今年最後のトラブル事例。
後輩が点検していた車で、アイドル回転が高く2000回転くらいから下がらないという平成10年式アルトワークス(HA21S、K6A)。
同業者から持ち込まれた車である。
まずはアイドル回転が高いということで、原因がISCVにあるのかどうかを確認するために、ISCVのエアの吸い込み口を指で塞いでみた。
するとエンストした。
ということは、ISCVが開いて回転が高くなっていたということになる。
スズキではISCVの故障が定番であるが、実は依頼者の工場で、アイドル回転の不具合という事で、すでにISCVは新品に、ECUは中古に交換されているのである。
ただし、念のため、現在付いているISCVの単体点検を行ったが4つのコイルは全て40Ω前後であり問題なかった。
交換したISCVも車内にあったので点検したが、ほぼ同じような値である。
ISCV自体は問題ない。
よって、ISCVショートによるECU内のトランジスタのパンクも考えにくい。
たまたま、ECUが壊れた可能性もあるが、ECUは中古だが交換しており、症状に変化がないところを見るとECUの可能性も低い。
なのに、アイドル回転がここまで高いとなると、水温センサーなどのアイドルアップに関連する信号を点検する必要がある。
暖機後の水温センサーの電圧を測定すると、1.5Vほどあった。
暖機後の水温センサーの数値がいくらかわからないが、通常、どのメーカーも1V以下であり1.5Vは少し高い気がする。
おまけに電圧が微妙に変動する。
何かのノイズでも乗っているのかもしれないと思いオシロスコープで水温センサーの信号を調べた。
すると驚きの波形が現れた。
※実際の波形ではありません。
波形は撮ったのですが無くしてしまったようです。
よって、イメージで手書きしていますので、電圧や時間は実際
のものではありません。
ローが0.5VでHiが3Vの矩形波である。
よって、アナログテスタではほぼ平均値の1.5V位の電圧になったのではないかと思われる。
と、ここで後輩から相談を受けたわけであるが、いままでいろんなメーカーの水温センサーの点検をしたが、こんなの見たことがない。
どう見てもこの波形は正常ではない。
水温センサーの電圧は、温度に反比例してゆっくり変化するのが通常であり、こんな矩形波なんて見たことがない。
ECU不良の可能性が高い。
「ECUが悪いんじゃないの?」というと、ECUは交換済みというし、車内にはそれとは別に改造ECUと思われるECUもあったという。
それと交換しても同じ矩形波というのである。
こうなるとさすがに3つのECUが不良とは言い難い。
ECU以外に原因があるとすると、何かの矩形波の信号が、水温センサーの信号に乗っている可能性がある。
以前のストリームのこともあるし、他の信号を調べないといけない。
ということで、ECUの全ての端子をオシロスコープで点検することにした。
つづく