SRSエアバッグ警告灯が点灯するというワゴンR。
ダイアグコードB1042(運転席シートベルトプリテンショナ回路の抵抗が低い)を表示。
運転席シートベルトプリテンショナとECUを交換。
また、運転席シートベルトプリテンショナのQ05コネクタを抜いてECU側の配線を点検したが線間短絡とアースとの地絡も無し。
この時点で、同業者から依頼を受けました。
話を聞いた限りではどこも悪くありません。
ショート機構のことは知っていましたが、コネクタをちゃんと接続していれば問題ないので頭の中にはありませんでした。
しかし、他人のしたことを信用してはいけないので、きっと見落としがあるのだろうと疑いました。
この疑うという事は大事なことで、スキャンツールのコードや内容も間違いがあるので疑います。
もちろん、自分自身も疑います。
見落としがないか?資料が年式違いや仕様違いがないか?見ている場所が間違っていないか?など、様々なことを疑います。
そこで、まず疑ったのはコード内容です。(過去に、某スキャンツールで左右の表示間違いの経験あり)
次が、依頼者が行ったショートの点検内容です。
もちろん交換した部品も疑いますが、ECUとプリテンショナは純正の新品に交換していますので、疑いますが最後です。
そこでまず、最初に行ったのは、プリテンショナのコネクタを抜くことです。
これでコードB1041「運転席シートベルトプリテンショナ回路の抵抗が高い」というコードを表示すれば、コード表とも合致しますので間違いないことになります。
また、ECU内や配線&コネクタ部での短絡もないことになります。
実際に運転席シートベルトプリテンショナのコネクタを抜いてみました。
するとコードB1041「運転席シートベルトプリテンショナ回路の抵抗が高い」というコードを表示したのです。
ということは、ショートしているのは交換した運転席シートベルトプリテンショナということになります。
しかし、新品に交換しています。
やはり新品の部品が悪いのでしょうか?
いやいや違います。
実は、このコネクタを抜く時に「あれっ?」と思うことがあったのです。
通常、エアバックシステムのコネクタの多くは2重ロックのコネクタが使われています。
それが運転席側のコネクタは2重ロックではありませんでした。
あれっ?と思い助手席側を見ると、やはり2重ロックです。
その2重ロックを解除すると今回の原因が分かりました。
このショート機構の解除は、コネクタを差し込んだ時点で解除する場合と2重ロックを作動させた時点で解除される場合があります。
今回の車は2重ロックすると解除するタイプだったのです。
プリテンショナ側コネクタ
カバーの中央部には突起部があり、これがショート機構の接点押してショート機構の解除するのですが、運転席側のコネクタにはこのカバーがなく、コネクタを接続しただけだったのでショート機構は解除されなかったのです。
2重ロックのカバーがなかった運転席プリテンショナのコネクタ
原因は、2重ロック用の部品がなくショート機構が働いたままだったので、「運転席シートベルトプリテンショナ回路の抵抗が低い」というダイアグコードを表示したのでした。
記事には書いていませんが、実は事故修理後にこの警告灯が点灯するようになったのです。
よくみると、鈑金の形跡がありました。
なぜ、このカバーがなかったのは不明です。
事故により破損したものなのか、もしくは板金屋さんが2重ロックのことを知らなくて外す時に壊したのかもしれません。
エアバッグシステムは、2重ロック、ショート機構、半嵌合検出機構といった他にはない機構を備えているので注意が必要です。
今回はコネクタ内のショートが原因でしたので、正解者は、kat*ris*n*ou_l2*dさん、TOYOさん、youさん、zx3*3_n*さん、makkinnkiさん、sumzhi1963さん、leoさん、mir**ru25さん、ADAさん、番犬さんです。
中でも、不具合箇所と合わせて点検方法もコメントをくれた番犬さんがベストアンサーです。
コネクタのショートバーが短絡しっぱなしですか?
ロックがキチンと掛かってなかったとかで・・・
そんなにお粗末じゃないですかね!?(笑)
でも、配線に短絡が無くて、ユニットとプリテンショナーが新品ならそのくらいしか思いつかないです。
オイラならコネクタを切った時点でショートからオープンになるか?で絞り込みをすると思います。
オープンになれば当然その先のプリテンショナー側しかないですから!
番犬さん、勝手にコメントを載せてすみません。
でも、さすが全国のトップに立つ人は違います。
(ファン限定です)