暖機後、全く動かなくなるという平成13年式ストリーム(RA3)
元勉強会仲間からの情報提供。
1ヶ月ほど前に相談を受けていたのだが、「動かなくなるとミッションから『ギュー』という音がするので詰まりと思うのだが、フィルタが見当たらない」ということであった。
ホンダはオイルパンが無いものが多く、他のメーカーのようにオイルパンを外して、ストレーナを点検することが出来ない。
ラジエータ~ミッション間にフィルタらしきものが付いていた車もあったので、調べてもらったが無いという。
当然、ミッション本体にも付いてないらしい。
以前、似たようなトラブルで、各プレッシャーソレノイドバルブの通路にそれぞれフィルタがあり、それが詰まっていた事例を紹介して調べてもらった。
こちらも特に問題なかったようで、あとはA/T本体を分解するしかないのだが、ユーザーと相談の結果、20万kmほど走行していることもありASSY交換することになったようだ。
結果、A/T本体を交換してよくなったようである。
しかし、知人のメカニック、どうも気になってしょうがなかったみたいで、交換したミッションを分解したそうである。
すると中にストレーナがあり、かなり詰まっていたそうである。
部品供給があるかどうかは不明だが、部品さえあれば交換は可能だそうである。
誰に言われて分解したわけでもない。
分解したからといって、直接の利益にはならない。
しかし、どうも気になって分解したという知人は、やはり根っからの整備士と言えよう。
以前、不具合部品を分解してみることが大事だという記事を書いたことがある。
真の原因を見つけることが、次回から他の車種も含めて、原因究明に役立ったり、不具合部品をASSY交換するのではなく、悪い箇所を修理してまだまだ使うことが出来るからだというのがその理由である。
また、そうすることにより、ユーザー、工場共にメリットが出る場合があるからだ。
しかし、なんでもかんでも分解して悪い箇所を修理するのがベターというわけでない。
この車も、最初からミッションを分解して、ストレーナだけを交換したほうが良かったというわけではなく、また、清掃してATFを交換すれば、まだまだ使えたというわけでもない。
今回のミッションでいえば、20万kmも走行しているので、各クラッチやブレーキは磨耗しており、磨耗したからこそ詰まったのである。
長く乗るのであればASSY交換がベストの修理方法であったと思われる。
しかし、場合によっては、「あと半年しか乗らない」「ASSY交換するお金が無い」「とりあえず動かなくなるまで乗る」などの理由で、安い修理方法を望む場合もあるのではないかと思われる。
そういった場合、分解して真の原因を見つけることで、ユーザーへの修理方法の選択肢を広げることも整備士として必要ではないだろうか。
もちろん、そうすることによるデメリット、リスクの説明は充分行う必要があるのは言うまでも無い。