唯一可能性のあったクランク角センサーのローターも、位置決めのノックピンがあるのでズレている可能性はなくなった。
クランクプーリーを外した後、何気なくシグナルローターも外して裏面を見ると、「おぉ!!」っと、あるところに目が釘付けになったのである。
もしかしてと思い、クランクプーリーを見た。
お分かりであろうか、2枚目のローターのエンジン側の写真と、3枚目のプーリーのローター側の写真に同じ四角い形がついているのである。
本来は1枚目と3枚目に同じ形がついていなければならないはず。
ということは、ローターは裏表が逆に組まれていたことになる。
プーリーとローターを外した状態で、ノックピンを合わせた。
そしてローターの突起部とプーリーの同じ位置にペイントでマークした。
ローターを裏返してノックピンの位置を合わせてみた。
逆に組みなおすと、ローターの突起部は30度ほど違う位置に来た。
正しい状態に組みなおすとクランキングすると一発で始動できたのである。
結局、 クランク角センサー用のシグナルローターが裏表逆に取り付けられていたことが原因であった。
最初の記事の蚊取り線香さんの「クランクプーリーのシグナルローターが裏表逆に付いているのでは?」というのが正解でした。お見事!
やはり作業ミスが原因であった。
やっと原因がわかったと安堵すると同時に、「クランク角センサーとカム角センサーは悪くなかったんじゃないのか?」という疑問が浮かんだ。
試しにカム角センサーを元に戻すと、新品と同じ波形が出てエンジンがかかった。
やはり悪くなかったのである。
クランク角センサーは元に戻さなかったが、カム角と同じように悪くなかったものと思われる。
では、何故おかしな波形になったのだろうか?
本当にこのタイプのセンサーは分からないことだらけである。
ローターはほんの少しオフセットしており、センサーの感度が低下してきてあの変な波形になっていたのかも知れないが、本当のところはわからない。
それにしても今回の事例は、今になって思うと本当にお粗末すぎたと反省しきりである。
まずは、作業後のトラブルは作業した箇所に原因があるという基本を無視したこと。
それは、自分でバルブタイミングを点検するのが面倒くさいと怠けたからである。
また、バルブタイミングの確認は依頼者にしてもらったから大丈夫だろうと思ったこと。
もちろん人のしたことなど信用はしていないので、大丈夫だろうと思ったというより、自分で再確認するのが面倒くさいので、大丈夫だろうと思いたかったのである。
作業後に発生したトラブルで、なおかつあの症状といい、原因として明らかにバルブタイミングの狂いが考えられたのに、クランク角センサーやカム角センサーの波形がおかしいからとバルブタイミングの点検を後回しにしたこと。
ただ、マツダももう少しどうにかならなかったのかと思う。
ノックピンの位置がボルト穴の真ん中に無ければこんなことは起こらなかったはず。
また、真ん中にあってもローターの突起部がノックピンに対して左右対称の位置に配置しておけば、やはりこんな間違いは起こらなかったはず。
もしくは、オフセット量を大きくすれば気が付いたはず。
ただ、脱着する整備士が気をつければいいだけのことだが・・・・・
いやー、それにしてもお粗末の一言である。「喝っ!」
※最初の記事の中になる「バルブタイミングの狂いであれば、クランクかカム角センサーのコネクタを抜けば、エンジンがかかるだろうと思い試してみたが、エンジンは始動しなかった。」についてどういうことかと質問がありました。
どういうことかというと、バルブタイミングの狂いでエンジンがかからない場合、(ただし、制御で火花を止めたりインジェクタを作動させない場合です)カム角センサーまたは、クランク角センサーのコネクタを抜くと、火花が飛んだりインジェクタが作動する場合があります。ただし、コネクタを抜くことによりフェイルセーフが働く場合に限ります。実際にスバル車でそういうことがありましたが、このファミリアでも実証されましたが、必ずしもエンジンがかかるわけではありません。あくまでもかかる場合があるという程度で理解して下さい。