ブロアファンの風が出なくなるという平成20年式キャラバン(VWE25、ZD30)
同業者からの依頼だが、この不具合は1年近く続いているようである。
これまでに調べた結果、エアコンスイッチに関係なく、ブロアファンスイッチがONだとマグネットクラッチがONしっぱなしだそうである。
よって、エバポレータが凍って風が出なくなるということまでは突き止めたようである。
マグネットクラッチがONしっぱなしであれば、エアバポレータが凍ってしまうのも当たり前である。
今までにブロアーモーター、ブロア用パワトラ、エアコンパネルコントローラー、エアコンスイッチ、エバ温度用サーモアンプ、エンジンコンピューターを交換している。その他にも、エバポレーターやドライヤーも交換。
これ以上何を交換すればいいの?というくらいあちこちの部品を交換している。
まずは回路がどうなっているのかを思い調べると、どういうわけか、サーモアンプとデュアルプレッシャースイッチの信号がコンビネーションメーターの13番端子に入力されており、メーターとエンジンECUがCANで通信を行っていた。
そしてECMが255番端子でA/Cリレー(マグネットクラッチリレー)を制御していた。
通常、マグネットクラッチを作動させる条件は、ブロアファンスイッチ、エアコンスイッチ、冷媒圧力、エバポレータ温度が一般的である。
(一部は水温や一時的にはアクセル開度によりON/OFFする)
この車の場合、エバポレータ温度を検出するサーモアンプのアース回路に、エアコンスイッチとブロアファンスイッチ回路が直列に接続されている。
よって、2つのスイッチがONして初めてサーモアンプのアース回路が成立し、かつ、エバポレータ温度が一定温度以上であれば、サーモアンプの3番端子にコンプレッサーをONさせる要求信号が出るようである。
ただし、この3番端子の信号はコンビネーションメーターに入力されるのだが、その途中にはデュアルプレッシャースイッチが直列に接続されており、圧力が規定内じゃないとコンビネーションメーターには信号が入力されないようだ。
訳が分からなくなりそうだが、簡単に言えば、コンプレッサーをONさせる条件が揃うと、まず、コンビネーションメーターの13番端子にON信号が入力され、その信号はCAN信号によりエンジンECMに伝えられる。
後は、エンジンECMがA/CリレーをONさせているのである。(水温やアクセル開度を見ていると思われる。)
ということは、まず点検できるのはメーターの13番端子とECMの255端子である。
点検した結果は次の通り。
①エアコンスイッチON、ブロアファンスイッチON で調べると、13番は4.5Vで255番は0V、リレーはON。
②エアコンスイッチOFF、ブロアファンスイッチON で13番は12Vで255番は0V、リレーはON。
③エアコンスイッチOFF、ブロアファンスイッチOFFで13番は12V、255番は12Vで当然リレーはOFF。
これはどう見てもおかしい。
つづく