加速不良/アトレー その後
アイドリングは特別悪くは無かったが、加速が鈍くターボが効いていないようだったアトレー。
結局、原因は2番シリンダの圧縮不足(7kg/cm2)だったと推定し、その修理は依頼者の工場で行うようになっていた。
その後、修理したのか代替えしたのかわからなかったが、先日、机の上に「前回点検してもらったアトレーの修理をしたが、パワーがないので点検してもらいたい。」という電話があったメモ書きがあった。
「えっ!」
「もしかして、原因は圧縮じゃなかったの?」
数時間後、車を持ってきたので、詳しく話を聞くと、コンプレッションリングの交換で圧縮は11kg/cm2まで回復し、走行するとパワーもでて良くなったそうである。
それでユーザーさんに引き渡したのだが、数週間後パワーがないということで再入庫になったそうである。
誤診したのではないかと思い、ヒヤヒヤしていたがそうではなく、新たなトラブルのようである。
試乗すると、前回と同じように、本来、ターボが効き始めるくらいで加速が鈍化する。
それでもスピードは上がるが、とてもターボが効いている感じはしない。
過給圧を測定すると、0.3kg/cm2くらいしかない。
しかし、よく見ていると、一旦、0.8㎏/cm2くらいまで上がってから0.3kg/cm2まで落ちていた。
燃料不足のような感じもしたのでO2センサーの信号をモニターしたが、加速時に若干のリーンになるが、その後は燃料不足時の信号変化ではなかった。
燃料不足でもないようだった。
「もしかして、また、圧縮不足というオチではないよな?」と思い、圧縮を測定したが、さすがにそれはなく、正常であった。
点火系はプラグとIGコイルは、前回交換していたので問題ないだろうと思ったのだが、不具合現象といい、加速時に一瞬リーンになることといい、点火系のミスも十分考えられる不具合現象である。
圧縮を測定するために点火系の部品は外していたので見ると、確かにそれぞれ新品と思われたが、IGコイルにメーカー名が見当たらない。
新品とは言っていたが、もしかしてリビルト品かもしれない。
依頼者に確認すると、やはりリビルト品であった。
ギャップを作っての火花テストを行うと、そのうちの1個は、5mm位までは火花が飛んでいたが、それ以上離すと内部でリークが起こっていた。
パワー不足の原因はIGコイルであった。
ターボが効き始めるまでは火花は飛んでいたが、過給が大きくなって火花が飛びにくい状況になると内部リークして、加速不良になったようである。
純正のIGコイルに交換して完了。
リビルト品が悪いとは言わないが、電子制御のリビルト品は、あまりおすすめはしない。
特にIGコイルとエンジン回転系センサー(クランク角及びカム角センサー)は、何度も痛い目に会った工場を見ているからである。