機械的なバルブタイミングは問題なかったが、どう見てもクランク角センサーとカム角センサーに信号がズレている。
どうやってそんなことが起こるのか?
う~ん?
そうなる可能性は2つ。。
センサーの取り付け位置がズレているか、シグナルローターがズレているとしか考えられない。
しかし、クランク角センサーとカム角センサーの取り付け位置は1ヶ所しかなく、ズレる可能性はなかった。
シグナルローターはカムシャフト側はズレないようは構造だし、そもそもカムシャフト側は一切分解していないのでズレる可能性はない。
残るはクランクシャフト側のローターである。
実はこちらはズレる可能性があるのである。
ご存知の方も多いと思うが、このエンジンのクランクプーリーは他のメーカーとは違っている。
通常、クランクプーリーはクランクプーリーボルトによってクランクシャフトに取り付けられているのだが、このエンジンが違っている。
8番のクランクプーリーボルトによってクランクシャフトの取り付けられているのは9番のプーリーボスである。
1番のクランクプーリーは4つのボルトによってプーリーボスに取り付けられている。
ローターはプーリーボスとクランクプーリーに間に挟まれて取り付けられている。
なぜ、こんな構造にしているのかよくわからないが、タイミングベルトを交換する場合、クランクプーリーを取り付けている4つのボルトを取ることで、プーリーボスを残したまま作業が出来るのは便利である。
その4つのボルトは90度ごとにある。
こういう構造になっているので、シグナルローターを外した時に、ローターが90度ズレて取り付けられているのではないだろうかと考えた。
ローターの突起部も90度ごとに配置されているのであれば、取り付け位置が90度ずれても問題ないが、実際には突起部は70度-110度-70度-110度と配置されている。
まさか位置決めがされていないとは思えないが、もしもということもある。
さっそく4つのボルトを外してクランクプーリーを外すと、かすかな希望も打ち砕かれてしまった。
プーリボス部には位置決め用のノックピンがあり、ローターは正常な状態で取り付けられていたのである。
「そうだよな。まさかフリーで取り付けられているとは思わなかったが、無理して取り付けている可能性もあるかもしれない」と淡い期待をもっていたのである。
万事休すか!
最終章にしようと思っていたが、もうちょっとあるので次回につづく。