アイドル回転が低いパレット。
ISCVが取り付けられている部分にあるファーストアイドル用のバルブの点検をしてはどうかという意見が出た。
見ると、ISCVが取り付けられているアルミ製のボデー部に、確かに何やらカバーを付いている。
(写真は実際の車の物ではありません。)
ロータリソレノイド式ISCVには、確かにこれに近いものがあり、ファストアイドル回転の調整が出来るものもあるが(一般的には調整してはいけません。)、ステップモーター式ISCVには三菱車以外にファーストアイドル回転機構は無いものと思っていた。
何だろうと思いながらも、スロットルボデーを外して、上の写真部のカバーを外してみた。
すると、中にはスプリングらしき物があり、先端にはバルブがついていた。
そのバルブ部を良く見るとかなりのスラッジが付着しており、また、ボデー側も汚れており通路が狭くなっていた。
この通路はISCVの開閉部を通った後の通路であり、仮にISCVが全開してもこの通路部分が詰まっていたのでは吸入空気量は増えずにアイドル回転も上がらないはずである。
ただ、何のためにあるのかがわからない。
現物を見ながら作動を考えたが、良くわからない。
分かったのは、このバルブはスプリング状のバイメタルによって開閉するという事である。
それから考えれば、ファーストアイドル用と考えられなくもないが、このバルブはISCVの通路と直列につながっている。
ISCVの通路と平行にあるのであれば、ISCVの流量とこのバルブの流量でかなり回転を上げることができる。
しかし、実際はISCVの通路とこのバルブの通路は直接つながっている。
よって、ISCVの通路を通った空気を絞ることは出来ても、増やすことは出来ないはず。
まったくもって意味不明。
とりあえず、見える範囲を清掃し組み付けた。
エンジンをかけてデーターを見ると、エアコンOFFでISCV開度は13%と明らかに下がっている。
エアコンをONにすると、ISCV開度は30%で、実回転数はほぼ目標回転数になっていた。
つまり、良くなったのである。
あのバルブの役目は何だったのだろうかと思い調べてみると、資料に載っていた。
バルブの名称は「バイメタル式リミットバルブ」で、役割の記載はなかったが、名称と作動から考えて、万一、ISCVが開いたまま故障した場合のフェールセーフで、温度によってそのアイドル回転の最高値を制御するものと思われる。
よって、回転を上げるためのバルブではなく、ある回転以上にならないようにするためのバルブではないかと思われた。
おわり