シフトレバーがPレンジから動かないという平成15年式ライフ(JB5、P07A)が同業者から持ち込まれた。
ご存知の通り、このシフトロック機構は、キーONまたはエンジン始動後は、ブレーキペダルを踏まないとPレンジから他のレンジに動かせないというシステムである。
回路を確認すると、とても珍しい回路で、ブレーキスイッチとシフト位置の信号はエンジンECUに入力され、この2つの条件が揃うとコンビネーションメータにシフトロックを解除しなさいという信号をECUからメーターに出力しているようだった。
その信号を受けて、メーターからシフトロックソレノイドにON/OFF信号が出力されるようになっていた。
スキャンツールでエンジンのデーターモニタを調べると、ブレーキ信号は正常に入っていたが、シフト位置がおかしい。
R、N、Dレンジはその位置を表示するが、2レンジでは2の時があったりDだったりする。
また、Pレンジでは必ずNレンジになっていた。
データーモニタは何を基準に表示をしているのかが分からないので、配線図を元にECUのコネクタ部で電圧点検をおこなってみた。
すると、ブレーキ信号及びシフト位置の信号は全て正しく入力されていた。
にもかかわらず、メーターへのシフト解除信号と思われるSLC端子には何も出力されていなかった。
当然、シフトロックソレノイドはOFFのままであり、Pレンジから動かせない。
試しに、シフトロックソレノイドのメーター側(アース側)をアースすると、ロックは解除されシフトレバーは動いた。
シフトロックソレノイドの電気回路及び機械的作動には問題なかった。
これらから考えてエンジンECUの不良である。
Pレンジの信号は正しく入力されているのに、ECU内ではNレンジと判断しているので、ブレーキペダルを踏んでもシフトロック解除信号が出ないのである。
ECUを交換すると正常になった。
それにしても、なんで、一旦メーター経由でシフトロックソレノイドに通電するの?
何かの作業をしていてメーターを外した場合、このことに気が付かずに、「シフトロックが解除しなくなった。」と、余分な作業をする人もいるのではないだろうか。。。