知人から平成14年式ザッツ(JD1、E07Z)について相談があった。
とても変わったトラブルで次のような症状である。
1.キースイッチをONにすると、スピードメータ、タコメータ、燃料計の指針が1cmくらい上がって小刻みに振れる。その時にクランキングするとエンジンがかからない。
2.キースイッチをONにすると、1のような症状になるが、少し(2~3秒)すると正しい位置に戻る。その後クランキングするとエンジンは正常にかかる。
よって、いきなりクランキングすると始動できないと思ってしまう。
こんなわけのわからないトラブルはコネクタの差し間違い、結線違いなどの人為的なトラブルかアース不良が多いのだが、昨日までは普通に乗っていたということでこれらが原因とは考えにくい。
日整連のFAINES(ファイネス)に事例がないか調べると、ザッツで「始動性不良」というトラブル事例があった。
内容は次の通りだった。
キー挿入にて「ダイレクト」に回した時、現象確認。
イグニッション「ON」にてワンテンポ置いた場合始動性良好。
ルームランプ不灯・ドアロック不動・メーター針の初期化動作が見られたため、電気系統と判断。ヒューズ切れ発見・交換後良好
「ダイレクト」に回した時?
たぶん、キーをいきなりスタート位置まで回したときだろうな。。。
メーター針の初期化動作が見られた?
どういうこと?
いったん、フルまで振れてから戻る車があるがそれのこと?
よくわからないが、なんか症状が似ている。
依頼者にドアロックが効くか確認すると、ユーザーは効かなくなったと言ってたという返事。
これはいよいよ同じかもしれないということで「バックアップ」ヒューズを調べてもらうことにした。
しばらくして連絡があり、やはり「バックアップ」ヒューズが切れていたそうである。
ショートのような切れ方のようだったが原因は不明とのこと。
このヒューズの接続先を調べると「インテリア ライト、コンビネーション メータ、統合ユニット、PGM-FI ECU(VBU)、データ リンク カプラ 」となっていた。
まさしく不具合症状の箇所とマッチする。
このヒューズが切れると、なぜこのような症状がでるのか分からないが、このヒューズが原因に間違いはなかった。
もし、このファイネスの情報が無ければかなり厄介なトラブルだったかもしれない。
トラブル情報を元にトラブルシュートを行うことに対しては賛否両論があるのではないかと思うが、場合によっては有効であるとこには間違いない。
もちろん何でもかんでも情報頼りというのは間違いだろうが、この情報をいかに有効に使うかというのも整備士の技術の一つかもしれない。
ファイネスの事例を見ると、当社に入庫した事例と同じもの、多発傾向にあると感じた事例と同じものが多い。
あの事例を見ると全国どこでも同じようなトラブルが発生していることがよくわかる。
また、中には詳しく記載があるのも、参考資料が添付されているものなど様々で、大変役に立つのではないかとも思うが、全体的にはもっと点検箇所や点検結果などをもう少し詳しく書いてほしいと感じる。
あれでは、同じ症状だと点検もせずに事例と同じ部品を交換してしまう工場も多いのではないかと思う。
それでよくなればまだいいが・・・・・
これらの整備事例は、各県の整備振興会に持ち込まれたトラブル事例を元にアップしているようであるが、情報を送る県の担当者にとっては余分な仕事かもしれないが、全国の整備工場の人のために頑張ってもらいたいと思う。