燃料系統に原因があると思われるが、点検の結果、特に問題があるとは思われなかった。
何が原因なのかわからない摩訶不思議なエンジン始動不能のハイゼット。
とりあえず、考えられるところは点検してもらったが問題はなかった。
ただ、すべて依頼者に点検してもらった結果である、どこかに見落としかカン違いがあるのかもしれないと思い、最初から点検をやり直すことにした。
まずは、症状の確認。
クランキングすると、エンジンはスムーズに回るが、全く爆発の気配がない。
次に火花点検を10㎜のギャップを作って行ったが強い火花が飛んでいた。
続いて、パーツクリーナーを吸わせながらクランキングすると、エンジンはすぐにかかった。
やはり燃料不足と思われる。
パーツクリーナーの量を調整しながらアイドリングが保つようにすると、まあまあ安定してアイドリングが保てたがマフラーからの白煙がすごい。
このままだと火事と間違われて消防署に通報されかねないくらいだったので吸わせるのをやめた。(^^;)
依頼者に聞くと、実はこの車はオイル消費していたという事でエンジンのオーバーホールも行ったというのである。
たぶん、マフラー内のオイル分が残っているので、白煙が出るのだというが、それにしてもあまりにもひどい。
いままで乗っていたという事と全くかかる気配がないという事で、燃料自体を疑っていなかったのだが、これでは疑わないといけない。
燃圧計をセットしようと思っていたので、燃料を少し抜いて臭いを嗅いだが変な匂いではなかった。
また、燃料を少しペーパータオルに垂らしてみた。
(比較するため、会社のガソリンもほぼ同じくらいの量を垂らしておいた。)
原因は燃料系に間違いないので、ガソリンが乾くまでかかるので間に燃圧及びインジェクタの波形を点検。
その結果、燃圧も波形も問題なかった。
インジェクタの詰りさえなければ燃料は間違いなく出ているはず。
そのインジェクタも交換しているので、インジェクタの詰りの可能性は低い。
全くかかる気配がないとはいえ、こうなると燃料自体を疑う必要がある。
もう乾いているだろうと思い、ガソリンをたらしたペーパータオルを確認すると、
「ビンゴ!!」
左に会社の車のガソリンを垂らしておいたのでが、既に乾いており、たらした跡が全くないのに、この車のガソリンは濃さは薄くはなったが、明らかに蒸発せずに跡が残っていた。
燃料の不良である。
燃料タンクを降ろしてガソリンを交換すると、エンジンはかかった。
数分間は白煙は出たがそのうちに出なくなった。
まさか燃料が原因で、全くかかる気配がないとは思わなかった。
それも前日までは乗っていたというのである。
それに、インジェクタを強制駆動した後に始動出来たのが不思議でならない。
燃料が出た後に、気化する時間が若干あったせいであろうか?
異物が入っていたとすると、燃料の量は十分出ていたが、燃料成分が少なかったということであろうか?
本人と話ができていないので、変質燃料を入れた可能性があるかどうかは不明だが、量的には半分も入っていなかった。
ペーパータオルが翌日も乾いていなかったので、もしかしたら異物を入れられた可能性も否定できない。
過去には、砂糖らしきものを入れられたという車もあったが、今回は燃料タンク内を見る限り異物らしきものはなかった。
ガソリンに溶けるもの?
灯油?軽油?オイル?