原因はカム角センサーと思われた。
純正のカム角センサーを交換すれば終了だろうと思ったが、いろいろな疑問が浮かんできた。
カム角センサーが原因には間違いないだろうが、リビルト品に交換している。
では、交換する前のカム角センサーも同じように悪かったのか?
また、カム角センサーが原因だとして、間違った信号だとしても、なぜ火花が飛ばずにインジェクタが作動しなかったのか?
ということである。
依頼者に確認すると、疑問の一つは解けた。
そもそもは走行中にエンストして、その後、始動不能になったということで入庫したそうである。
ダイアグノーシスを調べると、定番のカム角センサー系の異常コードを表示したので交換したようである。
交換したら始動できたので納車したそうである。
翌朝からこの不具合が出るようになったということで数日後に入庫したらしい。
このことを最初に確認していなかったこちらのミスである。
そもそも朝一だけ始動不能ということで入庫してきたものとばかり思っていたので、それでカム角センサーやECUを交換したものとばかり思っていたのである。
だから、リビルト品とはいえ、交換しても全く同じ症状であれば、カム角センサーは原因ではないだろうという思い込みがあった。
思い込みや先入観はいけないと分かっていても失敗してしまう。
確かな問診をしなかったこちらの落ち度である。
まだまだ未熟である。
それから、2つ目の疑問である、「なぜ、火花が飛ばずにインジェクタも作動しないのか?」というもの。
こちらはいろいろと推測してみたがはっきりしたことは分からなかったが、以前、OCVが進角したままのスバル車があり、カム角センサーもクランク角センサーも信号が出ているのに火花が飛ばず、インジェクタが作動しない事例を思い出した。
その時もはっきりした理由は分からずじまいだったが、ECU内での推定のクランク角度や回転数と、実際のクランク角度や回転数が大きく違うと制御できないのだろうと推測した。
(もっと正確なことは①のコメントでbella_donnaさんが説明してくれています)
今回も歯抜け及び通常よりかなり遅いというカム角センサーの信号が1回だけ入るとこにより制御できなくなったのだはないかと思う。
それからもう一つ気が付いたことがある。
カム角センサーの信号を比較してみたが、波形の数ではなくキーON時の波形が違うことに気がついたのである。
不良品は、キーONにすると必ずHiの状態になる。
(Hiになるからといって始動できないわけではないと思うが・・・・)
上(CH2)はカム角、下(CH1)は点火指示信号。
時にはHiだがすぐにLoになることもある。
それに対して良品は必ずLoなのである。
(ホール素子タイプのセンサーは不思議な性質があり、Hiの状態でエンジンを止めても、次は必ずLoから始まるのである。)
ただし、このことがエンジン始動に関係あるのかは不明。
(このメーカーの正常なセンサーはローから始まるようであれば良否の判断に使えるかもしれない)
※明日から4日ほど留守をしますので、コメントを返せないかもしれません。
※この事例は、3月の忙しい時期のものであり、また、十分な検証が得られたともいえません。もしかすると、勘違いや間違っている部分があるかもしれないことご了承願います。