回転域が不調の平成15年式レガシー(BP5、EJ20)
2000回転を超えれば問題ないという。
症状を確認すると特定シリンダの失火のようなのでパワーバランステストを行うと、1番と3番シリンダがミスしていた。
右バンクの2つのシリンダがミスなので、もしやと思いデーターモニタでVVTに関する項目を調べると、左バンクのOCVデューティ比は36%、OCV電流は500mA、進角度は3度とほとんど問題ない数値だった。
しかし、ミスしていた問題の右バンクのデューティ比は0%、OCV電流は0mA、進角度は47度と明らかにおかしい。
ちなみにダイアグノーシスは正常コード。
このOCVというのはご存知のようにVVTアクチュエータを作動させる油路・油圧を切り替えるものだが、OCVデューティ比は0%で最遅側、100%で進角側、30数%で保持位置になるようである。
OCV電流は0mAで遅角側、大きくなるにつれて保持になり更に大きくなると進角側へとプランジャは動くようである。
※実際にOCVデューティ比が100%までになるかはわからない。
OCVデューティ比は、OCVの印加電圧の割合だが、ほぼOCV内のプランジャーの位置と同じと考えてもよいと思う。
通常、アイドリング時はVVTは最遅角状態なので、OCVは遅角側のOCVデューティ比0%、OCV電流は0mAという気がするのだが、今までに調べた多くのメーカーはアイドリング時にはOCVは保持状態になっているようだった。
もちろん、エンジン始動時にはVVTアクチュエータは機械的に最遅角状態になっているので、最遅角状態で保持するようにOCVはなっているのである。
なぜ、アイドリング時にOCVは遅角側ではなく保持状態なのかわからないが、もしかすると、アイドリング時に遅角側にしておくと、進角させるためにOCVに電流を流すと、プランジャーは一旦、保持位置になってから進角側へと移動する。
コンマ数秒の違いかもしれないが作動遅れが起こる。
それに、全く電流を流していない状態から電流を探すと作動遅れが起こるような気もする。
よって、保持状態にしておくことによって、作動遅れも少なくなるのではないだろうか。
この理由はさておき、左バンクは進角度3度なのでほぼ問題ない。
よって、OCVデューティ比は36%で500mAの電流を流して、最遅角位置で保持状態にしている。
右バンクはというと、進角度はほぼ0度じゃないといけないのに47度と進角している。
よって、遅角させようとOCVデューティ比を0%(=電流は0mA)に制御している。(遅角側MAX)
それでも進角しているという事は、機械的な不具合と考えられる。
OCVを外してみると、明らかにプランジャーが出ている。
反対側をよく見ると、異物が挟まっているように見える。
異物を取り出すと、プランジャーは最遅角側に戻った。
異物はプラスチック製品だったので他にもあると思い、OCVの取り付け部を覗くとやはり残っていた。
取り出してみると、どうもフィルタのようだった。
金属製と思われるメッシュ状のフィルタは、あまりにも目が細かいために詰まってきて破壊されたのではないかと思われる。
OCVを保護するためのフィルタがOCVを誤作動させるとは皮肉である。
スバルでは、R2などの軽自動車でも同様のことが起こっているが、不思議な症状を引き起こし、初めての人はかなり苦労すると思われる。(いつか記事にする予定)
見える範囲の異物を取り除きOCVを付けると、エンジンの調子も良くなり、OCVデューティ比、OCV電流、進角度とも左右差が無くなった。