前回はアイドル回転が高いという事例を紹介したが、今回は逆にアイドル回転が低いというトラブル。
ただし、エアコンSWをOFFの状態では問題ないが、エアコンSWをONにすると回転が低くハンチングを起こすという平成20年式パレット(MK21S、K6A)
とある勉強会に持ち込まれた車で、みんなで調べることにした。
エアコンOFF時のアイドル回転などをスキャンツールで調べると、目標アイドル回転及び実アイドル回転数は約750回転で問題はなく、調子もよかった。
また、その時のISCV開度は約30%と少し開き気味と思えた。
ただ、スロットルボデーが汚れていればこのくらいの開度も当たり前なのだが、持ち込んだ人の話ではスロットルボデーは清掃済みだという。
それでこの開度という事は、エンジンのトルクが小さい(空燃比のズレやバルタイのズレ等)かエンジン自体の負荷が大きいのではないかと考えられたが、エンジンの調子は全く問題なく、トルク不足も考えにくかった。
おかしいとは思いながらエアコンをONにしマグネットクラッチがONすると、確かに回転が下がりマグネットクラッチがOFFした。すると回転が上がりマグネットクラッチがONするがまた回転が下がった。
これの繰り返しでハンチングが起こった。
時々、マグネットクラッチをOFFするほどまで回転が下がらないせいか、ハンチングが起こらないこともあり、その時の目標回転は1000回転で実回転は650回転、ISCVの開度は90%だった。
エアコンだけの負荷でISCVの開度が30%から90%になるなんて通常では有り得ない。
コンプレッサー自体の負荷が大きいかISCV系統の不良である。
ただし、ISCVはすでに新品に交換しているし、交換前の抵抗値も問題なかったという。
それに、エアコンOFF時に、Dレンジにした時のISCV開度も明らかに大きくなっており、コンプレッサーの負荷が大きいのが原因ではなく、ISCV経路の吸入空気量が少ないことが原因と思われた。
そこで、ISCVが取り付けられている部分にあるファーストアイドル用のバルブの点検をしてはどうかという意見が出た。
ファーストアイドル用のバルブ?
ステップモーター式ISCVにファーストアイドル用バルブなんてあったっけ?
つづく